現役大学生シンガーソングライター・れんの素顔に迫る 運が切り開いた音楽への道、初ドラマOPテーマに至るまで
大きな夢や生きがいがなくても、自分色で輝けていたら“淡色”でもいい
――「淡色の幸せ」は、初めてドラマに書き下ろした曲ですが、主演の江口のりこさん演じる五月女恵さんはもちろん、聴く人にも寄り添う歌詞が印象的です。
れん:ドラマを遡って観させていただいて、最初に感じたのは、日常ではないけど日常感がちゃんとあって、ソロ活をしている女性にとってはたまらないドラマだと思いました。オフィシャルコメントでも書きましたが、五月女さんが黒田彩子さん(小林きな子)に「毎日自分に起きることをちょっとでも楽しめたり、味わえたりすれば十分だ」と話しているシーンが印象的でした。五月女さんも自分にそう言い聞かせてソロ活をしていると思いました。だからこそ大きな夢や生きがいもなくても、自分色で輝けていたら“淡色”でもいいんだというメッセージを込めました。
――今という時代に求められている言葉がたくさん詰まっていると感じました。年齢以上に大人っぽい目線だと思いましたし、れんさんの楽曲には、大学生とは思えないような達観した大人びた恋愛観の歌詞も多いですよね。逆に「正論さん」(2023年)は、10代のれんさんが社会の矛盾をつくシニカルな言葉が突き刺さってきます。
れん:結構前の曲ですが、時期的に尖っていますよね。
――でもその鋭い言葉と、れんさんの声に感じる少しザラついた部分が相まって、ナイフのような鋭さで突き刺さってくるのも、れんさんの一面なんだなって感じました。
れん:確かに相当尖っている、何か矛盾を派生させた曲ですよね。
――れんさんにとってその強くてしなやかな歌声が最強の武器だと思いますが、今こうやってお話しをしている時の地声も高いですよね? 自分の声をどう感じていますか?
れん:最初は本当に嫌いでした。録音して自分で聴いた時「何だこの声、最悪」と思いました。弾き語りの動画を見て「聴きたくなかった」って(笑)。でもだんだん慣れてきましたね。今は自分の特徴として他の人と違うところだったんだなって思えます。
――現役大学生ですが、友達とも曲のような恋愛観や世の中に対して、真剣な話をすることは多いですか?
れん:いえ、大学ではバカなことばかりやったり、言ったりしています。
――それが普通というか、大抵そうですよね。その弾けた大学生活のことが曲に昇華されることは……
れん:ないですね。何ひとつクリエイティブにならないことをしているので(笑)。でも友達から自分が普段聴かない音楽や曲を教えてもらうなど新たな発見はあるので、そこでインプットはできていると思います。それが勝手にアウトプットされている可能性はあるかもしれません。
――リスナーは大学生のれんさんとしての現在地を感じる曲も聴きたいのでは? 例えば友情をテーマにしたり。
れん:確かに。ラフに遊びながら作ってみるのもいいかもしれないですね。僕はアニメが好きなんですけど、アニメって友情をテーマにしたものも多いじゃないですか。メジャーデビューしてやりたいことのひとつは、アニメのテーマソングを書くことなんです。ジブリ作品とその音楽も昔から大好きで、自分の音楽も影響を受けていると思います。
――れんさんは、楽曲のデモはどこまで作り込んで提出するんですか?
れん:スタッフさんにはクリックも何もない弾き語りで、アレンジャーさんにはギターと声を別にしてBPMだけ合わせて提出する感じです。
――昨年リリースしたデジタルEP『Dulcet』ではこれまでれんさんの楽曲を数多く手掛けているNaoki Itaiさんに加えて、Yaffleさんや久保田真悟 (Jazzin'park)さん、ESME MORIさん、小西遼さんという錚々たる音楽プロデューサーがアレンジを手掛けています。自分の曲を自分でアレンジしてみたいとは?
れん:それが思わないんです。その才能が恐らくないのと、やりたいと思っていたらもう多分やっていると思います。今までお世話になったアレンジャーさんが、もうみなさん天才すぎて、自分でやるより100%いいのができるに決まっているので。それと全部作詞・作曲してアレンジまで自分でやると想像の範疇で全てが完結してしまうと思うんです。それだと面白くないし、今まで「アンビリーバボー! このアレンジ!」というのが毎回楽しみで作曲をしているという部分もあります。
――なるほど。
れん:EPに入っている「絶蝶」は、出来上がった音源を聴いて「うわっ!」て驚いて、感動したことを覚えています。
――ESME MORIさんのアレンジですよね。個人的にあの曲大好きです。中毒性のあるメロディをさらに中毒性を感じる音像で彩って、れんさんの強いボーカルに憂いを纏わせるようなアレンジでした。
れん:すごく嬉しいです。ESME MORIさんは初めて一緒にやらせていただいたのですが、もし自分でアレンジしていたら、絶対にあんなすごいアレンジにはならないです。想像を遥かに超えてきてくれました。やっぱり自分で曲を作っているからこそ、洋服ぐらいは誰かにコーディネートしてもらった方がいいのかなって。
――音源とライブは別物という捉え方ですか? ライブに再現性を求めたりは?
れん:そこはハイブリッドでいきたいです。音源の世界をそのままライブで聴けるのはファンの人も嬉しいと思うんですけど、それだったら別にサブスクでもいいし、僕はライブでは歌い方をアレンジしています。バンドメンバーも、色々なアーティストのサポートをやっているミュージシャンなので、他のアーティストさんのライブで培ったものを、僕の楽曲にも反映してもらえたら、また新しい曲に聴こえるのかなって思っています。
――なるほど。百戦錬磨のバンドメンバーのセンスは重要な情報源になりますよね。
れん:それが楽しいライブにつながると思うので、バンドメンバーにも伝えています。「どんどんやっちゃってください」って(笑)。僕ストリングスがめっちゃ好きで、曲の中にも結構入れているので、いつかライブでもストリングスを入れてみたいです。
――先日スタートしたアジアツアーの杭州公演の映像が上がっていてすごく盛り上がっていました。
れん:日本語で一緒に歌ってくれたり、中国のお客さんは全身全霊で音楽を感じて楽しもうという熱がとにかくすごかったです。まさに熱狂という感じでこちらも力が入りました。夏に開催する全国8都市でのライブツアー『れんONEMAN LIVE TOUR 2025 -Molt-』では日本のファンの皆さんの熱狂を観ることができると思うので、誰よりも僕が一番楽しみにしてます。
――曲をたくさん作っているということで、身を削ってのアウトプットの作業だと思いますが、インプットは何をしている時が一番自分の養分になっていると思いますか?
れん:とにかく色々な音楽を聴くようにしているので、それが養分になっていると思います。でも好きで観ているアニメからインスピレーションをもらうことも多いです。例えば「緋寒桜(ひかんざくら)」(2023年)は、緋寒桜って普通の桜と違い、花びらが散らずにガクから丸ごと落ちるということをアニメで観て知って、別れに対して未練がましくするのではなく、スパッと断ち切って凛として前に進もうとする女性の強くてかっこいい様と重ねて描いた楽曲でした。
――他には?
れん:それこそ大学の友達とバカ話をしていたり、遊んだりすることは、仕事が忙しい時期のリフレッシュになっています。でも友達とわちゃわちゃしている時って、何か非日常というか、別世界だと思っちゃうんですよね。普段大人と接することが多いですが、友達とはしゃいでる時の自分と普段の自分はだいぶギャップがあるかもしれません(笑)。でもそうやって友達と過ごす時間が最高に面白いんですけどね。
■リリース情報
新曲「淡色の幸せ」
2025年4月17日(木)配信リリース
配信:https://tf.lnk.to/ren_awairo
特設サイト:https://ren-awaironoshiawase.com/
■関連リンク
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