≠MEという巨大な船が追い風を背に進み始めた――再び立った特別な場所、ツアー『カフェ樂園』初日を観て

 『≠ME 全国ツアー2025「We want to find "カフェ樂園"」』が、6月7日にぴあアリーナMMよりスタートした。

 今年2月にさいたまスーパーアリーナで開催した結成6周年記念コンサート『≠ME 6th ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT』にて発表された今回の全国ツアー。アリーナ、ホールを巡る7会場13公演のツアーであり、すでにほぼすべての公演が完売(平日昼の地方公演も完売!)という、今のグループの勢いを示す状態となっている。8000人を動員し、ソールドアウトとなったツアー初日の一部をレポートする。

 ツアーのタイトルにもなっているように、桃源郷と呼ばれる“カフェ樂園”を目指す、「海を舞台とした大冒険」がライブのテーマ。12人がそれぞれのメンバーカラーの海賊衣装に身を包み、巨大な船に乗り込む姿は、6周年コンサートを踏襲した“その先”をイメージさせつつ、全長12メートルの巨大船のセットがまっすぐに伸びる花道の先までムービングするという“業界初”の試みとなっている。これが今後、ホール公演やツアーラストの国立代々木競技場 第一体育館ではどのようなステージプランになるのかはここでは明言できないが、少なからず、ぴあアリーナMMではメンバーを近くに感じられる演出が多々盛り込まれていた。

冨田菜々風

 また筆者が注目したのは、ライブスタッフまでマリンルックやボーダーの衣装を着用し、世界観を守っていたこと。さらに、ある曲で巨大船から大量のシャボン玉が噴射されている時に、スクリーンにかわいらしいクジラが映し出されていたことにも、筆者は大感動。メンバー12人がキャスト、ファンがクルーとなって、テーマパーク“≠ME WONDER LAND”を舞台に、「冒険の旅に出かける」というコンセプトとなっていた6周年コンサートの延長線にあるように思えてならなかった。

 セットリストは、夏の到来を感じさせる序盤ブロックの「夏が来たから」「君はこの夏、恋をする」、日替わりダンストラック(この日は尾木波菜、落合希来里、菅波美玲、本田珠由記)からの日替わり曲(櫻井もものソロ曲「桃色デイブレイク」)、ユニット曲「サマーチョコレート」「ウルトラレアキッス」「マシュマロフロート」をメンバー12人でパフォーマンスしたりと、ライブ定番曲との間にレアな選曲が織り混ぜられている印象だ。

蟹沢萌子

 なかでも特筆すべきは、10thシングル楽曲の披露である。6周年コンサートで初披露だった「神様の言うとーり!」にメンバーへのコールが付き、すっかりライブチューンへと様変わりしたことに驚きつつ、ツアータイトルにもなっている「カフェ樂園」は、この日が初披露となった。永田詩央里をセンターにした蟹沢萌子、冨田菜々風とのユニット曲で、振り付けはs**t kingzのshojiが担当したファンクナンバーだ。

 そして、もう一曲は「モブノデレラ」。YouTubeでのMV再生回数がグループで初めて1000万回再生を突破した、まさに勢いに乗る今の≠MEを象徴する、新たな代表曲だ。すでにテレビ番組でパフォーマンスはしているが、ライブでの披露はまだ数えるほどという特異な状態にある「モブノデレラ」を、会場全体が固唾を吞んで見つめている。シンデレラの世界観をベースに脇役にスポットを当てた「モブノデレラ」は、ヒロインにも、主人公にもなれない悔しさや嫉妬を表現した楽曲。『Venue101』(NHK総合)に≠MEが出演した際、VTRにてプロデューサーの指原莉乃は、悲しい色合いのドレス衣装が先行して決まり、そこから歌詞を書いたと話していたが、〈誰かの色が混ざってきて/私だけグレーになっていった〉という歌詞を表現するようにして、モニターの氷の舞踏会の青色は徐々にモノクロへと変化していく。

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