浜崎あゆみが歌う“あの頃”と変わらない魂 月9主題歌「mimosa」で綴る、悩み傷つきながらも生きる人へのエール

今年28年目に突入した浜崎あゆみ。デビュー記念日の4月8日には、昨秋からのアジアツアーの第二弾『ayumi hamasaki ASIA TOUR 2025 A I am ayu -epi.ll-』をスタートさせ、同時に、春からの月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)の主題歌「mimosa」もリリース。ベテランの座にあぐらをかくつもりなど毛頭ない勢いで、2025年もayuは走り続けている。ここでは、ドラマにも触れながら「mimosa」を紐解いていきたい。
『最後から二番目の恋』(フジテレビ系)が最初に放送されたのは2012年のこと。主演は、小泉今日子(TV局勤務のドラマ制作プロデューサー・吉野千明)と中井貴一(鎌倉市役所の観光課勤務・長倉和平)。煩わしくも愛すべき人と人との繋がりを、恋愛も友情も仕事も家族も全部ひっくるめた人生の喜怒哀楽としてコケティッシュに描いたこのドラマは、日々の悩みが消えることはないと知った大人たちに共感を巻き起こした。『ビーチボーイズ』や『ひよっこ』で知られる脚本家・岡田惠和の、軽妙洒脱な台詞の虜になった人も多かったはず。
その人気ゆえ2014年には続編が作られ、そこからさらに11年経った今年、『続・続・最後から二番目の恋』が初めて月9として登場した。2012年当時バリバリの働き盛りだった千明は、今や定年間近。和平に至っては定年を過ぎ、再雇用で働いている身。どちらの役柄も、小泉、中井の実年齢と一緒だ。2人をはじめとした主要キャストも全員変わらず、リアルに歳を重ねた姿で出演。これまでの時間、ここからの時間を大人たちがどう受け止めて、今をどう生きるのかということに、このドラマは繊細な眼差しを向け続ける。そこに俳優陣の実人生が重なるのも魅力なのだ。
上記3シリーズの主題歌がすべて浜崎あゆみの書き下ろしとなったのも、時間経過とともに変化する都度都度の心境を、彼女なら掛け値なしに刻んでくれると、ドラマ制作陣が信じたからだろう。今回担当するにあたってayuは次のようなコメントを出している。
「how beautiful you are」「Hello new me」に続いて主題歌を担当させて頂き、とても光栄です。年月を重ねる事で変わっていくものと変わらないもの、誰にでもある人生の両面を表現してみました。ドラマと共に歩んできた皆様にも、今作が初めての皆様にも寄り添える一曲になると嬉しいです。(※1)
「how beautiful you are」では、もがきながら精一杯生きることの美しさを、「Hello new me」では、大切な出会いで見つけた新しい自分を歌ったayu。どちらもとてつもなく優しく穏やかなバラードだった。今回の「mimosa」も「Hello new me」同様、作曲・多胡邦夫、編曲・中野雄太による“ザ・浜崎あゆみ”な珠玉のバラード。しかし、転調後のサビは実にロックだ。骨太なギターのせいだけじゃない。歌詞そのものに反骨精神が如実に現れている。過ちだらけのあの愛すべき若き日は遠くなった。でも、あの頃と変わらない魂は奥底にちゃんとあって、だからこそ、今も悩み、傷つき、もがきながら人生を歩んでいる。そんな心の叫びが、ヒリヒリと伝わってくる。
千明と和平は、今や何事にも穏やかに折り合いのつけられる立派な大人。でも、世間から押し付けられる“老後”や“セカンドライフ”という言葉には、違和感も覚えている。第1話では、そんな心境とともに千明が「でも、そもそも大人になれてる?」と和平に問いかける場面があった。これには、多くの視聴者が自分を顧みて、「いや、子供の頃と変わってないな」と苦笑いでつぶやいたことだろう。もちろん時間は無情で、2人は同年代の突然の死にも直面する。「人って死んじゃうんですね」、「はい」と、人生の残り時間をそれぞれに思う姿は、大人の侘しさを衒いなく表現した名シーンだった。「セカンドライフで人生、もう1回やるの?」と斜に構えていた千明が、「人生もう1回できるかも」と変わったのは、有限の時間を躊躇なく生きたいように生きることを決めたからだ。