堺正章とRockon Social Clubが織りなす“現代的GSサウンド”の面白さ ミニアルバム『プンスカピン!』レビュー

 ミニアルバムに収録されたもう一つのオリジナル曲「The Show Man」にも触れておきたい。サウンド/アレンジの軸になっているのは、1940~50年代あたりのオーセンティックなジャズ。流麗でロマンティックなストリングス、ゆったりとした4ビートからはじまり、切なさと美しさを滲ませるメロディラインへとつなげる構成も素晴らしい。幼少期からスタンダードジャズに親しんできた堺にとっては、ルーツ回帰の楽曲と言えるかもしれない。

 〈時に誰かを 笑わせてみたり/時に誰かを 驚かせたり〉「The Show Man」の主人公像は、堺正章そのもの。芸歴70年、今もなお精力的な活動を続けている堺自身をモチーフにした歌詞は、彼の姿をテレビや舞台で見続けてきた世代の人たちの心をしっかりと揺さぶるはずだ。また〈そろそろ“時間ですよ”〉というフレーズも。『時間ですよ』は堺が出演した昭和の伝説的TVドラマのタイトルだが、「The Show Man」では、人生の大きな流れを感じさせる絶妙な意味合いが与えられている。それがどんな効果を生み出しているかは、ぜひ楽曲を聴いて確かめてほしいと思う。

 さらにこの曲にはサックスプレイヤーの渡辺貞夫も参加。90歳を超えて現役のナベサダの滑らかなプレイは間違いなく、「The Show Man」の奥深さにつながっている。

 そのほか、堺の代表曲「あの時君は若かった」「さらば恋人」のリアレンジバージョン、「プンスカピン!」のDJ HAZIME REMIX、DJ HAZIME DUB REMIXも収録。シンガー・堺正章とRockon Social Clubが織りなす“現代的GSサウンド”の魅力をぜひ、若いリスナーにも楽しんでほしいと思う。

■リリース情報
ミニアルバム『プンスカピン!』 
3月14日(金)発売
Loppi・HMV限定販売:https://www.hmv.co.jp/news/article/250127150/
品番:TYOR-1015
定価 ¥3,850(税抜価格 ¥3,500)
付属特典:GSトートバッグ、プンスカピン!ステッカーセット

<収録曲>
1. プンスカピン!
2. あの時君は若かった
3. さらば恋人
4. The Show Man
5. プンスカピン!(DJ HAZIME REMIX)
6. プンスカピン!(DJ HAZIME DUB REMIX)
7. プンスカピン!(オリジナル・カラオケ)

作品詳細:https://linkco.re/dY7yxtBf
MV:https://youtu.be/bmNmPHMnG7Q?si=n6ss0WES3aCMRqrQ

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