4s4kiが“ゲーム音楽シーン”に刻む存在感 サブカルチャーとの融合で放つ独自のサウンドとストーリー性
今から2年ほど前、4s4kiの『Killer in Neverland』を聴いていた時に、〈そんな装備で大丈夫か?大丈夫だ、問題ない〉という聞き覚えのあるフレーズが耳に飛び込んできて、思わず吹き出してしまったことがある。ネットミームとしても有名なゲーム『エルシャダイ』の台詞を引用した「先制の剣」には、〈今すぐに最初の村飛び出て/マスターソード抜け〉という『ゼルダの伝説』を想起させるフレーズも織り込まれていて、現実の生活での戦いをゲームと重ねた、ユニークで印象的な楽曲だ。
あれから少し時を経て、今や4s4kiはゲーム業界から引っ張りだこの存在になっている。年始にリリースされた「Magic sword」はスマートフォンゲーム『タップハンター~剣と魔法の放置RPG~』(人気MMORPG『剣と魔法のログレス いにしえの女神』の10周年を記念したもの)の主題歌として自身が作詞・作曲・編曲・トラックメイクを手掛けた楽曲であり、ゲームに登場するキャラクターと4s4kiが次元の壁を超えて共演するミュージックビデオも制作された。さらに、4月には人気オープンワールドRPGの『原神』から生まれた楽曲である「春華」にウォルピスカーター、majikoと共に参加し、女性版の主人公である蛍の歌唱を担当している。
6月にリリースされたばかりの「survival dAnce」も、言わずと知れた超人気シリーズ発のスマートフォンゲーム『モンスターハンターNow』の2023年版TVCMソングとして使用されていた楽曲だ。90年代のJ-POPを代表するTRFの名曲が、Yaffleと共に大胆にリアレンジされ、ただでさえ強烈な原曲に引けを取らないほどのインパクトを生み出している。
では、なぜここまで4s4kiとゲームは相性が良いのだろうか? まずはなんといっても、4s4ki自身がヘヴィなゲーマーであり、ゲームという文化そのものに対する理解の解像度が高いことが挙げられるだろう。「LOGOUT」(『Killer in Neverland』)で〈オンラインでネトゲをしてた/中学2年の春が今/作る音楽に与えたportion〉と歌われているように、4s4kiにとってのゲームは自身の表現のルーツを構成する大きな要素だ。そして、それ以上に重要なのは、冒頭で紹介した「先制の剣」のように、4s4kiがゲームの世界での出来事を人生の一部として捉え、リアルとバーチャルの垣根を超えた表現を続けてきたことにある。
〈Magic swordぶった斬り/シュパドン壮大に/リアルでもfantasy〉と歌う「Magic sword」は、剣と魔法が彩るRPGの世界と現実に挑む姿が並行して描かれているように感じられるし、「survival dAnce」では『モンスターハンター』における派手な戦いと現実の社会を痛快に駆け回る姿が見事に重ねられている。「先制の剣」における『エルシャダイ』の引用についても、ただネットミームを流用しているのではなく、まさに現実に挑む上での装備が十分なのかどうかを確認するためのフレーズとして効果的に用いられているのだ。