ENHYPEN、ATEEZ、TXT、TREASURE……“スーツルック”で漂わせる色気 映像との相乗効果で際立つ輝き
ダンス楽曲の特徴と魅力を明確にビジュアライズ
スーツルックを前面に打ち出すことで楽曲の世界観が明確になるK-POPナンバーはほかにもある。TREASUREが2023年7月にリリースして初のミリオンヒットを記録した2ndフルアルバム『REBOOT』のリード曲「BONA BONA」を特筆しておきたい。同曲MVは、シンプルな白空間をメインにメンバー10人の黒のスーツルックが映えるよう演出されている。中庭的なサブ舞台との対比もいい。
カット割はかなり細かい。基本的にダイナミックなカメラワークは導入せず、楽曲の速いテンポ感を活かして寄りとアップで交互につなぎ、ダンスソロをスタイリッシュに際立たせている。黒スーツから複数の衣装を経て、最終的にはカジュアルな姿を披露し、船上セットで歌とダンスを正面から捉える正攻法の映像に仕上げている。
TOMORROW X TOGETHERが2023年9月にドロップした「Back for More (with Anitta)」のMVもスーツルックの代表例だが、前出の3曲と違い、衣装はラストまで変わらない。コーラスを持ってきた短い導入があるものの、イントロがほぼゼロの曲であるため、冒頭すぐメンバー5人のダンスでインパクト勝負。最初のステージングでローポジションに置かれたカメラが、細やかなカッティングで華麗なジャケットプレイを拾っていく。このあたりはBTSと同じ事務所らしいスタイルでもあり、マイケル・ジャクソン的なフレージングも感じる。客演のAnittaを中央にすえた第2ステージが展開したあと、大型モニターを背景にライブ仕様のステージへと拡張する満足感。いずれのMVもファッションと映像を鮮やかにリンクさせながら、ダンス楽曲の特徴と魅力を明確にビジュアライズしている。
K-POPにおいてファッションは、アーティストの魅力を引き立たせる大事な要素だ。ここで紹介した楽曲たちは、MVでまとうスーツルックによって際立つ“色気”と巧みな映像表現の相乗効果によって、より輝きを増している。今後もどのようなスタイルのMVが公開されるのか、楽しみにしたい。
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