ICEx「見たことない僕たちを届けられたら」 鮮やかな一体感で次の境地を見せた単独公演『TASTING』

 ICExが8月29日と30日、東京・北とぴあ さくらホールにて、単独コンサート『ICEx summer concert 2024 “TASTING”』を開催した。愛情や感謝の気持ちに溢れた演出を随所に織り込みながら、可愛らしい楽曲からクールな楽曲、バラード、アンセムソング、ダンスミュージックまで、多彩なパフォーマンスでCOOLer(ファンの総称)を魅了し続けた8人のメンバーたち。より一層成長した彼らの姿に、「この先には、もっとおもしろい未来が待っているかもしれない」と思わず期待したくなる約2時間のステージだった。

 筆者が参加したのは、コンサート最終日である30日の第一部。台風10号の影響を受け、外はあいにくの雨模様だったが、北とぴあに到着すると空気は一変。開演を待ちわびるCOOLerの熱気で、非常に明るく賑やかな空気ができ上がっている。

 そんな中、会場が暗転すると、メインスクリーンにまるでテトリスのような映像が流れ出す。今回の公演タイトルである『TASTING』が女性の声でアナウンスされると、暗闇の中からグレーを基調とした衣装に身を包んだ中村旺太郎が登場。ソロでクールなダンスを踊ったかと思うと、次の瞬間、八神遼介が登場し、中村と同じようにソロでダンスパフォーマンスを披露してオープニングを飾っていく。その後も千田波空斗、筒井俊旭、志賀李玖、竹野世梛、山本龍人が次々と登場し、最後は阿久根温世のパフォーマンスで本公演のイントロダクションを終えた。

 1曲目は、軽やかで爽やかなサウンドが心地よい「Maniacs」を披露。パフォーマンスが始まると、客席のあちこちから「可愛い!」とメンバーのダンスや表情、歌声への声援が沸き起こり、非常に温かな会場の雰囲気にメンバーも楽しげな様子を見せる。続いて、メジャーデビュー曲「CANDY」へ。今回、舞台上には階段とともに少し高い位置にある特設ステージが設けられている。メンバーはその特設ステージも使いながらパフォーマンスを行い、会場を一気に明るくポップな空気へと染め上げると、メジャー 1stアルバム『Retro Toy Pop』よりリード曲の「Hollywood」を披露。8人のフレッシュさとやわらかくて楽しげな雰囲気がギュッと凝縮したようなパフォーマンスで、COOLerを惹きつけていく。

 曲が終わると、中村が「今日も楽しんでいきましょう!」とCOOLerに声をかけ、それぞれ自己紹介を行って「ビリミ」のパフォーマンスへ。間奏部分では、メンバーが懐中電灯を持ってステージを降り、何かを探すように客席の間を歩き回る場面も。COOLerに最も近い場所で、COOLerへの愛や感謝の気持ちを伝えたい。そんな彼らの想いが感じられる演出に、客席は大盛り上がり。そのテンションを引き継いだまま「ナイトフライト」「COUNT DOWN」でクールなステージを繰り広げると、今回のコンサートのために制作したという新曲「8COUNT」が披露された。疾走感あふれるEDM系の同曲は、これまで以上にチームのまとまりが必要な振付となっており、ICExがまた新境地に達したことを感じさせるパフォーマンスだった。

 ここで再びMCへ。まずは中村が「8COUNT」について「皆さんとの関係をより深くつないでいくという(意味を込めた)曲になっています」「歌詞に注目してほしいです」と、楽曲のコンセプトなどを紹介。続いて志賀が今回の公演に込めた想いについて、「皆さんが見たことのない僕たちを、ライブを通して皆さんに届けられたらいいなという想いを込めた」「もっと僕たちにハマっていただけたら」「最後まで目を離さないでください」と、志賀ならではの言葉でCOOLerに丁寧に説明していく。そんな彼の言葉を受け、阿久根が「今回、メイクとか演出とかも結構変わっていて」と構成にもかなりこだわったことを明かすと、竹野が「初めての2階だよね」と、舞台上に設けられた特設ステージの存在に言及。すると、中村と千田が特設ステージへと駆け上がり、千田が2階席のCOOLerに向かって「距離、近くなった感じする?」と尋ね、ステージのセットも含めて全ての構成がCOOLerとよりコンサートを楽しむために作られたものであることを窺わせた。

 MCでは他にも、前回のコンサートで誕生した筒井のキャッチフレーズ「ありがとっしー」に次ぐ、他メンバーのキャッチフレーズを考える場面も。千田のアイデアで、「せーな!」というかけ声でハグポーズを取るという竹野の新キャッチフレーズが生まれたり、千田と筒井の発案で中村に「えいえい、旺太郎!」というかけ声が生まれたりするなど、終始笑いの絶えない幕間となった。

 そして、八神の「来年の夏もそうだし、春、冬、秋、全部みんなと過ごしたいなと思ってて、そういう気持ちを僕たち、曲でみんなに伝えたいと思います」という前振りから「Destiny」を披露。一つひとつの言葉を大切に歌い上げる8人のボーカルに酔いしれていると、続いて「Sunset Blue」の歌唱へ。この楽曲は一見すると別れを歌ったバラードだが、〈君に幸せな未来が訪れますように〉〈君が輝く場所で笑うため〉といった歌詞をCOOLerの姿をじっと見つめながら歌うメンバーの姿に、なんだか日々の生活と向き合う私たちが応援されているような心地がしてくる。

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