『星つなぎのエリオ』『ONE PIECE』『名探偵コナン』……BUMP OF CHICKEN、“映画主題歌”になぜ選ばれる?

 8月1日より公開中のディズニー&ピクサー最新映画『星つなぎのエリオ』の日本版エンドソングに、BUMP OF CHICKENの「リボン」が起用されている。「リボン」は2017年にリリースされた楽曲だが、“絆=つながり”をテーマにした映画と楽曲のメッセージが重なったことで、起用に至ったのだという(※1)。

「星つなぎのエリオ」日本版本予告|日本版エンドソング「リボン」performed by BUMP OF CHICKEN|8月1日(金)劇場公開

 BUMP OF CHICKENは、『ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険』(2003年)の主題歌「sailing day」をはじめ、これまでに多くの映画作品の主題歌を手掛けてきた。なぜBUMP OF CHICKENは、20年以上にもわたって映画の主題歌に選ばれ続けてきたのだろうか。

BUMP OF CHICKEN「sailing day」

 活動初期の代表曲でいえば「天体観測」「K」などが分かりやすいが、BUMP OF CHICKENの楽曲にはストーリー性がある。もともと、彼らは曲のなかでひとつの物語を紡いでいくことに長けているのだ。

 タイアップ楽曲では、映画の世界観や登場人物の心情を捉え、作品とリンクさせることで、相乗効果を高めてきたように思う。たとえば『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』(2011年)の主題歌「友達の唄」では、友情や別れといった普遍的なテーマが映画に寄り添いながら描かれている。『ALWAYS 続・三丁目の夕日』(2007年)の主題歌である「花の名」も、どこか懐かしいメロディ、人の温もりを感じられるような歌詞が、昭和の東京の下町で生きる人々を描いた物語に溶け込んでいた。

BUMP OF CHICKEN『友達の唄』
BUMP OF CHICKEN「花の名」

 加えて、作品にあわせてアプローチを変えられることも魅力だろう。先述の「sailing day」は疾走感のあるロックナンバーであり、力強いバンド演奏がまさに“出航”を告げるようである。その一方で、『寄生獣』(2014年)の主題歌である「パレード」は打ち込みを多用しており、映画の切迫感を表すような雰囲気に仕上がっているのが印象的だ。『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(2022年)の主題歌である「クロノスタシス」もまたエレクトロなサウンドで、浮遊感と切なさを併せ持つ楽曲が映画を引き立てていた。

BUMP OF CHICKEN「パレード」
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 今回、『星つなぎのエリオ』の日本版エンドソングに起用された「リボン」は、もともとバンドの結成20周年イヤーのラストを飾る新曲として発表された。バンドの歩みを振り返るような〈嵐の中をここまで来たんだ〉という歌詞にはじまり、〈僕らを結ぶリボンは 解けないわけじゃない 結んできたんだ〉と、メンバー自身の意志をもってBUMP OF CHICKENというバンドが20年続いてきたことを告げるような楽曲である。『星つなぎのエリオ』は、孤独な少年・エリオが、自分と似た想いを抱えるエイリアンの少年・グロードンと出会い、大切な“つながり”を見つけていく物語。人同士の固い結びつきを歌った「リボン」という楽曲が、この映画をあたたかく彩るのだ。

 作品に寄り添いながらも単になぞるのではなく、私たちが普段抱くような感情と結びつかせて、作品と現実の架け橋となるような楽曲を生み出していく。それこそが、BUMP OF CHICKENが20年以上にわたって映画の主題歌を手掛け続けている理由なのだと思う。今回の「リボン」もまた、映画の余韻を引き立てる役割を果たしてくれることだろう。

※1:https://www.disney.co.jp/movie/elio/news/20250625_01

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