松本潤主演『19番目のカルテ』スタート あいみょん、小田和正、King Gnu……日劇主題歌はなぜ注目される?

 昨年10月から12月にかけて放送された『海に眠るダイヤモンド』の主題歌はKing Gnu「ねっこ」。日本の高度成長期において圧倒的な成長率を示した石炭鉱業の重要な拠点となった長崎県・端島を舞台とした物語だ。かつての戦争の傷を背負い ながらも、端島で懸命に生きた人々の群像劇を描いた『海に眠るダイヤモンド』に「ねっこ」はあたたかく寄り添う。

主題歌 King Gnu「ねっこ」解禁!! 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』【TBS】

 宮沢賢治の『雨ニモマケズ』を彷彿とさせるような心の声を内包しながらも、〈あなた〉を深く深く想うその切実さは戦後間もない時代と現代を繋ぎ、今に生きる若者たちが愛や夢を持てるような社会にと希望を込めて制作された『海に眠るダイヤモンド』に添い遂げた。

King Gnu - ねっこ

 2018年のシーズン1、そして2024年7月のシーズン2と、2シーズンにわたって放送された『ブラックペアン』の主題歌はいずれも小田和正が担当。シーズン1では「この道を」、シーズン2では「その先にあるもの」が主題歌となった。代表作に『チーム・バチスタ』シリーズを持ち、作家/医師としても活躍する海堂尊による小説の実写ドラマである本作は、海堂の経歴が発揮された医療ドラマ。両シーズンともに主人公を演じるのは二宮和也だが、シーズン1とシーズン2で主人公は別のキャラクターに置き換わっているという極めて特異な作品だ。それぞれのキャラクターを演じ分ける二宮の姿や、AIといった現代ならではの要素が表出するという意味では、従来の医療ドラマとは一線を画す。それでも、常に生と死が物語の根底にあり、院内政治というイヤな大人としての部分を描くあたりは医療ドラマらしく、そして日曜劇場らしい作品でもある。

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 そんな『ブラックペアン』を小田は、爽やかに、そして丁寧に包み込む。〈生きて行くことは 明日へ向かうこと〉(「その先にあるもの」)という歌詞は、医療ドラマとしての『ブラックペアン』の世界観と重なるし、とりわけ〈誇りと 正義のために/戦う 自分がいるはず〉(「この道を」)というフレーズは、多くの世代の視聴者にも刺さるものがあったのではないだろうか。

その先にあるもの

 “国民的ドラマ枠”、と言っても過言ではない日曜劇場。その主題歌を担当してきたアーティストを振り返ると、tuki.のような10代の若手から、小田和正のような大ベテランまで実に幅広い世代のアーティストが起用されていることに気がつく。これは、日曜劇場が幅広い層に支持されていることの裏付けであるとともに、それぞれの作品がメッセージをより一層届けたい世代などを思考していることの表れでもある。

 主題歌をドラマのテーマを補完する“トリガー”としながら、多様な世代にメッセージを届けようとする日曜劇場の姿勢があるからこそ、これほどまでに主題歌が注目度を高めてきたのだろう。『19番目のカルテ』、そしてあいみょんの「いちについて」は人々に向けてどんなメッセージを届けてくれるのだろうか。

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