増田貴久、パフォーマンスのみで魅せた初のソロコン クリエイティブでストイック、音楽愛あふれたステージに

ファンとの絆を強く感じさせるステージング、ラストナンバーは「喜怒哀楽」

 そしてステージは「物語」へと続いていく。聴く者の背中を押すようなメッセージ性の強いこの楽曲は、ファンとのシンガロングでエネルギーを交換するような幸福感あふれるワンシーンとなった。NEWSのライブでも観られるシーンだが、こういったパワフルな楽曲とファンとの絆を強く感じさせるステージングこそが、増田の音楽性の柱となっていることが示されているようだった。

 背中を見せつつステージ上に座り込むとエンドロールがスクリーンに映し出された。クレジットの最後に増田の名前があらわれると、拍手を煽り笑顔で立ち上がる。

 この日のラストナンバーは、二度目の「喜怒哀楽」。マイクなしのアカペラで歌い出し、バンドとストリングスの生み出す分厚いサウンドにのせ熱唱。ハンドクラップとコーラスを客席に託すと、爆発した感情が客席一面に伝播していくようだった。それによって冒頭の「喜怒哀楽」とはまた一味違った意味を創り出していく。満たされた笑顔で会場中を見渡す、充実した表情が印象的だった。圧倒的な熱量のライブは、そんな笑顔と鳴りやまない拍手と共に幕を下ろした。

 MCもほとんどなく、パフォーマンスだけで魅せた初のソロコンサート。所々に差し込まれる幕間映像でキュートさとバラエティ力で笑いを巻き起こしつつも、ステージ上の増田はストイックにパフォーマンスし続けていた。センスと才能と隠された努力は言うまでもない。増田貴久というアーティストの貪欲なまでの情熱に圧倒され続けた2時間だった。

 クリエイティブでストイック、音楽への愛があふれた今回のライブを経た増田は、これからどんな音楽で我々を驚かせてくれるのだろうか。そしてこの体験をグループにどう還元していくのだろう――彼の次なる一手に早くも期待が高まってしまうライブだった。

■『増田貴久 1st LIVE 喜怒哀楽』
2025年2月25日@東京ガーデンシアター
01. 喜怒哀楽
02. Master's bomb
03. Venom
04. 恋文(Every Little Thing カバー)
05. FOREVER MINE(山下達郎 カバー)
06. キャンディ
07. ミソスープ
08. hanami
09. 戀
10. Symphony of Dissonance
11. kawaii
12. Pumpkin
13. Girls That Dance
14. Remedy
15. XXX
16. Echoes
17. おやすみなさい
18. 物語
19. 喜怒哀楽

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