NOA、デビュー5周年ライブで描き切った“本当の自分” 25歳の現在地と新曲「Just Say It」を語る

 NOAが、アーティストデビュー5周年を記念した横浜BUNTAIでのスペシャルライブ『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』開催を経て、新曲「Just Say It」をリリースした。NOA自身、「本当にすごいライブになった」と語る『LiGHTS』。この5年間をライブに込める――その意志のもとに、NOAにしか見えなかった部分までをもステージに昇華した行為こそ、今のNOAの強さを表している。約2時間半におよぶステージを観て、そうあらためて思った。

 そのライブ『LiGHTS』で初披露となり、サプライズでリリースされた楽曲が「Just Say It」だ。複雑な感情を綴った歌詞と、どこか爽やかな香りの漂う、壮大な楽曲に仕上がった。5周年ライブを経て大きなものを得たと嬉しそうに話してくれたNOAの現在地を感じてほしい。(編集部)

僕にしか見えなかった5年間も表現したいと思った

――横浜BUNTAIでの5周年記念ライブを終えてみて、いかがでしたか?

NOA:正直、自分としてはすごいライブを作るつもりでやっていたのですが、実際にやってみて、本当にすごいライブになったことを肌で感じましたね。今回は時間も体力も、内面的な部分でも、これまででいちばん費やしたライブだと思っているんです。ただそのぶん、ライブ自体が一瞬で終わってしまったことが悔しいというか。もっと長い時間やりたかったですし、このライブを通して伝えたかったメッセージがファンの方々に伝わり切ったのかという不安も終わった直後にはありました。

――今回は“光”と“影”をテーマにしたライブでしたが、当日はこのテーマをどのように表現することを意識されましたか?

NOA:実は、最初は「LIGHTS UP」というデビュー曲でライブを始めようかと思っていたんです。でも、(セットリストで)単純に5年間を振り返るというのはあまりにもありきたりな気がしてしまって。それで、ファンの方々に見せてきたものだけではなく、僕にしか見えなかった5年間も表現したいと思ったんです。もっとパーソナルな部分を見せることで、より深いライブになるんじゃないかと考えて、セットリストを組み直しました。

NOA - LIGHTS UP 【Official Music Video】

――そうだったんですね。

NOA:なので、今回は「MEMORABLE」「CHAOS TO REVIVE」「LIGHTS」というチャプター分けをしましたが、闇の部分ということで言えば、「CHAOS TO REVIVE」は自分のなかのいちばん闇の部分を表現した部分だと思います。全体の構成としては、闇のなかの葛藤のような部分から始まり、次に闇の部分を表現しつつも、最終的には光でその闇を全部消してやるという内容になっています。

――ライブ本編後半での映像演出のなかで「僕が見せているものはニセモノだ」というナレーションが印象的でした。たしかに、NOAさんがこれまで見せてこなかった内面の葛藤のようなものが表現されていた印象があります。

NOA:“ニセモノ”というのは、自分がそう思っていたというより、まわりの反応によってそう感じてしまったことから生まれた感覚というか。たとえば、今僕が歌で届けているものは自分自身が頑張って作り上げたものですけど、まわりの反応を見ていると「これは本当に自分のなかにあるものなのかな?」「もしかするとニセモノなのかな?」と思うことがあったりして。周りがそういった感情を表現している時の自分を褒めてくれたり、賞賛してくれたりすることで、逆によくわからなくなったりもするんです。「自分はどっちの自分でいなきゃいけないのかな?」「本当の自分ってどれなんだろう?」って。

――『GMO SONIC 2025』でのライブからご自身の“光”と“影”の両方を見せることを意識し始めたという話がありましたが、今回はどの程度実現できましたか?

NOA:今の自分が抱えている“光”と“影”の部分を全部お見せできたと思っています。さっきの“ニセモノ”のナレーションもそうですし、デビューしたあとに実はアーティストをやめたいと思っていたというアンコールのVTRで告白も、まさにこれまで一度も見せてこなかった“闇”の部分です。でも、今回のライブではそういう部分をちゃんとファンの方々にお見せすることができて、自分の殻を破ることができました。

――今話に出ましたが、過去のご自身へのメッセージを語ったアンコールのVTRも印象的でした。

NOA:ライブではいつも思ったことを喋らせていただいています。台本のように事前に思いを全部書き出してそれを覚えるというより、自分が言いたいポイントを覚えておいて、その場のアドリブで思ったままに喋っています。でも、今回のライブではできるだけ丁寧に自分が伝えたいことを全部伝えたいと思っていて。なので、5年前の自分に手紙を書くというような内容の映像を作りました。5年前は今のようなかたちで活動を続けているなんて考えられなかったくらい、大変な時期だったんです。本当に闇に陥ってたような感覚があった――。そんな自分に光を差してあげたいなと思って、5年前の自分に向けて書くようにしました。

――それで言えば、ご自身の過去のライブ活動を映像で振り返っていくVTR演出もすごく感動的でした。

NOA:今回のテーマである“光”と“影”の両方を含んだ、すごくキラキラしてる思い出で構成しました。そういった思い出は、長い時間を秒刻みで覚えてる気がするし、僕にとってもファンの皆さんにとっても大切な思い出だと思うんです。その感覚を映像で表現したいと思って。

――それこそ、映像のなかには2020年のオンラインデビューライブや有明アリーナ公演のものがありましたよね。すごく感動的な内容だったと思います。

NOA:2020年はコロナ禍に直面した年でしたし、その年にデビューした人たちはみんな大変だったと思うんです。そういう状況のなかでも僕をサポートしてくれるチームだったり、ライブ会場だったりが少しずつ大きくなっていったり、お客さんもどんどんライブにきてくださるようになりました。そういった環境の変化を映像を通してお見せしたかったので、ああいった内容の映像を作りました。

――今回のセットリストでは「Eyes On Me」や「WE ALL READY」といった未発表曲を含む内容になっていましたね。

NOA:「Eyes On Me」はすでにファンミーティングで披露していましたし、「WE ALL READY」はJ.R.B.Y.というTEAM NOAクルーがワンマンライブをする際に作った楽曲なので、実はどちらもお客さんの前で一度は披露しているんです。まだリリースはしていないけど、知っている人は知っている曲なんですよね。この2曲は、デビュー5周年を迎えた今の自分の感情にすごく近いものな気がして。25歳になって大人っぽさを出したいという時期に書いた楽曲でもあるので、この5周年を表すにしても、これからを表現するにしても、セットリストに入れるのが最適だと思ったんです。

NOA -【VLOG】NOA x J.R.B.Y. 「We All Ready」VLOG

――今回のライブで披露した曲のなかで、特に音の聴かせ方にこだわったのはどの部分ですか?

NOA:原曲とは違うアレンジですね。今回披露した楽曲の半分くらいがオリジナルとは違うアレンジで。たとえば、「RED ZONE」は今回MEGAダンサーが入ったことで、これまでのアレンジでは物足りないと思い、サビ前からがっつりアレンジを加えました。あと、「Runaway Love」では、よりストーリー性を出したかったので、オリジナルとはまったく違うアレンジにしました。

――「LIGHTS UP」は?

NOA:「LIGHTS UP」は、“光”と“影”というテーマに合わせるにあたって、オリジナルの光だけではなく、"闇のなかにある光"という感じにしたかったので、そのイメージが伝わるようにアレンジしました。正直、原曲とはかなり感じが変わっているので、ファンの皆さんはびっくりされたと思います(笑)。でも、終演後に「あのアレンジ、よかった」「ヤバかった!」というようなメッセージをたくさんいただいたので、すごく嬉しかったです。ただ、アレンジしたバージョンをライブの帰り道で聴きたいと思っても聴けないんですよね。なので、(ライブのアレンジ)音源をまとめてリミックスバージョンみたいな感じで発表してみるのも面白いんじゃないかなと、個人的には思っています。

――いいですね。今回のライブは、途中からバンドセットが導入されたことも大きなインパクトがありました。

NOA:きっかけは去年のビルボードライブで、ダンス曲を歌った時に「これはバンドを入れてやったら絶対かっこいいな」と思ったことです。それ以来、次のライブではバンドセットをやりたいとずっと思っていました。2022年のファンミーティングで、バンドとTEAM NOAのDaikiくんYくんと一緒にパフォーマンスしたことがすごく印象に残っていて。なので、バンドとパフォーマンスすることも、僕にとってはこの5年のなかですごくキーになる要素でした。それに、バンドメンバーも僕にとって家族みたいな感覚ですし、お客さんたちにも思い出せるような演出になるとも思ったんです。

――実際にバンドが入ったことに対する反応はいかがでしたか。

NOA:いいサプライズになったと思います。これまで「answer」をバンドセットでやったことがなかったので、歌い始めは僕自身もめちゃめちゃ気持ちよかったです。会場全体の盛り上がりも、目に見えて違いましたね。

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