JMS 鈴木健太郎×ハルカミライ 橋本学、ロックバンドが起こす逆襲 『REDLINE』ならではの名シーンを語り合う

『REDLINE』“FINAL”対談

「せめぎ合いをした末に、今は“4人で、魂で行こう”」(橋本)

──鈴木さんが思う、ハルカミライのライブの魅力は何ですか?

鈴木:学だけじゃなくて、みんなが戦車のようなんですよね。学はもちろんフロントマンとしてロックなんですけど、それを支えるメンバー3人の圧もすごいんですよ。見ていると、泣きたくもないのに勝手に涙が出てくる。そういうパワーがあるなと思います。

橋本:嬉しい。

──何年も前からハルカミライのライブを観ていると思いますが、ハルカミライのライブの変化はどのように感じていますか?

鈴木:基本は変わらないけど、ライブの持っていき方、運び方は熟練されていっているなと思います。ライブハウスとかアリーナとか、規模感に合わせたライブの仕方もすごく研究しているんだろうなって。しかもいろんなアーティストと対バンするじゃないですか。対バン相手を選り好みしない。そこも強みだなと。

橋本:往年のパンクロックバンドとか、ゴリゴリのハードコアのお客さんって、後ろの方で腕を組んで観ていることが多いんですよ。そういう人たちをどうやって解いていこうか、みたいなことは確かにめちゃくちゃ考えてきたかも。その結果、必要なのはチョケることだなと思いました。若い頃は、熱を込めていればわかってくれると思っていたんですけど、意外とそれだと届かなくて。それよりもちょっとチョケたり、ボケたりする方が、友達になっていくような感覚があって。「こいつら面白れえじゃん」と思ってもらえたら、最後の最後にちょっと話を聞いてもらえる、みたいな。

──熱量だけじゃなくて緩急も必要だと気づいたのはいつ頃ですか?

橋本:気づいたのはライブを始めて2〜3年目ですけど、気づいたはいいものの、俺根っこはめちゃくちゃ真面目人間なので、できないんですよ。人の笑わせ方がわからなくて。近い先輩で言うと、39degreesを観て「こういうライブをしてみたいな」とは思ったけどできなくて。さらにいろんなバンドと対バンするようになって、四星球と出会ったときに「あそこまではできないけど、自分の中に落とし込みたい」と思いました。

──先ほど鈴木さんから4人のパワーがすごいという話もありましたが、ハルカミライがライブをするときに意識していることや大切にしていることはありますか?

橋本:一時期、俺らメンバー4人でも争っていたんです。ライブをやったあと話し合いで「今日は俺、勝ってたっしょ?」って。「お前、今日ダメだったぞ、俺の方が良かったぞ」みたいな話し合いをしていて。

──その勝ち負けは演奏の良し悪しではなく?

橋本:ではないです。言葉ではうまく説明できないんですけど、誰が一番ノってたか、みたいな。そういうせめぎ合いをした末に、今は“4人で、魂で行こう”みたいな感じになっています。

『REDLINE』が“FINAL”を掲げた理由

──『REDLINE』は2010年が初開催。お二人はこの15年のライブハウスやライブシーンの変化をどのように感じていますか?

鈴木:僕的にはやっぱりコロナ禍が大きかったと思っていて。あの時期、アーティストとライブハウスがシーンを守ってた。もちろん潰れてしまうライブハウスもありましたけど、みんながなんとかこのカルチャーを守っていこうとしていた。だから少しずつ戻りつつある今は、守れたからこその倍返しみたいなものを期待しています。ロックバンドの逆襲です。今ってCDは売れないし、サブスクリプションのチャートの上位にもロックバンドはほとんど入らない。だけど現場から伝える強みがロックバンドにはあるから。これを続けていくうちにチャートの雰囲気も変わっていくんじゃないかなと思っています。

橋本:俺は時代の移り変わりとか、シーンとかそういうものをあまり客観視できなくて。ただコロナ禍は、お客さんが20〜30人とかでも強がって平気なフリしてライブをしていたけど、やっぱりしんどかった。なんとかライブをしなきゃと思ってやっていただけで、別に「守った」という自覚はないですけど。その状態で神奈川・ぴあアリーナMMで『REDLINE ALL THE REVENGE Supported by M』をやったじゃないですか(2022年11月開催)。あのとき「頑張って耐えた分、こんなイベントが待ってたんだ!」と感じられて。ご褒美みたいで、すっげえ嬉しかったんです。だからこれからも、自分らがそのときにできる精一杯をやっていこうと思っています。お客さんはお客さんで、バンドに対して「こうあってほしい」という理想像っていっぱいあると思うんですよ。例えばテレビに出ないでほしいとか。

鈴木:あるね。ブランディングみたいなものもあるし。

橋本:そうそう。そういう気持ちはすごく嬉しいですけど、俺はこれからも自分たちがやりたいと思ったことをやっていこうと思っています。別に今のところは何もないですけど、何かタイミングが来たら、面白いことをやりたい。今までやってきた、いろんなジャンルの人たちとの対バンもその一つだし。ラフに、遊ぶような感覚で音楽ができたらと思っています。

──いよいよ12月には『REDLINE』シリーズの最後として『REDLINE ALL THE FINAL』が開催されます。

橋本:マジの最後なんですか?

鈴木:マジの最後なんですよ。ありがたいことにみんなから「続けた方がいいんじゃないか」って言われるし、なんなら会社からも言われるんですけど、僕としてはインプットのためにまたライブハウスに潜って、バンドを探して、そいつらとツアーを回って……みたいな、同じことを一から始めたいなと思っているんです。だから『REDLINE』としては一旦区切ろうと。

橋本:そういうことなんですね。

鈴木:1日28アーティスト、2日間で56アーティストが出演します。いつもはジャンル分けをしないで、ごちゃっと混ぜているんですけど、今回は意図的に分けています。この2日間を通して『REDLINE』の歴史が完結するので、できればお客さんには2日間来てほしいですし、アーティストにも2日間観てもらえたら僕の思いがより伝わるんじゃないかなと思います。ハルカミライの出演は1日目だけど、2日目も来てくれたら楽しい楽しい打ち上げが待っていますから(笑)。

橋本:あはは(笑)。

──ハルカミライはどんなことが楽しみですか? 打ち上げ以外で(笑)。

鈴木:あのステージになっちゃったからね〜。

──“あの”ステージですね(笑)。

鈴木:はい、匂わせておいてください(笑)。

橋本:ね。あのステージっていうだけで超面白いっす。何をするとか、何もないですよ。「伝説を作りましょう」って、ただそれだけです。

鈴木:普通に考えたら、今のハルカミライは絶対にあのステージじゃないんですよ。だからちゃんとメンバーには「本当に申し訳ないんだけど、ここでやってほしいんです」と説明しました。今って、ハルカミライはどのフェスに出てもほとんどメインステージじゃないですか。そう考えると『REDLINE』でしかできないハルカミライのライブって、あのステージなんじゃないかなと思うんですよ。

──当日、“あの”ステージに立つハルカミライにはどんなことを期待しますか?

鈴木:“いいライブ”とか“何か事件を”とかは、もう言わなくてもわかっていることなので、未知の世界に行ってほしいですね。お客さんとの距離もめちゃくちゃ近いので。

橋本:ヤバそうっすね! 最近、やっぱりお客さんが喜んでくれるのって嬉しいことだよなと思っていて。気が回らなかったり、自分たちのことでいっぱいいっぱいになっちゃうこともあるんですけど、ふと気づいたときに「お客さん、めっちゃ楽しそう! 最高!」って思えるようになってきて。あのステージでは、それがめちゃくちゃ近い距離で体感し合えると思うので楽しみです。

REDLINE ALL THE FINAL PROJECT vol.1

◾️イベント情報
『REDLINE ALL THE FINAL』
会場:幕張メッセ 国際展示場 9-11ホール

2024年12月7日(土)
ACIDMAN、AgeFactory、ALI、ASP、Awich、bacho、FAT PROP、FOMARE、go!go!vanillas、HERO COMPLEX、KOTORI、MONGOL800、MY FIRST STORY、PEDRO、RIZE、SATOH、SIX LOUNGE、THE FOREVER YOUNG、TETORA、tricot、w.o.d.、WurtS、04 Limited Sazabys、クリープハイプ、サンボマスター、ハルカミライ、東京スカパラダイスオーケストラ、優里

2024年12月8日(日)
AFJB、BLUE ENCOUNT、coldrain、Crossfaith、Crystal Lake、CVLTE、Dragon Ash、dustbox、EGG BRAIN、ENTH、FACT、Fear,and Loathing in LasVegas、FOR A REASON、HEY-SMITH、MAN WITH A MISSION、MONOEYES、MY FIRST STORY、NOISEMAKER、Northern19、Paledusk、ROTTENGRAFFTY、SHADOWS、SHANK、SiM、The BONEZ、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、TOTALFAT、マキシマム ザ ホルモン、WORSTRASH(O.A)

【公式SNS】
HP:https://redlineallthefinal.com
X:https://x.com/redline_tou
Instagram:https://www.instagram.com/redline_tour/

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