BUCK-TICK、The Birthday、NEE、ヒトリエ……ボーカリストを喪ってなお歩み続けるバンドの足跡
NEE
そんな昨年に引き続き今年もシーンでは悲しい訃報が散見され、中にはあまりにも早すぎる別れも。2021年にメジャーデビューしたばかりのNEE・くぅの夭逝は、特に若年層のロックリスナーにとって心痛ましい一報だったことだろう。2017年の結成から着実に実績を積み重ね、晴れてメジャーの切符を掴んだNEE。どんどん増えていくライブ動員、大きくなっていくステージ。確実にバンドがステップアップしていった、その矢先の出来事だった。
享年25歳という、あまりにも若く早すぎたくぅの死。だがNEEも深い悲しみの中で、一度は彼の逝去により中止とした日比谷野外音楽堂でのライブ『東京、夏のサイレン』を改めて開催へ。訃報からわずか1カ月後の本公演で、ギター・夕日ほかメンバー3人は改めてバンドの存続を表明。NEEのフロントマン・くぅの人生を、真の意味でまだ終わらせないために。メンバーがそれぞれ彼に代わり歌い奏でる音楽の中で、くぅをこれからも生かし続ける道をバンドとして選択している。
ヒトリエ
さらに夭逝したボーカリストに関するニュースとして、2019年に31歳でこの世を去ったヒトリエ・wowakaの生前の歌声を用いた楽曲「NOTOK」のリリースも、直近で注目を集めた話題だ。
ヒトリエにとって、そしてwowakaにとって様々な節目となる今年刊行された歌詞集『wowaka 歌詞集』に、未発表曲として収録された「NOTOK」。すでに一度バンドのライブでも披露されており、リリースの期待も高まる中、まさかwowakaボーカルによるドロップになるとは一体誰が予想しただろうか。
逝去から5年が経つ今でもヒトリエにとって、そして大勢のファンにとって、wowakaは未だ絶大な指針のまま。懐かしい面影を抱くと同時に、改めて不在に一抹の寂しさを覚える。そんな複雑な思いで、彼の新しい声を受け止めた人もきっといたことだろう。
本来ならば、バンドの存続を断念せざるを得ない出来事でもあるボーカルの死。だがその悲しみと苦難を乗り越え、音を鳴らし続けることを選んだバンドが今もシーンの各所で活躍している。
遺された人々が歩き続けると決めた以上、我々はその行く末を見届けるだけだ。いなくなった人々も、そんな未来を信じたからこそ。彼らと共に最後までバンドマンとして、ボーカリストとして生きたのかもしれないのだから。
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