サザンオールスターズ、あいみょん、Awich、[Alexandros]、北山宏光、JO1……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はサザンオールスターズ「ジャンヌ・ダルクによろしく」、あいみょん「猫にジェラシー」、Awich「Are you serious?」、[Alexandros]「Boy Fearless」、北山宏光「Just Like That」、JO1「WHERE DO WE GO」の6作品をピックアップした。(編集部)

サザンオールスターズ「ジャンヌ・ダルクによろしく」

 ブルースのフィーリングを感じさせるギターリフ、しなやかさと足腰の強さを兼ね備えたリズムセクション、バンド全体を包み込むように響くオルガン。『パリ2024オリンピック』や『パリ2024パラリンピック』をはじめとした中継番組など「TBS系スポーツ2024テーマ曲」としてオンエアされていた新曲「ジャンヌ・ダルクによろしく」は、70年代を想起させる、いぶし銀のロックンロール。決して派手さはないが、換骨奪胎的なアプローチを施したサウンド、日本語を英語のようにグルーヴさせるボーカルを含め、サザンオールスターズの真骨頂と呼ぶべき楽曲に仕上がっている。自由への渇望を感じさせる歌詞も絶品。スポーツの祭典に向けて〈生まれ堕ちたる身の上/歌は平和を奏でる武器でしょう〉というラインをぶつける姿勢からは、ロックバンドとしての矜持が伝わってくる。(森)

サザンオールスターズ - ジャンヌ・ダルクによろしく [Official Music Video]

あいみょん「猫にジェラシー」

あいみょん「猫にジェラシー」

 5thアルバム『猫にジェラシー』より、ラストを飾るタイトルナンバー。アレンジを手がけるのはトオミヨウで、彼が奏でる柔らかい鍵盤、あいみょんが爪弾くアコギ、あとは最低限のベース&ドラムだけ。今どきこれだけ情報量の少ない、めくるめくスピード感やドラマ展開がどこにもない、ほっこりした陽だまりのような曲が、トップアーティストのひとりから届くことにまず驚いた。タイトルどおり、彼女が抱きしめる猫にさえジェラシーを抱くというラブソング。相手が猫だからどうやっても敵わない脱力感の表現や、結局は愛すべき感情が芽生えてしまうストーリー運びが最高にキュートだ。20代前半では出てこなかったであろう余白の味わいもいい。(石井)

Awich「Are you serious?」

Awich「Are you serious?」

 「Bad B*tch 美学 Remix」でコラボしたゆりやんレトリィバァが主演を務める、『極悪女王』(Netflix)の書き下ろし主題歌。誤解や偏見、嫉妬や誹謗中傷も全部飲み込んでエンタメの最前線に立ち続ける二人の女傑。もはやドラマの話なのか現実なのかも判別がつかない、現在進行形のコラボ続編である。当然この場にメロウな愛の歌は似合うはずもなく、Awichは振り切ったボースティングを連発。単独のラップでプロレスリングの熱気を描くのはかなり難易度が高いと思うのだが、繰り返される〈Are you serious?〉〈You not serious〉が途中から大勢の掛け声になっていくことで、膨らむ熱狂、止められない狂気のようなものが表現されている。(石井)

関連記事