稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾が注ぐ知らないことへの興味 『ななにー』で広げ続けた新しい地図と多様性

 テレビの世界も、インターネットの世界も、一歩ずつ切り拓いてきた彼ら。そんな3人が大事にしているものを、さらりと知ることができるのも『ななにー』の面白さだ。たとえば、INIをゲストに迎えて悩み相談を受けた回でのこと。「隠し事とか謎が多いことがあっていいかってことだよね? 同じ志を持った仲間同士として」とメンバーの悩みを整理した稲垣の言葉に、香取が被せるように「いいと思うよ」と返答。その隣りに座った草彅も穏やかに頷いていた。

 さらに「知らないほうが興味湧くし」と続けた稲垣。こうして番組のトーク場面で初めて知ることが多くて「面白い」とも。たしかに、考えてみれば私たち視聴者も、何十年と活躍している彼らのことをよく知っているようで、ある一定のラインからはまったく知らない。SNSを解禁したらその緊張感がなくなるのかとも思われたが、しっかりとラインは崩されることなく、ずっと私たちの「知りたい」を保ってくれているのだと気づかされた。

 また、90年代から付き合いが続いた放送作家・鈴木おさむが引退するタイミングでは、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)での思い出や、新しい道に進む戦友への正直な気持ちなどが赤裸々に語られたことでも注目を集めた。その時に感じたのは、語れる範囲での「知りたい」にちゃんと応えてくれていたこと。誰が、何を、どこまで知っていくと、世の中が少しだけ明るくなるのか。その絶妙な線引きをできることが、彼らを「国民的アイドル」と呼ぶにふさわしい存在にしているのかもしれない。

 最新回となる11月24日放送分では、『シンママ・シンパパ大集合!リアルな今を全部聞いちゃうぞSP』と題して、現在増えているというシングル家庭に目を向けた。印象に残ったのは、同じシングルマザー・シングルファザーであっても、共感できないところがあったり、知らない情報を教え合うこともあったりしたことだ。そんな似たような境遇であっても違う部分があることを落ち着いたトーンで整理し、自分の意見を述べるよりもまず彼らの声に耳を傾けて淡々と理解しようという3人の姿勢に、あらためて彼らの視野の広さを感じた。これが常に目の前の人の先にもいる多くの人々を想像しながら活動してきた経験なのだろうか、と。

 知らない世界に足を踏み入れる際に見せる、愛のある関心と誰も不快にさせない謙虚さ。多様性を認め合うこれからの社会を歩むのに、必要なものを『ななにー』で3人が教えてくれるようだ。楽しめる広がりを、ちょうどよい深さで。これからも『ななにー』を通じて誰かを“知る”大切さを、味わっていきたい。

香取慎吾、アリーナフェスに初挑戦! 若手アーティストとの対面、思わず痺れた中森明菜の言葉……新作アルバムの裏側も

香取慎吾が11月27日、3rdアルバム『Circus Funk』をリリースする。今回、香取本人へインタビュー。新アルバムに込めら…

稲垣吾郎「誰しも自分のなかで大切な曲がある」 音楽との向き合い方と“秘密のお遊び”を語る

稲垣吾郎が8月22日、実に5年8カ月ぶりとなる新曲「SEASONS」を配信リリース。2019年から月曜・火曜パーソナリティを務め…

関連記事