フィロソフィーのダンスが掲げる“認め合うことの大切さ” 10年間で高め続けてきた信頼と結束

 フィロソフィーのダンスが今年結成10周年を迎える。インディーズからメジャーへフィールドを移し、メンバーが移り変わりながらも、ブレない活動を貫いてきた彼女たち。常にメンバー同士で切磋琢磨しながらパフォーマンス力を高め合い、ポジティブなバイブスをリスナーに与え続けてきた。そんなアニバーサリーイヤーの第1弾シングルとして、〈でっかい夢があったっていいじゃない!〉と高らかに歌う表題曲を含む『ラブ・ミー・モア』を3月26日にリリース。これまでの活動を振り返りながら、“愛”をテーマにしたフィロソフィーのダンスらしいニューシングルについて、たっぷりと語ってもらった。(編集部)【記事の最後にプレゼント情報あり】

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「歌で食べていきたい夢が10年続いてるのは幸せなこと」(日向)

——今年の8月で結成10周年、9月にはメジャーデビュー5周年を迎える心境から聞かせてください。

奥津マリリ(以下、奥津):10年続けられるのはすごいことだと思うので、まずは「10周年を迎えられるんだ」という喜びがあります。ここまで出会ってくれたすべての方に感謝したいですし、本当に幸せな気持ちでいっぱいです。

佐藤まりあ(以下、佐藤):私はまだあまり実感がないですね。いろんな出来事がワーッと通り過ぎていって、休むことなくここまで走り続けてきた。10周年ってかなり大きな節目のはずなのに、気づいたら10周年だったぐらいの気持ちですね。でも、今年は10周年をみんなで盛り上げていこうと思っているので、徐々に実感していくのかな、ぐらいの気持ちです。

日向ハル(以下、日向):いろんな選択肢がある中で、自分の好きなこと——歌でお仕事をしていく、歌で食べていきたいっていう夢が叶って。それが10年続いているのは、改めて幸せなことだなと思いました。応援してくれているファンの方や同じところを目指して歩んでくれたメンバー、そして、支えてくださってるスタッフさんたち。どれか1つでも崩れたら、10年続けられなかったと思うので、(メンバー一人ひとりの顔を覗き込みながら)本当にありがとうという気持ちです。

奥津:こちらこそ〜。

奥津マリリ

——ののさんは、新体制3周年になりますね。

木葭のの(以下、木葭):最初の頃は目の前にあることを必死にやってきたので、あっという間という気持ちが一番強いです。3年経ってない感じがするんですけど、今年の結成10周年は新メンバーとしてではなく、オリジナルメンバーのみんなと同じ熱量でハッピーアニバーサリーにできたらいいなと思っています。

——まりあさんが「いろんな出来事が通り過ぎていった」とおっしゃっていましたが、その中でも特に印象に残ってる出来事を挙げるとすると?

日向:私は体制が変わったことですかね。ちょっとした変化は常にありますけど、メンバーが変わるっていうのは、一番デカい変化じゃないかと。オーディションも含めてね。

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——メンバー自らが審査員になるというオーディションが斬新でした。

日向:ええ、いいオーディションでした(笑)。

佐藤:確かに。声を大にして言いたいですね。YouTubeで全話観られるので、まだの方はぜひ観てほしいです。私が特に印象に残ってる出来事は、2020年3月に出演させてもらった音楽番組『ガールズ・グループの祭典 RAGAZZE!〜少女たちよ〜』(NHK総合)ですね。「フィロソフィーのダンスをどこで知ってくれたの?」って聞くと、その番組の名前を出してくださる方が多くて。残念ながら無観客ではあったんですけど、NHKホールっていう、私たちがそれまで立ったことのないくらい大きな会場で、小さいグループながらに爪痕を残そうと一生懸命準備して。どの曲を披露するかで悩んだこととか、緊張もしたこととか、今でも思い出しますね。

——マリリさんの「ハロー!プロジェクト」ヲタクっぷりが全国放送された日でもありました。

奥津:はい。小田さくらさんと初めて対面した日です。泣きましたね〜。他で言うと、私が初めてバンドセットでライブをした、2018年6月のLIQUIDROOM(『Girls Are Back In Town VOL,1』)。クラウドファンディングで、みんなに協力していただいて実現したんですけど、初めて自分たちの曲を生音で聴いたときに、自分の人生とリンクする部分があって。そのときにグループへの愛と音楽へののめり込み方が、また一段と深まった気がしたんですね。今振り返って思うと、個人的にはグループが10年続けられたきっかけの1つだったかなと思います。

日向:バンドだけのリハーサルを見学させてもらったときに、メンバー全員泣いてました。それまではオケでしかやってなかったので、こんなに音が立体的になるんだっていうことに感動して。この素晴らしい演奏に私たちの歌が入って、さらに素敵なものにしなきゃっていうプレッシャーも感じて。ここまで仕上げてきてもらっているからには頑張らないといけないし、「自分たちのものにしないと」って必死に食らいついていった印象があります。あと当時、バンドセットでやりたい気持ちがすごく強かったんですよ。私たちは着実に1個ずつ叶えていくやり方だったけど、もっと大きい会場でライブをしたり、とっくにバンドセットをやってるようなグループが当時の界隈に多かった。それが羨ましかったし、早くやりたいと思っていたので、すごく嬉しかった思い出があります。

佐藤:LIQUIDROOMで印象的だったのは、急遽、1曲目で「イッツ・マイ・ターン」を初披露することになったんですよ。最初は初披露曲として「ライブ・ライフ」だけを準備してたんですけど、2週間前ぐらいに「イッツ・マイ・ターン」もやることになって、バタバタで振り入れして。朝早くに集まってリハしたりとか、大変だったんですよね。当日も1曲目に新曲をやるというプレッシャーで顔が引きつってて、笑えてなかった。でも、時間がない中でも、いいものを仕上げなくてはいけないっていう試練を乗り越えて、表に立つ人間としての自覚が芽生えたライブだったかなと思います。

佐藤まりあ

——「ライブ・ライフ」の歌詞はLIQUIDROOMとリンクしてますよね。

日向:そうなんですよ。〈階段下りて、気持ち上がる〉という歌詞は、楽屋から降りてステージに向かっていく様子をヤマモトショウさんが書いてくださって。LIQUIDROOMで初披露することを想定した楽曲で、リハーサルの様子がギュッと詰まったMVがとても感動的です。ぜひご覧ください(笑)。

佐藤:あのMV、観てほしいです。みんなの顔が……。

日向:ヤバいよね。あのとき、精神的に一番キツかった。

佐藤:全く笑えてない。

奥津:限界の中、何とか生き延びようとしてた瞬間。

日向:リハーサルも追い込まれすぎて、食べたいもんなかったなもんな。

佐藤:うん。食欲なかった。顔は真っ青だし。

日向:毎日、inゼリーを食べてました。

フィロソフィーのダンス/ライブ・ライフ

——(笑)。「ライブ・ライフ」はオーディションの課題曲でもありましたね。

木葭:はい。そんなことがあったとは知らなかったので……。

佐藤:今は楽しいハッピーな曲になってるから。知らなくて正しいんですよ。

奥津:不純物は入れないでいい。

木葭:やってて楽しい曲だったんですけど、今度からは重みを感じながら……(笑)。

日向:あははは。浄化したからいいのよ。

木葭:イントロから上がる感じとか、ファンクっぽい感じとか、“ザ・フィロソフィーのダンス”っていう感じで、私にとっても大事な曲だし、大好きな曲です。

「家族のような気持ちでいられることが続けられた理由」(奥津)

——ののさんは、この3年間で一番印象的な出来事は何ですか?

木葭:私は2022年11月の日比谷野音(日比谷公園大音楽堂)でのデビューステージ(『十束おとは卒業コンサート ~ベスト・フォー・フォーエバー~』)です。今でもみんながライブをやってる間の待ち時間の緊張感とか、ステージに立ったときのライトの眩しさとかを体が覚えてて。でも、一番はすごく気持ちよかったなっていう印象が強いです。

——ハルさんが先ほど挙げてくれた、メンバーが変わった瞬間ですよね。

日向:この間、(十束)おとはに会ったら「いい卒業ライブだったな〜」と言ってました(笑)。私たち的にも、当時の体制でできることは全部やったんです。グループの鍵になってる曲を全部入れたメドレーだったりとか、おとはとそれぞれメッセージ交換ができたり、新メンバーも含めたその日限りの6人での「愛の哲学」を歌ったり。そこからちゃんと5人体制の「Gimme Five!」に受け継いだっていう移り変わりの過程を全部お見せしながら変化できたのは、自分的にはよかったかなと思っています。

佐藤:うんうん。本当に4人で築き上げてきたことを全部ステージで放出した後に、新しい風がビュッと吹いて、2人が入ってきてくれて。今でも観返すんですけど、ののと(香山)ななこの初登場シーンは、普通に感動する。

フィロソフィーのダンス「Gimme Five!」202211.19@日比谷公園大音楽堂

——我々観客は、まだ新メンバーが何人かも知らずに観てたんですよね。

佐藤:そうですよね。ファンの方もドキドキしてる中、温かく見守ってくれて。ののとななこは震えながらも、パフォーマンスは堂々としてて。あれを観ると、フィロソフィーのダンスの未来はまだまだ明るいなと思えて、すごく前向きになれる。お披露目を別の日にするのではなく、ちゃんとそこで卒業と加入をみんなに生で見せられてよかったなと思いました。

奥津:私もどこに気持ちの重きを置けばいいのかわからなくて、しっちゃかめっちゃかになってて。卒業にも思いはあるし、新体制にも思いはあるし、ファンの方に見せたい姿もあるし。何が何やらみたいな中で迎えたんですけど、時間が経って「あの卒業も新体制お披露目もすごくよかったよね」って言える日であったことが何よりも今よかったなと思ってます。みんなの覚悟を持ち寄って、一つの苦難を乗り越えることができた日だったなと思いますし、新体制を語るには欠かせない。本当にいいスタートの日になったなと思います。

日向ハル

——いろいろな苦難を乗り越えてこれたのはどうしてだと思いますか?

奥津:ガハガハ!

佐藤:ガハガハ!

日向:うん。つまり、メンバーの仲がよかったからかなと思います。スタッフさんをはじめ、外側の変化はたくさんありましたけど、メンバー同士ならどんなことでも5秒後ぐらいにすぐに笑い話にできる。そのぐらい底抜けに明るいことで、嫌なことがあっても、踏み潰して前に進んできて。特にインディーズ時代は、メンバー同士の結束がなかったら本当に続けられていなかったかもしれないと思うことはいっぱいありますね。

佐藤:10年間を通してですけど、グループの調子が悪いときとか雰囲気があまりよくないときとか、新しいお客さんがあまり来なくて落ちる瞬間があっても、必ず上昇してきたんですよ。今ダメだとしても、もうちょっと耐えればきっとどこかのタイミングで必ず上がってくるっていうのを10年間通して知っていて。だからグループを信じることで乗り越えられたかなって。それを自分たち自身が証明してきたから、頑張れたのかなと思います。

奥津:私は新体制になったことで、「せっかく2人を迎えたのにやめるわけにいかないでしょ」「潰すわけにはいかない、この船を!」という気持ちが大きくて。ここで改めて、1年目に振り戻ったんですよね。7年目からの8年目ではなくて、ちゃんと仕切り直せました。まりあも言ってましたけど、いいときも悪いときも一緒に乗り越えてきた仲間だし、ここまで続いてきたグループだからこそ、長い目で見ていて。すぐなくなるものじゃないっていう信頼があるし、何が起ころうともなんとか10年続けてこれたから、これからも長い目で、どんなときも一緒にいようね、みたいな。家族のような気持ちでいられることが続けられた理由かなと思ってます。

木葭のの

——ののさん、“船長”がそう言ってますけど、どうですか?

日向:乗船の感想は?

佐藤:乗り心地はどう?

奥津:結構、揺れましたけどね(笑)。

木葭:ふふふ。「入ってきたからにはやめるわけにはいかない」というマリリちゃんの気持ちを今、初めて聞いて。なんか、火がつきました。

日向:おおっ! 船が燃えた!?

木葭:(笑)。そういう気持ちでいてくれていることを知らなかったので、マリリちゃんがそう言ってくれるんだから、私がこのグループにいる意味をちゃんと残さなきゃなって思いました。

佐藤:いい話でしたね〜。

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