矢沢永吉の意外な一面に注目? THE ALFEE、松任谷由実×松田聖子……『オールナイトニッポン』で見せる“飾らない姿”

松任谷由実×松田聖子、竹内まりや……『ANN』で明かした本音トーク

 その象徴だったのが、9月19日放送『松任谷由実のオールナイトニッポンGOLD』である。同放送回のゲストは、松田聖子。出演冒頭、ラジオに出演する機会は「なかなかない」と話す松田。そこで松任谷が「私(の番組)だから来てくださった、えっへん」と誇らしげにすると、松田も「もちろんです」とうなずく。ちなみに松任谷は、松田の楽曲「赤いスイートピー」「渚のバルコニー」などの楽曲の作曲を担当(呉田軽穂名義)。どれも松田の音楽人生を語る上で欠かせないマスターピースだ。「松任谷の番組だから久しぶりにラジオに出た」というのは決してリップサービスではないことが分かる。松任谷が、それまであまり接点がなかった松田について「直接会わなくても勝手にシンパシーを持ってるんですよ」「『SEIKO JAZZ』のときにお話したのが、すごく深く触れ合えたなって思って」と明かすと、松田はこらえきれず涙を流した。

 そして松任谷は、松田に楽曲提供した1980年代は「アイドルが大嫌いだった」と続けた。当時の芸能界においてメディアにほとんど出ず、異質の存在感を放ちながらもシーンの最前線へ上がっていった松任谷にとって、当時のアイドルの存在は「私なんかがやってきたことを、割と表面でスッと持っていくことができるんですよね。シンガーソングライター的な佇まいを見せたりとか。それで悔しい思いを大昔によくしたんで」「一生懸命作ったものの上澄みだけを持っていかれちゃうっていう」と吐露。ただ、松任谷はそういう抵抗感が前提としてありながらも、「アイドルの世界が嫌いだったけど、(楽曲提供したのは)松田聖子への好奇心が上回った」と語った。

 これらはファンの間ではよく知られたエピソードではあるが、生の声やリアクションでそれらを聞くと、よりリアルに感じられた。松任谷の本音、松田の涙。今回の放送回でそれらが隠されることがなかったのは、ふたりの関係性はもちろんだが、リスナーへの信頼からきている部分もあるのではないだろうか。

 ほかにも、2024年8月26日放送『THE ALFEEのオールナイトニッポンPremium』では、THE ALFEEの高見沢俊彦(Vo/Gt)が渋谷のスクランブル交差点を訪れ、ドライバーに「ちょっと渡るから、あっちに(車を)停めて待っといて」と伝え、わざわざ横断歩道を渡りに行ったことを話すと、桜井賢(Vo/Ba)、坂崎幸之助(Vo/Gt/Per)が「渡ったの!?」「プライベートで?」とリアクション。無邪気な様子がリスナーの笑いを誘った。THE ALFEEらしい3人のやりとりだが、やはりそれも『オールナイトニッポン』が個人的でささやかな出来事を気軽に話せる場所だからなのだろう。

 2024年10月11日放送『竹内まりやのオールナイトニッポンGOLD』では、竹内が初めて『オールナイトニッポン』を担当。公開収録だったこともあり、竹内はリスナーと直接交流。「味噌汁の具は何が好きですか?」と尋ねられた竹内は、「生活的な質問でいいですね」と口に。たしかに、普段のインタビューなどでは絶対に聞かれることがない質問内容だ。そして竹内は、出身地である島根の宍道湖で採れるしじみが好きであること、そのためしじみ汁をよく作ること、また大根と油揚げ、豆腐とわかめの味噌汁が好きだと話した。レジェンドの意外な一面を知ることができる――それがリスナーの問いかけによって引き出されたという意味でも、『オールナイトニッポン』の真骨頂的な放送回だったと思う。

 レジェンドによる過去の担当回を振り返ると、9月26日放送の『矢沢永吉のオールナイトニッポンGOLD』への楽しみが俄然増す。矢沢が一体何を話すのか。きっと良い意味で、矢沢永吉らしくないところも引き出されるのではないだろうか。

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