なぜ「愛♡スクリ~ム!」は脅威の広がりを見せたのか? ファン視点から見た“異様”なバズの背景
9月6日、7日にAiScReam主催のライブイベント『AiScReam presents TOPPING LIVE とけちゃう前に会いに来て♡♡♡』が開催された。そのライブの中心にあったのは、言わずもがなバズの渦中にある彼女たちの代表曲「愛♡スクリ~ム!」だ。ライブではオリジナル版に加え、ゲストメンバーを巻き込んだスペシャル版も披露した。
今年3月頃にTikTokを中心に流行し始めてから、すっかり『ラブライブ!』シリーズの代表曲として定着し、越境ライブにおける定番曲のひとつとなっている。実際、8月に『EXPO 2025 大阪・関西万博』で行われた『U-NEXT MUSIC FES LoveLive! Series EXPO 2025 STAGE 〜Right now!〜』では、μ'sから最新作『イキヅライブ!』のメンバーまでをも巻き込み、お馴染みの掛け合いを披露していた。そんな本楽曲の異様なバズと、シリーズ内における特別な立ち位置を確立した様に、長年『ラブライブ!』を見てきた身としては驚きを隠せない。
「愛♡スクリ~ム!」がリリースされた今年1月当時、筆者としては注目されている楽曲という印象をはそこまで受けなかった。『ラブライブ!』初のシリーズ間の垣根を越えたユニット・AiScReamの誕生は衝撃だったが、近年ではシリーズを越えた楽曲の存在自体は珍しくはない。また、ここ数年『ラブライブ!』のコンテンツ展開が多様化していく中で、すべての活動を把握するのは難しくなってきている。ゆえに、ファンとはしては推しシリーズの把握が最優先となるため、どうしてもラジオ番組発ユニットのチェックが遅くなってしまうことも多いだろう。
そのため、ラジオを追いかけているファンや、各メンバーを推している者はすでに本楽曲の魅力に気付いてはいたが、コンテンツの中で特段注目されている楽曲というわけでもなかったと記憶している。ただ、今年2月に行われたアジアツアーで初披露されてからは、本楽曲のセリフパートを他メンバーで考えて改変を行ったり、コールの楽しさを口にするファンも見られたことから、ライブを通して確かに本楽曲の魅力はファンに伝わっていった。しかし、アジアツアーではシリーズを跨いだコラボや、約9年ぶりの披露となったμ'sの「Wonderful Rush」など、インパクトある話題に尽きなかったため、そこに埋もれてしまったような印象も少なからずある。
それでも、「愛♡スクリ~ム!」はその魅力で、人々のハートを掴み、世界中に響くほどのバズを生み出した。その勢いは留まるところを知らず、5月に公開されたリリックビデオの再生数は4カ月経った今も伸び続け、今月6日には1000万再生を突破、そして7日には『ラブライブ!』公式チャンネル内で最も再生された動画となった。大多数のファンの共通認識として、『ラブライブ!』シリーズで最も有名な曲の座には「Snow halation」が君臨し続けていたと思う。そのため、「愛♡スクリ~ム!」のアニソンの枠を超えた圧倒的知名度には、喜びと同じくらいの戸惑いも感じる。だが、同時にシリーズの垣根を越えた曲が、現在『ラブライブ!』で最も有名な曲となったことに感慨深さも覚えた。