aimi「私の人生そのもの」 J-R&B史上屈指の傑作「The Bdst.」から『Empower.Embrace』完成に至るまで

力を与える、受け入れるーー2つの要素が私の本質

――EPの『Empower.Embrace』というタイトルは早い段階から考えていたんですか?

aimi:去年の暮れくらいにようやく辿り着いたテーマでした。これだけカラフルな曲たちが集まったから決めきれなかったのが正直なところです。でも、人に何かを伝えるエネルギッシュな作品になっていたから、それを抱えきれるタイトルじゃなきゃいけないと思って。Empower=力を与える、Embrace=受け入れるという2つの要素が作品の中にあるから、このタイトルがいいなと。

――自然と導かれたタイトルのように思います。

aimi:これがaimiの本質だとも思ったんですよね。ステージに立って歌っていると「(wanna vibe) with you」とか「I’m OK」とか、ポジティブなエネルギーを発信しているときに届いてるなっていう感覚があるんです。過去にはもうちょっとドロっとした内容やダークな曲もあるけど、ポジティブなエネルギーを発しているときのaimiってすごく“らしさ”が出てるなって自分で思っていたんですよ。だからこそ、ポジティブなエネルギーのあるタイトルにしたかったんです。

――EmpowerするにはEmbraceの要素も必要だと考えたんですか?

aimi:私は手放しに強い人間じゃないから。繊細なところがあるから、そういう自分のソフトな面も抱きしめないと前に進めない。そういう意味でもEmbraceというワードが必要だったんです。『Chosen One』のときは、R&B新時代へのラブレターという言い方をして、ジャンルへのリスペクトを強く打ち出しました。だけど、今回は書いていくうちにどんどんパーソナルになっていったし、どんどん言いたいことが出てきたから、これは私の人生そのものかもと思えてきて。今、私にとってR&Bはすごくエンパワーリングなジャンルなんです。応援されていると感じる曲が増えたし、それを自分でやってみたいなと思ったんです。

ーーEPのリード曲「Wish You Better」には、DERAというソングライターとJess Wongというミックスエンジニアが参加しています。

aimi:DERAはアトランタ在住のアップカミングなソングライターで、最近だと韓国のMin JiwoonというSMエンタテインメントの女性アーティストを手掛けてます。

――繋がった経緯は?

aimi:もともとはJessがModesty Beatsに連絡してきたんです。アメリカと日本のプロデューサーでコラボした曲を世界中のアーティストに売り込みたいから一緒にやりませんか? って。私はそこに通訳として入ったんですよ。で、いろいろ話していったら、JessがUSHERの「Good Good」とかMuni Longの「Hrs & Hrs」とかのアシスタントエンジニアだったことが判明したんですよ。

――ちょ待てよと(笑)。

aimi:私たちもびっくりして。普段から超大好きで聴いてるR&Bの現場でアシスタントをやってる女の子だったんだって。それで「私たち今、いいエンジニアを探してるんだけど……」みたいな(笑)。

――渡りに船ですね(笑)。

aimi:私も日本のソングライターを紹介したりして手伝うから、逆にソングライターを紹介してくれない? みたいな会話がオンラインで始まったんです。

――そしたらDERAが現れた。

aimi:まさに。この曲は最初、四つ打ちだったんですけど、アフロビーツをやりたいなと思って、アフロビーツにアップデートしてDERAに送ったんです。「お互いのことを知りたいからDERAのことを教えて」みたいな。そしたら「僕の両親はナイジェリア人で……」「え?」みたいな。DERAも「日本からアフロビーツが送られてきてびっくりしたんだけど」って。たまたま彼にナイジェリアのルーツがあることがわかって、もうぴったりだねっていうことで一緒に作り始めたんです。

――昨年リリースした台湾のLIU KOIとのコラボ曲「love me back to life」もアフロビーツ/アマピアノを採り入れた楽曲でした。最近そういうモードなんですか?

aimi:ここ何年もずっと好きだし、海外のR&B勢もすごく採り入れているから、自分のプロジェクトでアフロビーツをやらないなんてありえないくらい、絶対にやりたいビートだったんです。ただ、アフロビーツのメロディはアフリカの言語の発音から生まれていると思っていて。安易に私が書いてもアフロビーツにならないというか、アフロビーツをやるんだったらオリジナルなフィーリングを出したいと思っていて。そしたらそこにナイジェリアにルーツを持つDERAが現れた。だから今回は、ほぼDERAが書いたメロディなんです。そこに私が日本語で歌詞を書いていきました。

――歌詞は、別れた相手の幸せを願う内容です。

aimi:まさにUSHER, Summer Walker, 21 Savageの「Good Good」みたいな感じ。今はもう一緒にいないけど、形を変えてもこの縁は続くし、お互いの幸せを願っていたいねという世界観にしようと。それがDERAが書いてくれたメロディの根アカ感とも重なりました。これぞアフリカだなっていうか、メジャースケールなんですよね、メロディが。実は2番のサビからDERAの歌声も入ってるんですけど、太陽とか広がる水平線を感じさせる歌声で。DERAの声を重ねたことで、よりナイジェリア感が出たなって思います。

ほろ苦い音楽人生を歌った「Black Coffee」に反映されたリアル

――EP新録曲の「Black Coffee」は、どんな思いから書いたんですか?

aimi:ほろ苦い音楽人生をブラックコーヒーに例えた曲なので、私のリアルがそのまま反映された曲です。R&Bにこだわって活動してきたんだけど、その型に自分をはめ込んだことで不自由になっている自分にも出会った。そんな思いを素直に書きました。

――歌詞に出てきますが、ブラックコーヒーは飲めないんですか?

aimi:本当に飲めないんです。私の音楽人生はいまだにブラックコーヒーのように苦いけど、ラテのように誰かと混ざり合える方がいいから飲めるようにならなくていいやっていう。このスタンスはEmbraceだと思うし、等身大です。

――オール日本語の歌詞はこれが初めてですね。

aimi:書けたときに大丈夫かな? R&Bになってるかな? と不安でした。だけど、聴く度に自分のなかでもグッとくるところがあって。ミックスはR&B・ヒップホッププロデューサーでもあるNAOtheLAIZAさんにお願いしたんですけど、NAOさんもリリックが大好きと言ってくださって。サビのブラックコーヒーに例えていく感じがオシャレで、ラップが好きな人にも刺さると思いますよって。すごく自信をもらって、この曲を愛せそうだと思ったし、ちゃんとリリースしてあげたいなと思ってEPに入れました。

――「Black Coffee」のソングライティングにはSARA-Jさんが参加されています。

aimi:実はこの曲、最初はSARAちゃんとコラボ作品をつくろうとして取りかかったんですよ。

――EMI MARIAやJASMINEに続くコラボ企画として?

aimi:そうです。だけど、そのときは完成させられなくてストックビートみたいになっていて。今回、改めてひとりで完成させてみようと思って取り組んだんです。そのときのセッションのメロディを私が覚えていて、それを使わせてもらったのでSARAちゃんがクレジットされています。

――そもそも、どんなきっかけでこの曲を書いたんですか? くよくよしちゃう出来事があったんですか?

aimi:私、日常的にこういうことを考えてるかも。これがデフォルトですね。

――思い通りにいかないなぁって?

aimi:毎日思ってます。私の人生、だいたいコレ(笑)。全然順風満帆じゃないし、本当にどうしようもなく繊細さんなので、日常的に凹んで、立ち上がって、音楽に救われて、また打ちのめされてっていう繰り返し。

――凹んだときは、どうやってその状況を打破していくんですか?

aimi:それを曲に書いて浄化させることが最上級の解決策ですね。他には友達と会ったり、ライブを観に行ったり。ずっと音楽が好きだから、音楽に触れているだけで元気になっているし、いい曲を聴いたら泣けるっていう感じで生きているけど、本当の意味で前に進むことができるのはそれを曲にできたときだと思います。

――そういう最上級の楽曲たちが今回のEPに入ってるわけですね。

aimi:入ってますね。そんな日々も愛していこうっていう自分への暗示ですから。それを自分に言い聞かせながら、歌い聴かせながら前に進んでいく。私、なんとか人間やってるので。本当にギリギリなんですよ(笑)。

WWWで初ワンマンライブ 2025年は伝えて広げる年に

――2月21日には渋谷WWWで初めてのワンマンライブが開催されます。こちらはどんな内容になりそうですか?

aimi:4ピースのバンド編成です。キーボード奏者で音楽監督のGakushiさんがライブアレンジをゴリゴリにやってくださってるんですけど、全編生演奏で全部の曲をアレンジしてます。オーセンティックなR&Bライブはこういうものだよねっていうことを体現するライブになると思います。

――全体の流れがありつつ、各曲の構成や展開もアレンジされている感じ。

aimi:そうです。曲を繋いで進めていったり、メドレーになっていたり、かなり緻密に構成したショーアップされたライブにします。あと、楽曲をそのまま演奏するんじゃなくて、R&Bマッシュアップもあったりとか。

――マッシュアップというのは、aimiさんの楽曲をThe Isley Brothersの有名曲のコード進行で演奏してみました、みたいな。

aimi:そういう感じ。だから超楽しいと思います。それは間違いない。それに当日はみなさんが絶対に楽しめるサプライズもありますから。一晩限りなのでぜひ足を運んでほしいです。

――今年1月からパーソナリティを務めるラジオ番組『aimi presents R&B Lovers Radio』(BAYFM)が始まりました。どんなコンセプトでお届けしているんですか?

aimi:R&B Loverのための、R&B Loverによる、R&B Loverになってもらうための番組です。アカデミックな番組というよりは、シンプルにR&Bが好きな人がやってる番組だから参加しやすいんじゃないかと思っていて。一緒に盛り上がりましょう! みたいなホームベースができたと思ってます。

――aimiさんのアカペラによるスタジオ生ライブもあるんですよね。これまでにMISIA「つつみ込むように…」やアリーヤの「At Your Best」、Muni Long「Made For Me」をカバーしました。

aimi:結構ハードルの高い企画をやってるんです(笑)。なので、その成長も楽しみにしてもらえたら。ときにはマニアックな話とかR&B度数高めな回もあると思うんですけど、基本的にはこれからR&Bを聴いてみたいなっていう人の入口になってほしいなと思っているので、気軽に楽しんでもらいたいです。

――ラジオ開始、EPリリース、初ワンマンと、2025年は順調な滑り出しです。今日の話だと2024年はR&Bシンガーaimiにとってスキルアップと意識改革があった年でした。2025年はどんな年にしたいですか?

aimi:伝えて広げる年ですね。私のメッセージや楽曲をもっとたくさんの人に感じてもらう年にしたいです。そのためにも今回のEPを引っさげていろんな場所でライブをやりたい。今回のワンマン用にかなり煮詰めたライブアレンジを作ったので、それを別の都市でもやるのが夢。みなさんにもっともっと会いに行きたいです!

■リリース情報
Single「The Bdst.」
ダウンロード・配信:https://orcd.co/thebdst

4th EP『Empower.Embrace』
発売日:2025年2月5日(水)
ダウンロード・配信:https://orcd.co/empowerembrace

<収録曲>
M1. The Bdst.
M2. Wish You Better
M3. Black Coffee
M4. Sippin' Sake
M5. (wanna vibe) with you
M6. I'm OK
M7. Love Like That

■ライブ情報
『aimi - First One Man Show
EP ‘Empower.Embrace’ Release Live』
日時:2025年2月21日(金)OPEN19:00/START20:00
場所:渋谷 WWW / INFO : WWW 03-5458-7685
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町13−17 シネマライズビル B1F
チケット:ADV¥4,000/DOOR¥4,500

Shibuya WWW : https://www-shibuya.jp/schedule/018478.php
プレイガイド:https://eplus.jp/aimi-25-0221/

■関連リンク
HP:https://www.aimimusicofficial.com

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