Suchmosが一貫して伝える“自由”の意味 横浜アリーナ、復活への大歓声を先導したバンドの矜持

 ライブは早くもラストスパートへ。新曲2曲を皮切りに一気に終盤へとなだれ込む。特に2曲目ではYONCEが「思いつくままに踊り続けろ」と何度も叫び続けていたのが印象的。暗黒大陸じゃがたらの「でも・デモ・DEMO」を彷彿とさせるこのフレーズは、言うまでもなくこのライブの中心テーマであり、現在のSuchmosの核心に迫るコンセプトだと感じる。勝手に楽しむ、それぞれで楽しむ、思いつくままに踊る。この日YONCEから飛び出した言葉は、ライブ中ずっと一貫していた。そして観客もそれに従って、彼らの音楽を思うがままに楽しんでいたように思う。その後、「GAGA」「VOLT-AGE」「YMM」と間髪入れずに続けて、会場のボルテージが最高潮に達したところで本編終了。拍手が鳴り止まなかった。

 アンコールで再び登場したメンバーたち。YONCEが、HSUを失ってからここまでの歳月の心境を語りHSUの息子2人へ向けて新曲「BOY」を披露した。ラストは初期の楽曲「Life Easy」をソウルフルに歌い上げて穏やかにライブを終えた。

 Suchmosが約10年前に日本の音楽シーンに現れた時、彼らの音楽性やその出立ちにワクワクしたのを覚えている。その後、ジャズやソウル〜ヒップホップなどのブラックミュージックを吸収し、独自のスタイルで発信するバンドやアーティストが次々に現れ、ある種のムーヴメントのような潮流が生まれた。Suchmosはその流れを牽引する存在だったと思う。だからこそ、Suchmosがいなかったこの数年間は、何かが物足りないような気がしていた。だが、彼らが帰ってきた今、そして彼らがバンドとして前に進むことを選んだ今、またあの頃の興奮が蘇ってきている。彼らはまた、その“自由”を武器に、音楽シーンにうねりを起こすかもしれない。

Suchmosに集約される“進化したクリエイティビティ” 沈黙破るまでの修業期間で培ったもの

10月7日、Suchmosが3年半ぶりに活動を再開する発表があった。“修業の期間を迎えるため”という理由で2021年2月から活動…

TAIKING×土屋太鳳とのコラボやYONCEのライブ出演も Suchmos、活動休止から各メンバー修行期間の現在

2021年2月3日、バンドのオフィシャルサイトにて「俺たちSuchmosは、修行の時期を迎えるため、バンド活動を一時休止します。…

関連記事