米津玄師、星街すいせい、ano × 幾田りら、indigo la End、TAEYEON、コレサワ……注目新譜6作をレビュー

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は米津玄師「Azalea」、星街すいせい「AWAKE」、ano × 幾田りら「SHINSEKAIより」、indigo la End「盲目だった」、TAEYEON「Letter To Myself」、コレサワ「浮気したらあかんで」の6作品をピックアップした。(編集部)

米津玄師「Azalea」

 最新アルバム『LOST CORNER』のインパクトが残り続けるなか、米津玄師から早くも新曲「Azalea」が届けられた。「死んでしまった恋人の心臓を移植した男性と出会う」というストーリーを持つドラマ『さよならのつづき』(Netflix)の主題歌として制作されたこの曲は、常に変化し続ける人間同士がどうやって関係を継続するのか、そのなかでどのように愛情を深めていくのか(いけるのか)という極めて本質的なテーマを感じさせる。決して大仰にならず、しっかりと抑制を効かせたメロディ、感情の発露をできるだけ制限したボーカルが歌詞の普遍性を効果的に際立たせている。編曲は米津とYaffle。クラシカルな鍵盤のリフレイン、ひんやりとした音像、厚みのある低音が共存したサウンドメイクも白眉だ。(森)

米津玄師 Kenshi Yonezu - Azalea

星街すいせい「AWAKE」

星街すいせい「AWAKE」

 リアルとネット、2次元と3次元を行き来する「ビビデバ」のMVがYouTubeで1億回再生を突破、初のライブツアー『Hoshimachi Suisei Live Tour 2024 "Spectra of Nova"』を開催するなど、VTuberアーティストのトップランナーとしての存在感を高め続けている星街すいせいの新曲「AWAKE」は、作詞:草野華余子/作編曲:Giga・TeddyLoidによるダンストラック。強靭にしてしなやかなエレクトロサウンド、ドラマティックに展開するメロディ、そして、〈モニター越しの輝きじゃつまんない〉という挑発的(?)なリリック。既存のジャンルや活動のフィールドを気持ちよく超越し、この国のポップミュージックが更新されていく、そんな爽快さを久々に感じている。もちろんその中心にあるのは、圧倒的なテクニックと説得力を誇る星街の歌声だ。(森)

ano × 幾田りら「SHINSEKAIより」

ano × 幾田りら「SHINSEKAIより」

 アニメシリーズ版『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(テレビ東京系)オープニングテーマ。主人公、小山門出役・幾田りら、中川凰蘭役・あの(ano)による再びのコラボだ。3月に公開された同作の劇場版主題歌はTK(凜として時雨)が作曲を担当していたが、今回の作詞作曲はなんと原作者で漫画家の浅野いにお。作詞経験は過去にもあるが、作曲までできる人なのかと驚いた。彼が書き上げたのは二人の声質とメロディを中心に据えたJ-POP。どの言葉や旋律をどちらに歌わせるか、細かい声のニュアンスが最も重要だったのだろう。派手なアレンジを極力避けた内容になっているのも納得。豪華テーマソングとは一線を画す、作品愛の結晶のような一曲が完成した。(石井)

関連記事