見えてきたTikTokでバズるアイドルの方程式 アソビシステムが音楽チャートで首位連発
CANDY TUNEの楽曲「倍倍FIGHT!」が、TikTok音楽チャートのトップ50および人気曲ランキング50で1位を獲得した(2月27日現在)。この快挙は同じくアソビシステムが手掛けるアイドルプロジェクト KAWAII LAB.所属のCUTIE STREETの成功に続くものであり、同プロジェクトが仕掛けるTikTokをはじめとしたショート動画のプラットフォームにおけるマーケティング戦略の有効性を改めて証明する結果となったと言えるだろう。本稿では、CANDY TUNEのTikTokにおける成功の背景を探りながら、KAWAII LAB.のバズ戦略について考えたい。
何事においても狙ってバズを引き起こすことは容易ではなく、多分に偶発的な事象であると言える。そんななかで、KAWAII LAB.所属のアイドルグループたちが次々とTikTokを制している理由のひとつとして、KAWAII LAB.が発足の段階から時代を見つめたプロジェクトであったことが挙げられる。
日本でもK-POP人気が加熱し、クールなコンセプトやビジュアルを基調としたガールズグループが注目を集めるなか、KAWAII LAB.ではポップな楽曲とカラフルな衣装で日本的な“KAWAII”に立ち返り、ジャパニーズアイドルのど真ん中を目指した。そして最初に誕生したFRUITS ZIPPERは、人それぞれが持つ個性や価値観を尊重し、コンプレックスやネガティブに捉えられがちな側面も肯定していく“NEW KAWAII”を掲げて活動。かわいさ全開の楽曲や自己肯定感の向上に繋がるコンセプトは、プロジェクト発足時点の時代性を意識したものだったと考えられる。これが、偶発的なバズを引き寄せる土壌となっていたと言えるのではないだろうか。なおこの方向性は、以降に結成されたグループにおいても共通している。
そして、この偶発性をより自らの力で引き寄せるために動いたのがCANDY TUNEだ。CANDY TUNEは、KAWAII LAB.からFRUITS ZIPPERに次いで2023年にデビューした7人組アイドルグループであり、「倍倍FIGHT!」ではTikTokやYouTubeショートなどの縦型動画にフォーカスした施策を戦略的に展開した。公式アカウントでは、楽曲のイントロ部分を活用した動画を次々と投稿。全員バージョンに加えて、2人組や3人組でのパフォーマンス動画をアップすることで、視聴者が真似しやすい環境を整えた。加えて、ニシダ(ラランド)やしなこといった著名人とのコラボも積極的に行い、異なるジャンルの視聴者層にもリーチする施策を打ち出したことは大きい。
@candy_tune 元気100倍!倍倍チャレンジ!! びびちゃんのホイッスル、いつもより大きめ!!! 🩵💚🩷🧡❤️💜💙 #倍倍FIGHT #きゃんちゅー#CANDYTUNE @りのまる @おがわななこ @びびちゃん(むらかわびびあん) @南なつ☀️🍊 @立花琴未 @みやのしずか @키리(きり)
@candy_tune 踊らないの〜? #倍倍FIGHT #きゃんちゅー#CANDYTUNE @おがわななこ @南なつ☀️🍊
@candy_tune ラランド ニシダさんと#倍倍FIGHT ありがとうございました✨ 「お歌詞もぐもぐ みんなでもぐもぐ in 名古屋」 📍CBCホール 放送は3月頃♫ お楽しみに🎶 #CANDYTUNE #きゃんちゅー
また、「#倍倍FIGHT」チャレンジとして、ユーザー参加型の施策を展開。公式が振り付け動画を提供し、視聴者がダンスを真似して投稿しやすい流れを作った。このようなUGC(User Generated Content/ユーザー生成コンテンツ)を促す施策は、CUTIE STREETの「かわいいだけじゃだめですか?」の成功例でも見られた戦略であり、KAWAII LAB.がバズを生み出す上で重視しているポイントである。結果として、「倍倍FIGHT!」の関連動画は急速に拡散され、TikTok音楽チャート1位という成果をもたらした。