ダークホース『ぷにかわ』で魅せる篠原侑の”かわいさ”満点な表現力 『ウマ娘』『リステ』でも実力を発揮

 2024年秋クールのアニメもさまざまな作品が放送されているが、その中でも独特なセンスで人気を博しているのが、美少女の姿に変身できるスライム・ぷにると思春期中学生の恋愛を描いたラブコメ作品『ぷにるはかわいいスライム』(テレビ東京系/以下、『ぷにかわ』)だ。アニメ化前からSNSを中心に原作コミックが大きな話題となっていたが、スライムであるぷにるに声と動きがついたことでその魅力はさらに倍増。そんな魅力を押し上げた立役者の1人が、ぷにる役を演じる声優・篠原侑である。

 篠原といえば、メディアミックス作品『ウマ娘 プリティーダービー』のカレンチャン、オープンワールドRPG『原神』のリネット、TVアニメ『ダークギャザリング』(TOKYO MXほか)の寶月夜宵、TVアニメ『シャドーハウス』(TOKYO MXほか)のエミリコなど、数多くの人気作品に出演している若手声優だ。かわいい、クール、ボーイッシュなどのキャラクターをこれまで演じており、その演技力の幅広さは、大人びたアイドル美少女から男の子までさまざまな姿に変身できるぷにるを演じる際にもいかんなく発揮されている。そんな篠原の演技力・表現力を存分に活かし話題となっている楽曲が、『ぷにかわ』のEDテーマになっている「唱」である。

TVアニメ『ぷにるはかわいいスライム』“ぷにかわ”EDムービー(ノンクレジット)/EDテーマ「唱」ぷにる(CV:篠原 侑)

 この曲は2023年にリリースされたAdoの楽曲のカバーで、ハイテンポ、早口、巻き舌、ラップなど、Ado自ら「過去一難しい」と評した、シンガーのボーカル力が試される1曲である。そんな高難易度楽曲を“かわいいぷにる”として歌いこなしながら、ぷにるの変幻自在っぷりを見せつけるようなボーカル表現にただただ圧倒された人は多いことだろう。篠原の歌声からは、Adoのオリジナルで感じられる“歌声の圧”とはまた違う、“かわいさの圧”が感じられる。彼女はかつて小学生の頃に歌手を目指していたそうだが、それも影響しているのか、篠原の歌には耳を引かれるものが数多い。今回は篠原の歌唱する楽曲に注目し、彼女の多彩な歌声に迫っていきたい。

 『ぷにかわ』OPテーマ「ぎゅむ!」は、ぷにるのかわいさと作品のドタバタ感を両立させたポップナンバーであり、〈とっぷん ぷるるん〉といったオノマトペを多用した歌詞や、時折挿入される台詞調のワードによって、楽しさに溢れた1曲になっている。ぷにるは“かわいい”という形容詞が付くキャラクターではあるが、スライムということもあって男女の概念はなく無性別。そのため、篠原の歌声は女の子にも男の子にも聴こえる絶妙な塩梅で展開されていくのだ。一方で、サビ中盤のファルセットからは美少女が一瞬見え隠れ。このドキリとする感覚も「ぷにるらしい」と言えるだろう。

TVアニメ『ぷにるはかわいいスライム』“ぷにかわ”OPムービー(ノンクレジット)/OPテーマ「ぎゅむ!」ぷにる(CV:篠原 侑)

 続いて紹介するのは、女子中学生アイドルを描いたメディアミックス作品『Re:ステージ!』の中から、小澤亜李が演じる伊津村紫と、篠原が演じる恥ずかしがり屋なアイドル・水篠苑が結成したユニット・アスタレーヴ)。彼女たちの始まりの曲「un rêve」は、優しく包み込む紫の歌声とピュアで楽し気な苑の歌声がマッチした、夢の第一歩を踏み出すための1曲である。質感豊かなピアノやシンセの音色が聴く人の心に波を起こし、それに呼応するように歌声に乗せられた2人の感情も楽曲が進むにつれてどんどん増大していく。特にラストの〈育てよう un rêve〉で重なり合う彼女たちの高音の美しさはエモさの塊で、エピソードを読んだ上でこの曲を聴くとさらに感動が増す。また、苑のソロ曲である「Re:write」では、自分を変えていこうと決意する苑のポジティブな想いをしっかりと歌声で表現。健気なかわいらしさが垣間見える1曲となっている。

関連記事