Ado「こんな私が夢を叶えられたんだから、きっと未来は大丈夫」 世界ツアー開幕、残された祈りへの挑戦

 「みなさん、こんばんは。Adoです。再びさいたまスーパーアリーナに帰ってきました!」。「Episode X」を終え、彼女は話し始めた。2022年、『カムパネルラ』と『超パーティー2022』でこの場所に立った喜びを思い返しながら、当時はコロナ禍による制限のために叶えられなかった「はち切れるくらいの歓声を聴きたい」という願いをついに実現できた喜びを口にするAdo。「夢を叶えてくれてありがとうございます!」というその言葉にあたたかな拍手が注がれた。続けてAdoは、「このツアーが世界中のみなさんにとって、日本の文化と音楽をより一層知ってもらうきっかけになると自負している」と今回のツアーに込めた思いを語り始める。「おこがましいですが、私は多くの人に日本をもっともっと知ってもらいたいと思います。小さな火種がいつか熱く燃え上がる炎となるように。大きな大きな未来へのきっかけとなったらいいな」――。その意思はもちろん前回の世界ツアー『Ado THE FIRST WORLD TOUR “Wish”』の時と変わらない。だが、この日彼女が口にした言葉には、それが確かにできるはずだという手応えが宿っているように思えた。

 その後「踊」で本編最後の盛り上がりを生み出したのち、アンコールに応えてステージに戻ってきたAdo。力強い手拍子のリズムからこの巨大な会場にふさわしい「ロックスター」を轟かせ、「Sing with me!」という言葉とともに巨大なシンガロングを巻き起こすと、眩い光が広がるような「私に花束」へ。それを終えると、Adoは再び語り始めた。昔、クローゼットのなかにこもって歌っては動画を投稿していたこと。それは彼女にとって「大嫌いな自分と闘って、向き合って」いくプロセスだったこと。そんななかに訪れた、そらるとまふまふによるユニット・After the Rainのライブで聞いたそらるの言葉を振り返って、彼女は「今の自分はダメダメかもしれない。大嫌いかもしれない。でも、人は変われるんだ、って。私もいつか変われるかもしれない、って。未来は違うかもしれないと思わせてもらった」という。そして、その当時Adoが書いたメモには、「もし自分がさいたまスーパーアリーナに立てたら、客席のみなさんに私も自分の気持ちを伝えたい。こんな私が夢を叶えられたんだから、きっと未来は大丈夫ってことを伝えたい」と書かれていた、と。その願いがAdoにとっての原動力だったのだろう。「未来は誰にもわからない。誰かに否定されても、自分が大嫌いでも、それを忘れなければきっと大丈夫」――。実感のこもったメッセージと、その後にこの言葉を自ら証明するように歌い上げられた「新時代」は、Adoという存在がさらに強く、そして大きなものになったことを証明していた。

 この日のライブ中には、今年11月に東京ドームと京セラドーム大阪でそれぞれ2日間ライブを行うことも発表された。世界をまわり、再び帰ってきたAdoがどれほど進化しているのか、期待に胸を高鳴らせて待っていたいと思う。

■セットリスト
01 . うっせぇわ
02 . ラッキー・ブルート
03 . ギラギラ
04 . 唱
05 . クラクラ
06 . レディメイド
07 . MIRROR
08 . シャルル
09 . エルフ
10 . Value
11 . STAY GOLD
12 . ルル
13 . ウタカタララバイ
14 . 愛して愛して愛して
15 . 逆光
16 . ザネリ
17 . ヒバナ
18 . Episode X
19 . 踊

ENCORE
20 . ロックスター
21 . わたしに花束
22 . 新時代

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