PassCode「やめるっていう選択肢はなかった」 コロナ禍での体制変更、さらなる高みを目指す覚悟

「今のPassCodeがそのまま投影された内容に」(高嶋)

ーーアルバム後半には、先ほど話題にも上がった有馬さん作詞作曲による「A certain Motor-Heart is not working right!」が登場します。パンチが効いた1曲で、アルバム全体の中でもすごくいいアクセントになりましたね。

有馬:ありがとうございます。最初は普段制作に携わっている平地さんや作詞家さんが書いたように思わせるような作り方をしていたんですけど、それだけじゃ私が作詞作曲する意味がない、普段のPassCodeの真似をしたって勝てるわけがないと思って、〈LALALA〉というフレーズとか変なラップとか追加してクセを強くしたんです。さっき「VIRIVIRI」のときにも話しましたけど、私はイントロをサビで回収する手法がすごく綺麗だなと思っているので、そういう話でいくとこの曲もイントロのドラムのリズムをサビの歌メロで回収してるんですよ。「VIRIVIRI」とこの曲はタイプが全然違うんですけど、自分の中ではアルバムの構成的にも対になっているんじゃないかなと思っています。

ーーなるほど。

有馬:あと、作詞に関してもこの曲はおもろい作り方をしていて。私、英語を喋れるわけではないんですけど、洋画とか洋楽を摂取しているから何となくわかるみたいな感じになっているんですね。で、この曲の歌メロを作ったあと、これにどうやって英語をハメようかと考えたときに、映画の『NANA』の中でデタラメ英語で即興で歌うシーンがあったのを思い出して、それを参考にして私もデタラメ英語で歌ったフレーズをGoogleの音声認識にかけてみたんですよ。それでできたのがこの英詞で、〈smothering〉とかよく出てくる単語も全然知らなかったけどGoogleが導き出してくれたものなんです。「息ができない」とか「苦しい」みたいな意味なんですけど、曲の世界観にもぴったりでしたね。

南:えみちゃんがそうやって映画から得たことを、実は平地さんも同じようにやっていて。デタラメ平地語で仮歌をレコーディングしたデモを聴いて、作詞家さんはそこから歌詞を起こしたりしているらしくて、平地さんの言葉のニュアンスを残して作詞するそうなんです。えみちゃんはそれを別に真似したわけじゃないのに、自然と同じようなことをしていたのがちょっと面白いなって、今聞いていて思いました。だから、この「A certain Motor-Heart is not working right!」も気持ちよく歌えたんでしょうね。

ーー語り口調っぽいシャウトも新鮮ですよね。

南:そうですね。あれもPassCodeでは初めてですし、えみちゃんじゃないと作れなかったパートじゃないかな。平地さんはメタルに深く精通しているタイプじゃないからこそ、PassCodeらしいオリジナリティが確立できたと思うんですけど、10数年も続けていると凝り固まってくる部分もあるじゃないですか。そこに、メタルに精通したえみちゃんが加わったことで新しさを見せることができたので、この曲は今のPassCodeならではの1曲だと思います。ライブでもどこに入れるかすごく楽しみですし、それこそメタル系バンドが多いイベントで放り込んでみたら反応が面白そうですね。

ーーアルバム終盤に配置された「Echoes」は、クライマックスに相応しいエモーショナルなミディアムナンバー。この曲でアルバムを締めても不思議じゃないところを、あえて「Clouds Across The Moon」をラストに持ってきたことでエンディングが締まりましたよね。

南:嬉しい。「Clouds Across The Moon」はライブのセットリストを組むとき、最後の曲に持ってくることが多くて。ライブが終わったあとに「今日のPassCodeのライブ、よかったな」と思いながら帰ってもらいたいので、そういう意味でも「Clouds Across The Moon」はライブを通して育てようとリリースしたときから思っていたんです。それがライブを重ねていく中で定着していき、自分たちとファンの皆さんとでこの曲を完成させたような感覚もありましたし、平地さんもライブを観て「次のアルバムは『Clouds Across The Moon』がラストやなと思った」と言ってくださったそうなんです。

高嶋:「Echoes」は事務所の社長の法橋(昂広)さんが作詞を担当しているんですけど、普段の私たちを知っているからこそ、今のPassCodeがそのまま投影された内容になっていて。なので、歌っているときもすごく感情移入しやすいです。

南:初期に「over there」という曲があるんですけど、そこでは〈君は一人じゃない いつだって 泣いていても仕方ないぜ〉と歌っていたところを、「Echoes」では〈いつの日も僕らは1人じゃない〉と歌っていて。誰かに対して歌っていたのが自分たちに歌いかける形に変わったところが、10数年かけて一緒に歩いてきた私たちへの社長からのプレゼントのように感じられて、初めて聴いたときは涙が出そうになりました。

ーーそういう思いのこもった「Echoes」があるからこそラストの「Clouds Across The Moon」がより光る、そういうエンディングになりましたね。4年半待った甲斐のある、素晴らしいアルバムに仕上がったと思います。

南:ありがとうございます。以前はアルバムってなかなか消化しきれなくて。ライブでも新曲が一気に増えるけど、結局はミュージックビデオを制作した曲からたくさん披露していく形になっていって、それがもったいないねとよく話していたんです。それで、最近はEPという形でリリースを続けて、ライブで少しずつ披露していったんですけど、今回のアルバムでは新曲が6曲。どれもカラーもキャラも全然違うから、ライブでの使い勝手がすごくいいんじゃないかと思っているんです。

「“今までありがとう。これからもよろしく”っていう気持ち」(大上)

ーー確かに、ライブにおける新しい武器が一気に増えた印象です。その新作を携えた全国ツアー『PassCode DESTINY to the NEXT TOUR 2025』が、リリースに先駆けて5月24日から始まっています。そして、11月9日には横浜BUNTAIでのアリーナ公演『PassCode YOKOHAMA BUNTAI 2025 “DESTINEX”』も控えていますが、ここからの活動に向けて期待することをおひとりずつ聞かせてください。

大上:横浜BUNTAI公演が発表されたとき、今まで応援してくれていた人たちがすごく喜んでくれたから、その人たちに「今までありがとう。これからもよろしく」っていう気持ちで楽しんでほしいです。でも、私たちとしてはさらに先へ進んでいくためにも、もっとPassCodeを広めるためにどうしたらいいのかをたくさん考えたくて。11月の横浜BUNTAIまでにはまだ時間があるので、今はそれに向けて全力で頑張りたいなと思っています。

有馬:横浜BUNTAIはPassCodeにとって2回目のアリーナ公演ですけど、2回と言わずさらに大きな会場でできるように、ステップアップの1日になればいいなと思ってます。

高嶋:アルバムの新曲も増えましたし、ライブの雰囲気や感じ方もまた少し変わると思うので、その変化を含めて新しいPassCodeにワクワクしてほしいですし、11月の横浜BUNTAIがより楽しみに思ってもらえるようなライブをどんどんしていきたいです。

南:横浜BUNTAI公演のタイトル『PassCode YOKOHAMA BUNTAI 2025 “DESTINEX”』にある「DESTINEX」は、最初のほうで陽奈子が言ったように「Destiny」と「Next」を掛け合わせた造語ですけど、決められた運命に抗って自分たちの目指す先を決めて、その目標を実現させることによってそれをまた運命と呼んでもらえるんじゃないかと思うので、自分たちを信じ続けていけばこの先もっと大きいところでライブができたりするはずなんです。なので、11月9日を境にまた新しい運命を切り開いていけたらいいなと思います。

ーー横浜BUNTAI公演を成功させることが、次の一歩につながるわけですものね。

南:そうですね。特に武道館が終わったあとは「今まで応援してきてよかった」と、なぜかエンディングのような雰囲気になってしまったところもあって、そこがしばらく停滞感にもつながったのかなという気がするので、今回はそう感じさせないようにしっかり未来を期待させる1日にしたいです。

■リリース情報
『INSIGNIA』
6月18日(水)リリース

<商品形態>
・初回限定盤(CD+Blu-ray)
価格:9,350円(税込)
・通常盤(CD)
価格:3,300円(税込)

<収録内容>
CD
全12曲収録
01. DESTINEX
02. MIRAGE WALKER
03. SKILLAWAKE
04. VIRIVIRI
05. Freely
06. One Time Only
07. GROUNDSWELL
08. A certain Motor-Heart is not working right!
09. WILLSHINE
10. FLAVOR OF BLUE
11. Echoes
12. Clouds Across The Moon

初回限定盤Blu-ray
・PassCode ASIA TOUR 2024 Final at Zepp Osaka Bayside
・PassCode ASIA TOUR 2024 Documentary

■公演情報
『PassCode YOKOHAMA BUNTAI 2025“DESTINEX”』
日程:2025年11月9日(日)
会場:神奈川・横浜 BUNTAI

チケット料金:Linkageスタンディング&指定席 ¥11,000
指定席 ¥7,700 / 学割チケット(指定席のみ) ¥5,500
※紙チケット(税込・スタンディングは入場整理番号付)
※Linkageメンバー全員にピクチャーチケットをプレゼント。

詳細情報はこちら:https://itony-live.co.jp/ps-buntai/

■ツアー情報
『PassCode DESTINY to the NEXT TOUR 2025』
5月24日(土)神奈川・横浜 BayHall
5月31日(土)兵庫・Harbor Studio
6月1日(日)大阪・GORILLA HALL OSAKA
6月19日(木)北海道・cube garden
6月21日(土)北海道・小樽 GOLDSTONE
6月28日(土)京都・KYOTO MUSE
6月29日(日)静岡・LIVE ROXY SHIZUOKA
7月5日(土)福岡・BEAT STATION
7月6日(日)広島・LIVE VANQUISH
7月11日(金)宮城・仙台 Rensa
7月12日(土)福島・郡山 Hip Shot Japan
7月18日(金)愛知・THE BOTTOM LINE
7月23日(水)東京・Spotify O-EAST

チケット料金:オールスタンディング ¥5,800 / 学割チケット ¥3,800
(税込・入場時ドリンク代必要・入場整理番号付)
※Linkageメンバー全員に各地デザイン別ピクチャーチケットをプレゼント。

詳細はこちら:https://passcode-official.com/topics/detail/index/1733

■関連リンク
PassCode オフィシャルサイト:https://passcode-official.com
PassCode オフィシャルファンクラブ “Linkage”サイト:https://passcode-linkage.com/
X(旧Twitter):https://x.com/passcodeo
YouTube:https://www.youtube.com/user/PASSCODE0000
Facebook:https://www.facebook.com/PassCodeOfficial/
Instagram:https://www.instagram.com/passcodeo/

関連記事