iriが遂げた進化の真相と挑戦の足跡をたどる EP『Seek』で証明された無二の個性、そして開かれた未来

 2023年のアルバム『PRIVATE』から約2年ぶりのパッケージ作品となる新作EP『Seek』を携え、未来へと広がるサウンドスケープを目指すiriの新たな旅が始まった。

 アルバム『PRIVATE』(2023年)では、コロナ禍という特殊な状況下で光を求めつつ、自分らしくあろうと強く意識することでストイックな作品となったアルバム『neon』(2022年)から一転して、肩の力を抜いた日常の幸せをカジュアルに歌い綴ったiri。2024年3月には自身の音楽活動を総括するように、初の日本武道館公演を成功裏に終えると、2曲のドラマ主題歌「Swamp」(『スカイキャッスル』)、「Faster than me」(『わかっていても the shapes of love』)と、同年11月に東京、大阪で行ったワンマンショーのテーマソング的な位置づけの「Pick you up」を配信リリース。なかでも「Pick you up」は、瑞々しいハウストラックとともに、全国各地のファンをiriが“迎えに行く”というメッセージに、iriが過去の自分自身を“迎えに行く”というもうひとつのメッセージを重ねた楽曲で、ファンとのつながりを含め、自身が置かれた現在地を再確認しながら歩みを進めた2024年の活動を象徴する楽曲だった。

iri - Swamp (Music Video)
iri - Faster than me (Music Video)
iri - Pick you up (Music Video)

 音楽的には、ギターを手に、歌とラップをシームレスに行き来しながら紡ぐオーセンティックなソングライティングを軸に、iriの楽曲はアレンジのドレスアップとドレスダウンを繰り返してきた。前者は、水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミがハウスミュージックに仕立てた「Watashi」をはじめ、旬のプロデューサーとともにヒップホップ/R&Bのビートやアップリフティングなダンストラックへと昇華するアプローチ、後者はバイラルヒットを記録した代表曲「会いたいわ」に象徴されるように、生のままの弾き語りのオーガニックな響きを活かすアプローチ。その両輪を駆動させることで、その表現に華やかさと深みを共存させてきた。

iri - 会いたいわ (Music Video)

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