京本大我、みんなを楽しませる工夫の数々 初のアルバム『PROT.30』から得る新しい視点
京本は、アルバム発売前日に、X(旧Twitter)で「明日迎えに来てくださる皆様 音の中で会いましょう」と呼びかけ、発売当日をファンと共有できる喜びを綴った。また、「アルバムについて語り合お!!」と、同日夜にはInstagramライブでファンと喜びを分かち合っていた。京本は、写真集『Retrace,』終盤で「一緒に素敵な時間を」と綴っている。ファンへの気持ちを言葉にしてくれるだけでも嬉しいが、SNS投稿や生配信で、同じ時間を共有してくれる。そんなところからも京本の存在がより大きくなっていくようだ。
19歳から作詞作曲を始めた京本。『PROT.30』初回盤Aには、京本がジュニア時代に作詞を手がけた楽曲「癒えない」が収録されている。本楽曲はデビュー前に行われたSixTONES初の単独コンサート『CHANGE THE ERA -201ix-』のソロステージでも披露している。(『素顔4』に収録)。大きな雲が動く茜色の空をバックに、スウェットのフードを深く被って登場した京本。ビジョンに映る空模様が急転するとともにステージも暗転し、その場を照らしていたのがブルーの光だ。直前までの甘美な雰囲気をがらりと変えて、京本ワールドへと引き込んだ。
長い前髪から覗く瞳に、ほんの一瞬ピンク色の照明が映る。そんなミステリアスさもあれば、ビジョンに映る激しく降り注ぐ雨のような映像が心情と連動するかのようにステージに膝をついたり、マイクのスタンドを激しく振り回したり。魂の叫びのような歌唱を京本は披露した。そんな予測不能なパフォーマンスとクオリティの高さには当時としても驚かされた。30代に突入した今、どんな演出や歌声で表現するのか――。新旧を問わず、あらゆるファンに楽しみを与えてくれる。
楽曲制作を始めて10年が経過し、1stアルバムでは全17曲を発表した。多忙な中での制作活動は容易ではなかっただろうと想像するが、同時に決して表層的なものではなく、とめどなく湧き出る泉のようなクリエイター魂を感じた。
デビュー前から様々なステージに立ち、個人でも舞台に挑んできた京本。グループパフォーマンスの魅力はもちろん、ソロ活動ではまた違ったベクトルで魅力を発揮している。豊かな表現力、圧倒的な歌唱力を筆頭に、作詞作曲を通して作り上げた世界観、楽曲に込めたメッセージ、さらには写真で伝える視点や思い、リスナーを楽しませるラジオでの発言……アウトプットの手法を問わず、京本のセンスに魅了されるのだ。
アルバム『PROT.30』の発売日に、京本はXで「安定の雨男発揮。迎えに行かれる方はお気をつけて!!」と綴っていたように、当日の東京は雨模様だった。そういえば写真展の初日も雨が降っていたが、京本のおかげで雨の日も悪くないと思えるようになった人も少なくないはず。彼のソロワークを通して、新たな視点や発見が得られる、そんなところもファンとしての喜びであり、特権である。記念すべき初のアルバム『PROT.30』に込めた京本の思いを、まっすぐに、余すことなく受け取りたい。
※1:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/148834/2