入野自由、ライブ&トークで見せる才能と素顔 初トークイベントでファンと作り上げた愛のある空間

 2025年5月、日本コロムビアに移籍し、アーティスト活動を再始動した入野自由。移籍第一弾シングル『Who I Am』は、改めて自身の歌や音楽に向き合い、過去にタッグを組んできたTAILやSean Oshimaとともに作り上げた大切な1枚となった。

 そのリリースを記念して、自身初のトークイベント『入野自由トーク&ミニライブ2025夏』が、東京・ニッショーホールで開催された。司会もおらず、ライブパートで伴奏者が参加した以外は入野ひとりというスタイルで進行した貴重なイベント。一日2回公演の中から、昼の部のレポートをお送りする。

 ライブパートで使用するキーボードと入野用の机があるのみのシンプルなステージに、「こんにちは! 入野自由です!」と入野が爽やかに登場した。盛大な拍手に迎えられ、「今日は、これまであんまりやってないんじゃないかなというくらい、ゆるっといろいろなことを話しながら、みなさんといい時間を過ごせたらと思っております」とラフな雰囲気で挨拶。

 今年の活動をなぞるトークタイムに入り、まずは今年出演した舞台『消失』と『浪人街』での苦労と手応えを振り返っていく。さらに、ジャケットやブックレット撮影のメイキング映像から、ニューシングル『Who I Am』の話題へ。入野自らフィルムカメラを使用して撮影した写真を交えて、シングルに収録された3曲「Who I Am」「透明人間」「あいすること」それぞれに込めた想いを語った。

 「Tokyo X 2025」出演のために赴いたアメリカテキサス州ヒューストンでの思い出トークを経て、最後は事前に募集したファンからの質問に答えるコーナー。「最近ハマっているものは?」という質問に「HANAとtimelesz!」と即答してオーディション番組の魅力を話したり、健康管理や声の出し方などについて客席とコミュニケーションを取りながら答えていった。テンポよく展開するトークに、彼の飾らない人柄が滲む。

 プレゼント抽選コーナーを終えると、そのままライブパートが幕を開けた。ここまで1時間以上ひとりでトークし続けてきたにもかかわらず、一旦袖に捌けての休憩などもなく、スッと歌のモードに切り替える入野のプロフェッショナルぶりに驚かされる。1曲目の「Who I Am」が始まった瞬間、完全に会場の空気の色が変わり、観客全員が入野の歌声に聴き入った。

 ダンサブルなリズムに乗り、のびやかな歌声を響かせていく入野。歌声とともに、楽曲に刻まれた前向きなメッセージが伝わり、ポジティブなムードが心地好かった。続く「透明人間」では少しテンションを変え、艶っぽい低音からファルセットを駆使した高音まで、幅広い音域のメロディを歌い上げる。TAILが生みだした楽曲のグルーヴ感が、入野の表情豊かな表現力をますます押し広げたようだ。歌い終えたあと「初めて(ステージで)歌うからめちゃくちゃ緊張した」と明かしていたが、彼が新しい音楽を心から楽しんでいることと、さらなる可能性をしっかりと体感することができた。

 ここでキーボーディスト・指田フミヤが招き入れられ、プラネタリウムでのライブ「LIVE in the DARK」でも指田とともに披露した松田聖子の楽曲「瑠璃色の地球」へ。また声の色を変え、ひと言ひと言を噛み締めるように、語りかけるように優しく歌いかけていく。壮大な宇宙を思わせる歌声に聴き惚れた。

 カバーの2曲目は、ミュージカル「モーツァルト!」の名曲「僕こそ音楽(ミュージック)」。ミュージカル楽曲は劇団に所属していた子役時代から歌ってきた原点である一方、意外にもコンサートなどで歌ったことはなかったという。緊張した面持ちでマイクを構えつつ、その第一声で「モーツァルト!」の世界がステージに呼び起こされた。難易度の高い楽曲を歌いこなすスキルはもちろん、セリフのような歌い回しに舞台俳優・入野自由のセンスも堪能。堂々たるロングトーンで締め括った彼に、ひときわ大きな拍手が湧き起こった。

「今日、愛のある空間にできてよかったです。アニメに歌に舞台にいろいろやってきて、みんなも入野自由についてくるのは大変だと思いますけど(笑)、ぜひぜひ楽しんでついてきていただけたらうれしいです。日々大変なことがいっぱいあると思いますが、歌でも役者としてでも、みなさんの痛みを和らげられるような存在になれたらうれしいなと思います」

 さらに「みなさんへのメッセージであり、みなさんからのメッセージだと思っている」と紹介し、ラストに「あいすること」が贈られた。たっぷりの愛情を込め、ぬくもりに満ちた歌声が会場を包み込む。軽やかなサウンドとともに、入野のピュアな想いが一人ひとりの心へ染みこんだに違いない。

 ノンストップのトークとライブを通して彼の才能と素顔が堪能できる、まさしく入野自由100%のステージ。さまざまな分野で挑戦を続ける原動力の源を感じると同時に、彼自身にとっても今後の活力となる時間になったはずだ。アーティストとして、声優として、舞台俳優として、次はどんな顔を見せてくれるのか。入野自由のさらなる活躍に期待が高まる。

【LIVEパート セットリスト】
M1. Who I Am
M2. 透明人間
M3. 瑠璃色の地球 Key.指田フミヤ
M4. 僕こそ音楽(ミュージック) Key.指田フミヤ
M5. あいすること

■リリース情報
入野自由 移籍第1弾シングル
『Who I Am』
2025年7月30日(水)リリース

【豪華盤】COCC-18301 価格:¥2,800(税込)
【通常盤】COCC-18298 価格:¥1,800(税込)

<CD収録内容>
01.Who I Am
作詞:TAIL 作曲:TAIL、Lumel、haku2 編曲:Lumel、haku2
02.透明人間
作詞:TAIL 作曲:TAIL、Lumel、haku2 編曲:Lumel、haku2
03.あいすること
作詞:Sean Oshima 作曲:諸見里修 編曲:Sean Oshima

■関連リンク
公式音楽ティザーHP:https://columbia.jp/irinomiyu-uuu/
アーティスト公式X(旧Twitter):https://x.com/miyuuu_official
YouTube OFFICIALCHANNEL:https://www.youtube.com/@irinomiyu-uuu_official
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