櫻坂46は過去に類を見ないアイドルへ――新たな名を授かってから5年、なぜ“ライブアーティスト”となれたのか?

 森田ひかるをはじめ、山﨑、藤吉夏鈴、田村保乃、守屋麗奈、山下瞳月に、最新シングルセンターである的野美青を加えた歴代センターだけでなく、BACKS、二期生、三期生、そして未来を担う四期生といったさらなる側面からセンターに立つメンバーがいるということは、櫻坂46の層の厚さと誰もが物語の主人公になれることを教えてくれている。「見てて?」という甘い誘惑にドームがどよめき立った石森璃花センターのBACKS曲「港区パセリ」がわかりやすい例だが、筆者がライブを観ていてハッとしたのは、ライブ序盤に披露された「半信半疑」。1stシングル『Nobody's fault』収録の山﨑センター曲で、大人の余裕すら感じさせる今の櫻坂46としての「半信半疑」に、成長を感じずにはいられなかった。そもそも山﨑はダンス経験なしでグループに加入し、初期は振り入れに苦戦していた。今やグループ随一のパフォーマンスを誇る“ダンス番長”として、櫻坂46を牽引している。小柄ながらもダイナミックな踊りで観る者を魅了する森田、山下、村井優の存在も、櫻坂46がパフォーマンスに重きを置いていることを象徴しているように思える。

櫻坂46『Addiction』MUSIC VIDEO
半信半疑

 先述したライブ演出・野村氏へのインタビューでは、「伝えられた演出に対して、自分たちでアイデアやギミックを足し、さらに表現を膨らませてくれる。それはパフォーマンスもそうです」と、受動的だったメンバーが表現者として能動的にライブに向き合うようになったと伝えられている。それは、“チーム櫻坂”としての一体感とさらなる進化。櫻坂46に改名以降、メンバー以外のパフォーマーがステージに上がることは一度もなかったが、今回のツアーでは「流れ弾」でアクロバットチームによるスタントとパルクール、「UDAGAWA GENERATION」でサーカス団が登場している。「UDAGAWA GENERATION」という楽曲自体にも言えることだが、型にハマらないのが櫻坂46の強みであり、そこにパフォーマンス性を加味することで、これまでに類を見ないアイドルグループとして、キャプテン松田里奈が明言している“外”に届けることができるはずだ。

 櫻坂46というグループ名が発表されたのは、2020年9月20日。あれから5年という歳月が経ち、彼女たちは新天地へと向かおうとしている。“新たなるステージ”で開催されるアニバーサリーライブ『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』の開催は、2026年4月、春。未知なる可能性を秘めた四期生を迎え、桜は何度でも咲き誇る。

櫻坂46、なぜ再び人気に火がついたのか? ドーム公演の盛況、『紅白』返り咲き……鍵を握るパフォーマンス

櫻坂46が、今年6月に開催した東京ドーム公演の完全ソールドアウト、昨年末の『NHK紅白歌合戦』への出場返り咲きなど、ここ1年ほど…

櫻坂46が証明したネクストレベルへの到達 “最高地点”を刻み、究極のエンタメを届けた京セラ公演を振り返る

櫻坂46の全国ツアー『5th TOUR 2025 “Addiction”』が8月24日、京セラドーム大阪にて閉幕した。本稿では、…

関連記事