『ウィキッド』7分以上に及ぶ挿入歌がバイラルチャートイン シンシアとアリアナ、2人のディーバの底力
Viral Chart Focus
Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの3月12日付のTOP10は以下の通り(※1)。
1位:M!LK「イイじゃん」
2位:Hearts2Hearts「The Chase」
3位:KiiiKiii「I DO ME」
4位:Peterparker69「Hey phone (feat.野田洋次郎)」
5位:MECHATU-A「MECHA-MECHA」
6位:シンシア・エリヴォ&アリアナ・グランデ「Defying Gravity」
7位:サカナクション「怪獣」
8位:やみの おねえさん「きょういくばんぐみのテーマ」
9位:XG「IS THIS LOVE」
10位:Hearts2Hearts「Butterflies」
今回はシンシア・エリヴォとアリアナ・グランデの「Defying Gravity」をピックアップする。本曲は2024年11月に全米で公開され、主演を2人が務めるミュージカルファンタジー映画『Wicked』(邦題:ウィキッド ふたりの魔女)の劇中歌である。楽曲自体は2024年11月にリリースされた同映画のサウンドトラックに収録されているものになる。児童文学作品『オズの魔法使い』を再解釈した同名ブロードウェイ・ミュージカルが原作で、本映画の製作が発表されたのが2012年。約12年の時を経て映画公開に至ったのだ。
本作は公開直後から世界中で大ヒット。2024年の12月にはアメリカ国内の興行収入において、ブロードウェイ・ミュージカル原作の映画化作品としての新記録を達成(※2)。公開6週目には、全世界興行収入6億3,437万ドルを記録し、同じくブロードウェイ・ミュージカル原作の映画『マンマ・ミーア!』(2008年)を抜いて歴代記録も更新した。また、同映画のプロモーションインタビューではジャーナリストが言った「人々が”Defying Gravity”の歌詞に対してholding spaceをしている」という言葉に主演のシンシアが感動し、アリアナが共演者の指を優しく握るシーンが世界中で話題となり、同じように指を触ったり握ったりする動画が「#holding space」というハッシュタグとともにアップされ、SNSでバズを起こした。
日本のデイリーバイラルチャートに「Defying Gravity」が初めてランクインしたのは2024年12月9日。19位にエントリーされている。日本での公開前に映画主題歌がランクインしてくるのは珍しく、映画の注目度の高さが窺える。このチャートアクションは、前述したSNSでのバズにより、映画ファンやミュージカルファン以外にも訴求した結果だと考察する。同映画の日本公開日の前日である3月6日、「Defying Gravity」はデイリーバイラルチャート96位に再びランクイン。公開日の3月7日に45位、8日には20位、9日には8位でトップ10入り。3月13日には4位につけ、以降数日にわたり4位をキープしている。