音楽シーンの新トレンドに? カニエ、アリアナ、ミーガン、BTS RMら海外アーティスト楽曲における“日本語”増加
カミラ・カベロの新曲「Chanel No.5」でも、〈origami〉(折り紙)、〈murakami〉(村上春樹)、〈wabi sabi〉(侘び寂び)、〈umami〉(うまみ)、〈omakase〉(おまかせ)など、日本語の単語がキーワードとして随所に置かれている。作詞の背景についてカミラは「とにかく魅了される日本語を詰め込んだの」と答えており、韻を踏める言葉を探してたところ、たくさんの日本語のワードがひっかかったのだという(※3)。
BLACKPINKのLISAは、自身のソロ第1弾シングル曲の「ROCKSTAR」で〈"Lisa, can you teach me Japanese?"/I said "Hai, Hai"〉と歌う。これは、後に続く〈life, life〉〈hype, hype〉と韻を踏んでるのだ。また、BTSのRMによる「Domodachi (feat. Little Simz)」には、〈みんな友達ここで踊りましょう〉というフレーズがのせられており、海外へも波及した千葉雄喜「TEAM友達」との共通項も見出せる。
海外アーティストによる日本語詞増加の背景には、世界中で根強い人気を誇る日本アニメの影響が大いにあると感じる。実際にアニメ主題歌を手がけた日本アーティストたちの海外公演は成功し、回数を重ねている。カミラ、ビリーのようにたまたま本を読んでいて、ちょうど映画を観終えたときに……など偶然の産物を生み出しているのは、それほどまでに彼女たちの日常に日本のカルチャーが根づいているからこそ。日本カルチャーを取り入れるという行為は音楽に留まらず、あらゆるジャンルの人々のなかで行われていることなのかもしれない。
筆者が住むイギリス・ロンドンでは、クラブやフェス会場といったカルチャーシーンだけでなく、街なかを歩いているだけでもひらがな、カタカナ、漢字をTシャツやタトゥーで目にすることが多い。日本で腕に「LOVE」と彫るならば海外では「愛」と彫り、ときには着ている本人も意味がわかっていなさそうな「ラーメン」とだけ書かれた謎の日本語Tシャツを見かけることもあるが、それほど“COOLなカルチャー”として海外では受け入れられているようだ。
日本カルチャーから影響を受けたアーティストたちによって、音楽/映像ともに数々のコラボが生まれている。カミラが作詞時の背景として語っていた「とにかく魅了される日本語を詰め込んだ」。彼ら、彼女らが日本語で歌う理由は、その言葉が全てだろう。今後、日本カルチャーに影響を受けた海外アーティストからどんな楽曲が生まれてくるのか、楽しみだ。
※1:https://www.wwdjapan.com/articles/676677
※2:https://www.rollingstone.com/music/music-news/billie-eilish-chihiro-video-1235034281/
※3:https://www.barks.jp/news/?id=1000249346
『セーラームーン』がアーティストに与える影響 ミーガン・ジー・スタリオン、ホールジー、ビリー・アイリッシュらも夢中に
武内直子の人気コミックを原作とした『美少女戦士セーラームーン』シリーズの最終章を描く『美少女戦士セーラームーンCosmos』の前…
藤井風、洋楽カバーに見る音楽への深い理解 選曲、アレンジなどから創作活動の原点に迫る
2ndアルバム『LOVE ALL SERVE ALL』をリリースした藤井風。 言葉とメロディが織り成す極上のグルーヴとその類…