天音かなた、長所も欠点もクリエイティブに昇華 等身大の自分を詰め込んだ最新アルバム『Trigger』を語る
あの時、辛かったり、嫌な思いしたからこそ、今こうやって表現できている
ーーそして今回も天音さん自らが参加した曲が2編収録されています。まずは3曲目に収録されている、作詞・作曲を手掛けた「十万億土」。
天音:ちょっとかっこいい、ダークめな雰囲気の曲を作りたいというアイデアからスタートしましたね。編曲をしてくださったNumaさんにも手伝っていただきつつ、曲から先に頑張って作っていきました。ポイントはサビで転調する部分ですかね。メロが全部できた段階で、「転調させたい!」っていう気持ちになっちゃって(笑)。音楽に詳しい方からすると、「そんなとこで転調させないよ!」みたいなことを言われちゃいそうで、ちょっと怖さもあるんですけど、でも本当におかしいことならNumaさん含め、周りの方々が正してくださるだろうなと思って。自分はまだまだ作曲に関しては慣れていないし、言ったら素人みたいなものですけど、自分のやってみたいことを思いきりやってみたいなと思って作っていったんですよね。自分のアイデアをそのまま形にできたのが嬉しかったです。
ーー歌詞に関してはどんなイメージで綴っていったんですか?
天音:歌詞はめちゃめちゃ時間がかかりましたね。自分は天使なので、いわゆる一般的なイメージの天使っぽい曲を歌わせていただくことが多いんですけど、今回はそこからちょっと離れて、死神っぽい曲をやってみたいなと(笑)。実際に死神なわけではないんだけど、ちょっと悪い人の視点で、あの世の方から「こっちに来いよ」って語りかけている内容にしたかったんです。全体的にダークで強そうな雰囲気にしたかったので、難しい言葉とかをいろいろ調べながら、さらに韻を踏むことを大事にして書き始めたら、それがもうほんとに大変で。結果的にものすごく時間がかかってしまったっていう。
ーー確かにかなり韻を踏んだ歌詞になっていますよね。
天音:ラップを聴いて生きてきたわけじゃないし、そもそもラップに詳しいわけでもないんですけどね。この曲では韻を踏むという謎のこだわりが(笑)。
ーー曲の頭はラップになっていますしね。そういうモードだったのかも。
天音:そうなんですよね。急にラップを作って、歌ってみたいっていう気持ちになっちゃって。自分なりの挑戦でした。
ーー「十万億土」というタイトルにはどんな意味を込めたんですか?
天音:タイトルは最後に決めましたね。十万億土って、現実世界と極楽浄土との間にあるところとか、極楽浄土そのものみたいな意味があるんです。この曲に関して言えば、死神のような悪い人が誘っている場所が、その人にとってのいいところ、十万億土だよっていう気持ちで。悪意を持って誘ってはいるんだけど(笑)、あえてそれを極楽ということにしようかなって。そんな意味を込めましたね。
ーーご自身で作られた曲だと、歌の表情、ニュアンスも迷いなくつけられる感じですか?
天音:そうですね。作っているときから何度も声に出して歌っているので、そもそも歌い慣れていますからね。だいたい方向性は自分の中で決まっていたし、レコーディングの段階でさらに入れたい表現も見えてきやすかったと思います。ラップの部分も、自分なりにこだわってレコーディングできましたね。
ーー7曲目の「世界で一番のアイドル」では、天音さんが作詞をされていますね。作曲は西片瑞樹さんとめんまさん、アレンジは西片さんです。
天音:「十万億土」での作詞で大変な思いをした後だったので、この曲でまた作詞をすることにちょっと不安がよぎったんですけど、自分で書くと言ったので頑張ろうと。で、韻を踏むことを考えると非常に時間がかかるということがわかったので、だったらこの曲は「こだわるな、韻に!」という思いで行こうと(笑)。「韻なんて踏まねえ!」と思い書き始めたら、すぐ書けましたね。3日もかかってないと思う。僕の場合は韻を踏まないほうがいいみたいです(笑)。
ーーあははは。韻は踏まずとも、天音さんのリアルな思いがしっかり注がれている歌詞になっていますよね。それがすごくいいなと。
天音:自分の活動を自分の目線で書けたとは思いますし、だからこそ他の人には書けない歌詞になったと思います。自分の目線の先にいるファンのみんなを強く意識しながら、しっかり届けたいなと思って書いていったんです。この1曲で、ここまでの5年半をあらわせるような曲になったと思います。ファンの方がグッときてくれたら嬉しいですね。
ーーファンの心に刺さるであろうフレーズが満載ですからね。
天音:ありがとうございます。一番最初に出した「特者生存ワンダラダー!!」の歌詞をちょっと引用した部分もあるし、自分が作詞・作曲した「キセキ結び」という楽曲からの流れで“結ぶ”いう言葉を使ったりもしたんですよね。いろいろ発見してもらえたらいいな。
ーー天音さんの様々な思いが詰め込まれているからこそ、ボーカルにもものすごく感情がこもっていますよね。
天音:この曲には気持ちがあまりにもこもってしまいましたね。歌おうとするともう涙がボロボロ出て、鼻が詰まってズルズルになるくらいなので、レコーディングは一番大変だったかもしれないです。でも、自分としても満足できる仕上がりになったので、みんなにいっぱい伝わって欲しいですね。
ーー濃密なアルバムは、堀江晶太さんの作詞・作曲・アレンジによる「わたしのせいだ」で幕を閉じます。この曲もまた天音さんのこれまでの活動、引いては人生までをも感じさせる内容で。めちゃくちゃ感動的なエンディングだなと思いました。
天音:この曲には、ほんとに自分の今まで生きてきた人生、そこで感じてきた思いを詰め込んでもらえましたね。配信ではたぶん全部言いつくしてきちゃってることかもしれないけど、あらためて曲としてお伝えさせていただけるのは、すごく意味があるなと感じています。悲しいとか悔しいとか、けっこうマイナスな感情が出ていますけど、最終的にはちゃんと前を向ける曲に仕上げていただくことができましたね。堀江さんからは「もし歌詞的に踏み込みすぎてたら、全然マイルドな書き方にしますよ」と言っていただいたんですよ。実際、かなり踏み込んだ内容ではあったんですけど、でも僕としてはそのままで行こうと思えたんです。いいことも悪いことも全部が“わたしのせいだ”って書いてくださったところが、すごくステキだなと感じましたね。この曲でも自分のことを歌える喜びがあったので、細かい部分にまで気持ちをしっかり込めて歌うことができました。
ーーこれまでに味わってきた様々な大変だったことが、この曲を通して昇華できたところもありそうですよね。
天音:そうですね。モヤモヤしたこととか、なかなか言葉にはできない思いなんかをクリエイティブに昇華できることって、すごくステキだと思うんです。もし悲しい出来事や、ショックな出来事があったとしても、それを曲にすることができたらプラスやん、みたいな感じで(笑)。その思いは今回のアルバム制作を通して、あらためて感じることができましたね。あの時、辛かったり、嫌な思いしたからこそ、今こうやって表現できているんだなって。それがすごく嬉しいし、楽しかったです。
ーーそういう意味でも音楽は天音さんにとって大事な居場所なんですね。
天音:はい。基本的に暗くて後ろ向きな人間なので、それがプラスに働くという点では、クリエイティブにすごく助けられています。
ーーアルバムに「Trigger」というタイトルが掲げられたのも、天音さんの未来に向けた強い意志が感じられます。
天音:はい。5年半活動してきて、ちょっとずつ手にしてきた自信が形になってきたのかもしれないですよね。実は1stアルバムのときにもタイトルを「Trigger」にする案はあったんですよ。でも、その言葉を使うのは2枚目以降かもなと思って、あたためていたんです。それを今回、使えたのが自分としては嬉しいですね。たぶん1stのときは、引き金を引いたとしても迷いながらだったと思うんです。でも今は「えいっ!」って迷いなく引けるから。客観的に見ると歌での知名度的にはまだ“Unknown”な部分があるとは思うんですけど、歌うということに関しては上手くなってきた自信もあるし、ある意味、肝も据わってきまして。「ここからガンガン行くぜ!」って感じになってると思いますね。
ーーこのアルバムを携え、8月13日には有明アリーナで1stソロライブ『LOCK ON』が開催されますね。
天音:いつの間にかソロライブに関しては待ちの姿勢になっていたというか、「いつかやれる日が来てくれるだろう」みたいな気持ちになっていたので、やっとみんなに「来てね!」と言える日が来たことが純粋に嬉しいです。決まった瞬間は、喜んでくれるファンのみんなの顔が真っ先に浮かびましたからね。「とうとう来たぜ!」っていう感じでした。
ーー音楽活動を始めてから約4年が経っているので、ソロライブがなかなか実現しないことにもどかしい気持ちもあったんじゃないですか?
天音:そうですね。素直に言うなら、音楽活動自体もなかなかうまく回らなくて、丸1年、曲を出せない時期も実はあったんですよ。そういう状況は自分の中で確かにずっともどかしかったです。「このままソロライブができずに終わっちゃうのかな」って思うこともありましたし。でも、あまり気にしすぎると悲しさに溺れていくし、そもそもソロライブなんて一朝一夕にできるものじゃないなっていう思いもあったので、とにかくコツコツとやれることをやっていくことで気持ちを保っていたような気がします。
ーーソロライブができるのもできないのも“わたしのせいだ”という気持ちで、前を見つめ続けたのかもしれないですね。
天音:そうですね。「その日が来てくれないと困るぜ!」みたいな気持ちで、やれることをまっとうしていた感じですね。
ーーそんな思いが形になった念願の1stライブは最高のものになりそうですね。
天音:本当にそうですね。自分のファンのみんなで会場が埋め尽くされ、自分1人でひとつのライブを作り上げられることが本当に嬉しくて。もう楽しみでしかないというか。実現までに時間がかかった分、曲がめっちゃあるっていう嬉しい悲鳴もあるんですよ。どうやってもすべての曲を歌えるわけではないので、それが悔しいというか(笑)。
ーーステージに立ったとき、どんな気持ちになりそうですかね。
天音:どうだろうなあ。さっきもちょっと言いましたけど、アルバムを次も出せるかっていったら、それも約束されたことではないじゃないですか。それはライブやイベントも一緒。次があるかはわからないっていうのは、ネガティブな話ではなく、正真正銘のリアルだと思うんです。だからこそ、これが最初で最後だという気持ちを持って全力でライブに臨むので、そこで感極まるのか、清々しいドヤ顔になるかは、やってみないとわからないですね(笑)。とにかくやり切るのみ。で、それが次に繋がってくれるのであれば、それはもうめちゃめちゃ嬉しいことだなって思います。
ーー当日を楽しみにしていますね。
天音:はい。このライブをきっかけに、さらにいろんなものを“LOCK ON”していきたいと思います。あ、ちなみに結石がもしライブまでに出なければ、ステージを一緒に過ごすことになるんですよね。“天音かなたwithストーン”ということで、ライブにゲストが増えるのでお楽しみに(笑)。
■リリース情報
『Trigger』
発売中
詳細:https://cover.lnk.to/Trigger
【完全生産限定版】
価格:13,200円(税込)
収録曲数:CD全9曲
仕様:ワンピースボックス(A4サイズ)
封入特典:『Trigger』アクリルスタンド/hololive OFFICIAL CARD GAME PRカード hBP01-013「天音かなた」 /秘密の特訓ノート
【通常盤A/B】
価格:3,850円(税込)
構成数:1枚
収録曲数:CD全9曲
仕様:三方背透明スリーブ
価格:3,850円(税込)
※法人特典は無くなり次第終了。
■ライブ情報
『Amane Kanata 1st Solo Live“LOCKON”』
開催日時:2025年8月13日(水)
会場:有明アリーナ
現地開場 17:00/配信開場 18:00/開演18:30
出演者:天音かなた
主催:カバー株式会社
特設サイト:https://lock-on.hololivepro.com
<チケット情報>
【現地会場チケット】
S席:12,000円(税込)
A席:9,500円(税込)
B席:8,300円(税込)
【配信チケット】(SPWN、ZAIKO)
価格:6,500(税込)
・SPWNチケット購入
日本:https://spwn.jp/events/evt_25081301-jpkanata1stlive
海外:https://spwn.jp/events/evt_25081302-engkanata1stlive
・ZAIKOチケット購入
日本・海外共通:https://hololive-production.zaiko.io/item/372028
※視聴チケットは2025年5月31日(日)21:00〜2025年9月13日(土)20:00まで購入可能。
※公演終了後、公開準備ができ次第アーカイブ視聴可能となり、2025年9月13日(土)23:59まで何度でも視聴可能。
※2025年9月13日(土)23:59を過ぎると、アーカイブ視聴中でも視聴不可となる。
※本チケットの購入時には、別途手数料として220円が発生。
■関連リンク
Kanata Ch. 天音かなた:https://www.youtube.com/@AmaneKanata
ホロライブプロダクション公式サイト:https://hololivepro.com/
ホロライブプロダクション公式X(旧Twitter):https://x.com/hololivetv
ホロライブプロダクション公式TikTok:https://www.tiktok.com/@hololive_official
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