『ウマ娘』4.5周年曲「めにしゅき♡ラッシュっしゅ!」バイラル首位 ストーリーとの連動がもたらす特別な中毒性
Viral Chart Focus
Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの9月17日付のTOP10は以下の通り(※1)
1位:カレンチャン(CV:篠原 侑)、スティルインラブ(CV:宮下早紀)、フサイチパンドラ(CV:佳原萌枝)、アドマイヤグルーヴ(CV:鈴木日菜)、ラッキーライラック(CV:中島由貴)、ラヴズオンリーユー(CV:久保田未夢)、ステイゴールド(CV:松田颯水)「めにしゅき♡ラッシュっしゅ!」
2位:TREASURE「PARADISE」
3位:CORTIS「GO!」
4位:キュアズキューン(CV:南條愛乃)、キュアキッス(CV:花井美春)「Awakening Harmony」
5位:HIROMU (INI)「Piece」
6位:ZEROBASEONE「ICONIK」
7位:Secondbacker「犬とバカ猫」
8位:kurayamisaka「kurayamisaka yori ai wo komete」
9位:Snow Man「カリスマックス」
10位:Number_i「未確認領域」
Spotifyのバイラルチャートは今週、大きな顔ぶれの入れ替わりを見せた。先週1位だったSnow Man「カリスマックス」が9位に後退し、その座を奪ったのは『ウマ娘 プリティーダービー』4.5周年記念曲「めにしゅき♡ラッシュっしゅ!」である。チャート初登場にして圧倒的な勢いでの首位獲得だ。2位にはTREASUREの「PARADISE」が入り、3位にはCORTIS「GO!」がランクイン。4位には『キミとアイドルプリキュア♪』(ABCテレビ/テレビ朝日系)シリーズのキャラクターソング「Awakening Harmony」、5位にはINI 髙塚大夢のソロ曲「Piece」が上位に並んだ。
首位の「めにしゅき♡ラッシュっしゅ!」は、ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』内のイベント「【挑戦】ウマチューブチャンネル登録者数1億人目指してみた!」に登場する楽曲。リリース直後からSNSを中心に大きな話題を集めた。
歌唱を担当するのは、カレンチャン(CV:篠原侑)、スティルインラブ(CV:宮下早紀)、フサイチパンドラ(CV:佳原萌枝)、アドマイヤグルーヴ(CV:鈴木日菜)、ラッキーライラック(CV:中島由貴)、ラヴズオンリーユー(CV:久保田未夢)、ステイゴールド(CV:松田颯水)の7名。それぞれ異なる世代や背景を持つキャラクターたちが一堂に会することで、周年記念ならではの豪華なイメージを演出している。
楽曲の中で特に注目したいのは、サビ前の〈「こんなに大きくなりました♡」〉というセリフだ。ゲーム上では、担当キャラクターによって声色やニュアンスが変わり、センターに配置されるキャラが変わる仕様になっているため、同じ曲でもプレイヤーごとに異なる体験ができる楽曲になっている。育成してきたキャラクターの声で聴くその一言は、特別な時間の積み重ねを象徴する仕掛けとなっている。まさに「プレイヤーとともに成長したウマ娘」というテーマを体現する部分である。
制作を手掛けたのはCygamesのサウンドチーム。作詞は市橋卓也と佐藤遥、作編曲も市橋が担当している。サウンドは、電波ソング風のキュートなポップを基盤にしながら、実験的かつ遊び心あふれるアレンジが施されている。イントロからシンセサイザーの軽快なリフが駆け抜け、随所に8bit調のファミコン音源やストリングス、さらにはトライアングル、ハープ、バンジョーなどの楽器が差し込まれる。その中でもとりわけ印象的なのは、ゲーム内ガチャで確定演出としておなじみの虹色ゲートの出現音がサビ直前に使われている点だ。最高レアリティを引いた瞬間の高揚感を曲に組み込み、聴覚的にプレイヤーの記憶を刺激する仕掛けとなっている。一見カオティックな音作りだが、楽曲構造自体は王道ポップスに近い。サビは覚えやすいコード進行で、終盤には転調を加えて高揚感を演出している。混沌と安定のバランスが、リピート再生を誘う中毒性につながっているのだ。
歌詞のフレーズはキャッチーでコミカルだが、明確なメッセージが込められているようにも感じられる。〈いつも愛を/ア・リ・ガ・ト・ウ〉というフレーズにはプレイヤーへの感謝が滲み、ここまで一緒に歩んできたという実感が見えるよう。電波ソング的な勢いと笑いを交えつつも、4年半の歴史をともにしたユーザーへの感謝、そして未来への決意が描かれているのだ。〈「こんなに大きくなりました♡」〉という一言は、キャラクターの成長と同時に、『ウマ娘』というコンテンツ自体がプレイヤーの支えによって大きく育ったことを示すようにも受け取れる。
リリース直後からSNSで話題を呼び、Spotifyバイラルチャートで1位を獲得したことは、この楽曲が単なる“周年記念曲”を超えた存在であることを示している。楽曲の遊び心や中毒性に加え、ストーリーとの連動やキャラクター表現がプレイヤーの共感を呼び、その熱量がランキングを押し上げた。また周年ごとに新たな挑戦を仕掛けるこのシリーズが、次にどのような音楽体験を提示するのか。期待はさらに高まっていくだろう。
※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2025-09-17