『TOMOO Live at 日本武道館』スペシャル編成による集大成的ライブ それぞれの想いが注ぎ込まれた満杯の“器”

 「今回、武道館ライブのTシャツを作ったんですが、バックプリントに使われていたオレンジ色の写真、あれが何の写真かわかった方いますか? 実はあれ、水を限界まで張った器なんです。真上から見下ろすように撮られていて。水が表面張力でギリギリまで張ってあるから、見る人によって『空っぽ』にも『満杯』にも見える。今日の武道館も、私にとってはそんな『器』みたいな場所だったらいいなと思ったんです」と、今回のライブに向けた想いを語り始めたTOMOO。

 「これまでのライブには、その時々の気持ちや『現在地』を込めてタイトルをつけてきたんですけど、今回はあえてつけませんでした。それは、ここに来てくれた皆さん一人ひとりがどんな気持ちで今日を迎えたのか、どんな日々を過ごして、何を思い出していたのか……そんな想いをこの『器』に注いでもらえたらと思ったから。そして、その時間や感情が、あなたの中の思い出として残ってくれたら、それが何より嬉しい。そんな気持ちを込め、今回はタイトルをなしにしました」と、ライブのタイトルを無題にした理由も明かした。

(撮影=Kana Tarumi)

 ライブもいよいよ終盤に。サビでハンドウェーブが起きた「HONEY BOY」、〈お揃いで見れる夢なんていくつもない 歩き続けてまた会えるかな〉と歌う歌詞が、ここ武道館で心に沁みた「オセロ」と続け、美しいバラード「エンドレス」をしっとりと歌い上げた後、メジャー1stアルバム『TWO MOON』の冒頭曲であり強力なファンクチューン「Super Ball」で本編を終了。

 アンコールに応え、再び登場したTOMOOはTVアニメ『CITY THE ANIMATION』のエンディング主題歌として書き下ろした新曲「LUCKY」(7月リリース予定)を、ピアノの弾き語りで披露。さらに、「POP'N ROLL MUSIC」でタオルを回しながらコール&レスポンスまで呼びかけ会場を一つにした後、「今日はここに会いにきてくれて、受け取ってくれてありがとうございました」と挨拶。最後に「Present」を演奏しこの日のライブを締め括った。

(撮影=Kana Tarumi)
(撮影=renzo masuda)
(撮影=renzo masuda)

 「自分が音楽をやっている意味とか、これからどう在りたいかを考えたとき、ひとつ手がかりになるとすれば、それは『透明であること』なのかもしれない」そう最後のMCで話したTOMOO。

「今日のセットリストを振り返っても、曲ごとに景色や色、季節が全然違っていて。それらは最初から私の中にあったものじゃなくて、外の世界から注がれてきたものだと思うんです。だから今は、たとえ空っぽでも怖くない。豊かさや心の強さも、自分の中というより、人や世界との『あいだ』にあるのかもしれないから。そんなふうに、これからも音楽を残していけたら嬉しいです」

 武道館という『器』でいったんすべてを出し切ったTOMOO。その透明な器に、これからどんな想いや景色、音楽が注がれていくのか──。新たな一歩を踏み出した彼女のこれからが、ますます楽しみだ。

(撮影=Kana Tarumi)

■セットリスト
1. Ginger
2. Friday
3. 恋する10秒
4. 夢はさめても
5. らしくもなくたっていいでしょう
6. 地下鉄モグラロード
7. ナイトウォーク
8. 17
9. コントラスト
10. あめ玉
11. Your Friend
12. 金色のかげ
13. 雨でも花火に行こうよ
14. ベーコンエピ
15. Grapefruit Moon
16. Cinderella
17. 風に立つ
18. HONEY BOY
19. オセロ
20. エンドレス
21. Super Ball

En1. LUCKY
En2. POP'N ROLL MUSIC
En3. Present

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