レイニ、『愛の、がっこう。』主題歌や『グラスハート』で見せた存在感 德永英明を父に持つ謎めいたシンガーを大解剖

 放送を重ねるたびに、すれ違うことのなかった男女の禁断の恋愛劇が大きな反響を呼んでいるフジテレビ系ドラマ木曜劇場『愛の、がっこう。』。物語もいよいよ佳境を迎え、木村文乃演じる愛実とラウール(Snow Man)演じるカヲルの関係がどのような結末を迎えるのかにも注目が集まるが、毎回物語のドラマチックさに拍車をかけているのが、レイニが歌う主題歌「Spiral feat. Yura」だ。

レイニ - Spiral feat. Yura (Music Video)

 レイニは現在27歳の男性シンガーで、今年1月に日本テレビ系ドラマ『相続探偵』の主題歌「ラストレター」でメジャーデビューを果たしたばかり。先に触れた「Spiral feat. Yura」がメジャー2作目の楽曲にあたる。シルキーさの中に適度な湿り気やハスキーさが入り混じった個性的な歌声は、「ラストレター」や「Spiral feat. Yura」のような抒情的なミディアム~スローナンバーを表現するのに最適であり、それぞれのドラマのストーリー性ともリンクした世界観を見事に描ききっている。

 それもそのはず。実はレイニ、長きにわたり第一線で活躍するシンガー德永英明の息子なのだ。そう知ると、レイニのあの個性的な声は親譲りのものなのだと納得してしまう。とはいえ、彼自身はこの事実を全面に打ち出して音楽活動をしていくつもりはないようで、インディーズ時代からTikTokなどのSNSを駆使してその歌声を地道に届け続けてきた。

 筆者は「ラストレター」(※1)と「Spiral feat. Yura」(※2)のリリースタイミングに、それぞれインタビューを行った。「ラストレター」タイミングの取材は彼にとって初インタビューということもあり、レイニというアーティストが誕生するまでの道のりを聞いている。サッカー少年であり歌手になることなんて夢にも思っていなかった彼は16歳で渡米し、現地学校でのコーラス発表会で受けたスタンディングオベーションをきっかけに人前で歌う道に進むことを選ぶ。身近に偉大なシンガーが常にいる生活から距離を置いたからこそ、改めて音楽や歌の魅力に気付くことができたのだろうか。そう考えると、少し回り道をしたように見える彼の思春期もすべてに意味があったのだと感じる。

 帰国後、下積みを続けながらレイニはシンガーとは別の、もうひとつのチャンスを得ることになる。それが俳優としてテレビドラマや映画に出演する道だった。その甘く端正なルックスも相まって、端役ながらも『FUNNY BUNNY』(2021年)や『レジェンド&バタフライ』(2023年)といった映画に出演。中でも、2024年12月に放送された大人気ドラマ『相棒 season23』第8話で演じた犯人役は、自分の犯した罪の重さに苛まれながら盲目の被害者に寄り添う繊細な演技が好評を博した。筆者もたまたまこの放送を目にしており、その存在感に目を惹きつけられたことをよく覚えている。

 もともとレイニ自身が繊細さを伴う人間であることは、過去2回のインタビューからも十分に感じ取ることができたが、だからこそ「無口な涙」「夜のカケラ」「CALLING」といったインディーズ時代に発表した楽曲や、メジャーデビュー後の2曲が切なさを伴うミディアム~スローナンバー中心なのも納得がいく。彼自身は「なんでこんな声なんだろう、なんでこういう声しか出ないんだろう?」「この声、変えたいなあ」と思ったこともあるそうだが、少しずつ歌が上達するにつれて「あ、好きかも」と思えるようになったそうだ。自身の個性や特徴を具体的に分析することは難しいと述べるも、聴いているだけで安心感を覚えるその歌声は間違いなく誰にも似ていない、レイニだからこその武器だと筆者は断言したい。特に最新曲「Spiral feat. Yura」では、気鋭の女性シンガーYuraとデュエットすることで、Yuraの歌声を引き立てつつ自身の魅力を存分に発揮させているので、最終回に向けてさらに盛り上がりが加速するドラマ『愛の、がっこう。』とともにじっくり堪能していただきたい。

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