osageの音楽は“カテゴライズされない” 異なるルーツを適材適所で発揮する4人のパーソナリティに迫る

山口ケンタ(Gt/Vo)のルーツ

山口ケンタ

――先ほどの文化祭の話も印象的ですが、山口さんはどのように歌い始めたんですか。

山口:僕は目立ちたいというか、人前に出るのが好きだったんで。歌はわからないですけど、下手って言われたことはなかったし、「やってみようかな」みたいな。本当にそういう感じですね。モテたかったですし、どうやったらモテるかなと思って「歌おう」みたいな。でもそのときに家で流れてた曲がユーミン(松任谷由実)、オフコースとか小田和正さんあたりだったので、それを必死にコピーしてました。

――それが刷り込まれて今のメロディに出てるんですね。

山口:はい。そうですね。

――皆さんそれぞれにプレイヤーとしてスイッチが入る瞬間があったみたいですけど、山口さんは振り返ってみるといつだったと思いますか?

山口:うーん、もしかしたら……始まりはボーカルがいないバンドだったんですよ。流れとしてはそこに僕が最後に入ったような感じだったんですけど、そのタイミングがちゃんとピースがハマった瞬間だったのかなと思ったり。あと記憶に新しいのは昨年の7月27日、WWW Xでのメジャー発表。そこで喜んでくれるお客さんの声とか、1分間くらい鳴り止まない拍手とかを聴いたとき、バンドが確実なものになったと思えましたね。

――山口さんがいなかったところからosageが始まって、でも加入してからは「山口さんの曲をやろう」っていうことになったんですよね。

山口:そう、「バンド組んだから」って言われて(笑)。ごはん食べてて盛り上がった2人(クサマと金廣)が「バンド組んだから、おまえベースボーカルね」って。やったこともないのに(笑)。たなぴー(田中)はその場にもいなかったのに「たぶんドラムやるっしょ」みたいな感じで勝手に入ってたっていうね。

田中:そう、「あいつ、今暇だべ」みたいな感じで、LINEでポンと「バンドやるんだけど、入る?」って言われて「仕方ねえな」みたいな(笑)。本当は結構面白いこと始まったなと思ってたんですけど、当時はちょっとスカしてましたね。「まあ、いいよ」みたいな。

――山口さんはそういう流れとは関係なく曲をネット上に上げていたわけじゃないですか。そうやってこのバンドが始まらなかったら、その曲たちはどうなってたんですか?

山口:完全に趣味としてやってたのかもしれないですね。本当に誰も聴いてないようなプラットフォームだったんで。宅録とかを楽しんでたかもしれない。

――じゃあ当時は「何が何でも音楽で」みたいな感じでもなかったんですか。

山口:そうですね。本当に友達から始まっているので。バンドにこだわるっていう、限定的なものはなかったんだと思います。

――それはここまでやってくる中で変わってきましたか。山口さんは自分のいないところで結成されたバンドに後から入ってここまで進んできたわけですけど、フロントマンとして前に立っているという自覚というか、バンドを背負っている意識は強くなってきていますか。

山口:そうですね。でも、もしかしたらその感覚はずっと変わってないのかもしれないですし、それがめちゃくちゃ強い感じではないと思うんですよ。「自分をどれだけ出すか」っていうのは、もしかしたらあまり表に出さないほうのフロントマンでもあり、ソングライターなんだろうなと。すごくクリエイター気質なんだろうなとは自分でも思います。曲を書くことはすごく好きですし、それこそ今回の『青のミブロ』みたいなタイアップ曲は僕もすごく書きやすいなって感じるので、自分を出していくよりは作品として仕上げるほうが好きな気質なのかもしれないですね。

osage - マイダイアリー [2024.07.27 Live at Shibuya WWW X]

――でも文化祭でバク転してたんでしょ?

山口:そういうのは好きなんですよ。でもバンドとなると、本当に自分だけの意識ではなくて集合体なので。「俺が俺が」と言って大成するようなバンドのスタイルもあると思うんですけど、たぶん自分らはそうではないなと思う。

金廣:確かに「俺についてこい」タイプではないね。

クサマ:でも責任感がないわけじゃないので。なんかこう、ブリッと生み落とした作品がメンバーの手で変わっていく様を見てるのがたぶん楽しいんでしょ?

山口:それが一番楽しいです。

クサマ:それが「興味がない」と捉えられてしまうときもあるんです。それこそ今回のレコーディングでドラムのサウンドはどっちがいいかっていうので、僕と田中が揉めてたとき、「お前はどう思うの?」みたいなことを(山口に)聞くと「どっちもいいと思うんだけどね」みたいな回避の仕方をするんで。

田中:俺ら的には「あんたの一言で決まるんだよ」みたいな感じなんですけど(笑)、まさかの真ん中っていう。

山口:その揉んでる状況で満足しちゃってるんですよ。「すごいな」と思って。

――でも、だからこそいろんな変化の余地も生まれるわけですよね。

田中:そうです。メンバーからすると、好き放題自分のやりたい部分を出せるのはいいですよね。

山口:僕はメンバーと一緒に制作していくのも楽しいですし、最初のデモとこんなに変わったっていうような発見もあるし、それを今度はライブでやるときには、一粒で二度楽しいみたいな現象になるんですよ。ライブになると、自分で全楽器を演奏することは不可能じゃないですか。だからサポートメンバーを入れた5人でドンって出すんですけど、メンバーそれぞれが考えたフレーズのときにチラッと見てるお客さんがいるとか、考えてもらったギターソロのフレーズがめっちゃよくて、そのソロのことを好きだと言ってくれるお客さんがいるとか。そういう嬉しいポイントが2倍にも4倍にもなってくるんですよね。それはこの制作スタイルだからこそできることなんだろうなと思いますし、それが楽しみでもありますね。

――それでちゃんとバンドとして成立するのがすごいですよね。

山口:本当にそう思います。「バンドは会社」ってたまに言いますけど、そういう感覚にも近くて。全員の得意分野がバラバラで、メンバーそれぞれに得意/不得意がある中で適材適所でやってきたからこそ今できてるんだろうなというか。すごくいいバランス感覚でやれているのかなって思いますね。

クサマ:あとたぶん、嫌いなこともそれぞれ違うんですよね。得意なことと嫌いなことがそれぞれ違ってて、それも上手い具合にハマってる。僕はもう絶対にSNSとか動かしたくないし、物販に立つってキャラでもないし。

田中:僕もスケジュール立てるとか、まめなことが全部ダメで。逆に物販でほどほどに体を動かして人と喋るのとかはすごく好きなんで、結構楽しくやってましたね。

osage - ジオメトリック [Music Video] (TBSドラマストリーム「毒恋~毒もすぎれば恋となる~」エンディングテーマ)

「山口の作ってくる曲が好きっていうのが一番の原動力」(田中)

――なるほど。話を聞いてると、4人とも音楽的なルーツもバラバラだし、バンドに求めてるものもバラバラな気がするし。

山口:そうですね。

――でも、それがなぜか一緒に集まって音を鳴らしている。それがバンドの面白さだと思うんですけど、そういうほうが意外とうまくいくのかもしれないし、でも通じ合ってる部分ももちろんあるでしょうし。

田中:やっぱり山口が作ってくる曲が好きっていうのはすごく大事だし、一番の原動力ですね。

――そこへの信頼がこの4人を繋いでいる感じがしますよね。だからこそ山口さんは本当にいい曲を書き続けないといけないっていうことでもありますね。

山口:そう、これは同時に重圧でもありますね。

――ダサい曲を書いたらみんな離れていっちゃうってことでもないだろうけど。

クサマ:でも、そうあるべきだとは思いますけどね。メンバーが作る曲をダサいと思ったら、そんなバンドやらなければいいと思いますし、そういうことを言ってるメンバーがいるんだったら、俺はその人に対して「なんでそんなバンドやってんの?」って思っちゃう。

――ああ、確かにその通りですね。

田中:それ言ってる人いたらめっちゃカッコ悪いね。

クサマ:めっちゃカッコ悪い。だから、これからもいい曲を書き続けてね(笑)。

山口:はい(笑)。でも大きなステージとか、「あのイベントに出られるかも」とか、そういう可能性があるのかなってこともを少しずつ感じてきているので。そこに立って演奏するっていう想像も徐々にリアルにできるようになってきているんですよ。なので、やりたいことは以前よりもさらに増えています。osageの音楽がより広くなってますね、横にも縦にも。

◾️リリース情報
osage『フラグメントe.p』
発売日:2025年1月15日(水)
【初回生産限定盤(CD+Blu-ray)】¥4,950(税込)
【通常盤(CD only)】¥1,760(税込)
【期間生産限定盤(CD only)】¥1,870(税込)
CD予約:https://osage-1st.lnk.to/e.p
配信:https://smr.lnk.to/osage_FRAGMENT_EP

<収録内容>
・DISC-1【CD】
01. フラグメント
02. Selfie
03. 春のベランダ
04. トワイライト
※期間生産限定盤のみ収録
05. フラグメント -TV Size-

・DISC-2【Blu-ray】※初回生産限定盤のみ
『ENSEMBLE TOUR 2024 – 2024.07.27 Live at Shibuya WWW X』
01. monologue
02. letter
03. 少年少女
04. ノータイトル
05. 世明けの唄
06. Greenback
07. ニューロマンス
08. ニヒリズム
09. フロイト
10. あの頃の君によろしく
11. 残り香
12. 夜煩い
13. ホンネ
14. 赤に藍
15. 青かった。
16. セトモノ
17. エピローグ
ENCORE
18. マイダイアリー
19. ウーロンハイと春に

◾️ツアー情報
『osage oneman Live Tour 2025「monument」』
2月15日(土) 福岡Queblick
2月16日(日) 高松TOONICE
2月22日(土) 仙台LIVE HOUSE enn2nd
3月1日(土) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
3月8日(土) Music Club JANUS
3月9日(日) 広島Cave-Be
3月16日(日) 名古屋 ell.FITS ALL
3月20日(木祝) 札幌 Crazy Monkey
3月23日(日) 渋谷クラブクアトロ
チケット情報:https://eplus.jp/osage/

osage Web Site

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