カメレオン・ライム・ウーピーパイ、PESが導いた武器と大正解 新曲「REACH feat. PES」で刷新した強さ

 そういう意味では、海外のアーティストとやる時はもちろん、日本人とコラボするとその面白さはますます加速する。PARKGOLFとコラボした「Indie Slime」はまさにそうだ。これはまぎれもなくカメレオン・ライム・ウーピーパイの楽曲だが、トラックはかなりPARKGOLF的というか、両者のちょうど中間地点で生まれた曲という感じがする。きっと海を越えてのやり取りよりも密で濃いコミュニケーションがそこにはあったのだろうし、お互いのバックグラウンドにも共鳴する部分があったのだろう。そういえば最初に「Indie Slime」を聴いた時、僕はPESが在籍していたRIP SLYMEを連想した。実際のリファレンスだったかどうかはしらないが、もしかしたらそうした文脈(というか、Whoopiesが単純にファンだったとか)も今回の「REACH」につながっていたりするのかもしれないし、しないのかもしれない。

Indie Slime / カメレオン・ライム・ウーピーパイ × PARKGOLF:Lyric Video

 で、この「REACH」である。アシッドジャズのアッパーなグルーヴとホーンの華やかなサウンドがどこまでも高揚感を煽るこの曲。いったい何を歌っているのかといえば、PESのラインに〈単発と連射〉や〈叩くドラム にらむリール〉という言葉が出てくることからもわかるとおり、スロットのことである。その「リーチ」だったか。動き出したら止まらないビートとどんどん加速していくエモーションはまさにスロット台に向き合って「く、来るかも……」と息を呑む瞬間のそれである。

REACH feat. PES / カメレオン・ライム・ウーピーパイ

 なのだが、じゃあ一部以外の人にとっては「私はスロットやったことないのでわかりません」という曲なのかといえば、もちろんそんなことはまったくない。Chi-の歌う〈出来ちゃってるなレース なあなあは結構/バグに乗っていこう〉や〈探して 楽しい ルート/想定外でいこう〉というフレーズにはカメレオン・ライム・ウーピーパイがこれまで歌ってきたものに通ずる人生観が色濃く表れているし、カラフルな音が次々と登場しては去っていく怒涛のトラックメイク(そこはかとなくPESのキャリアへのリスペクトも散りばめられている)もWhoopiesの真骨頂。そこにPES一流のキャッチーなラップが絡むことで、楽曲の魅力は何倍にもブーストされている。

 この「ラップをポップに響かせる」というスキルにおいてPES以上の適任はいないわけで、その“武器”を存分に引き出しつつ、まさに会話するようにして展開するこの曲は、カメレオン・ライム・ウーピーパイのコラボレーションの歴史におけるひとつの“大正解”なのではないかという気がするのだ。

■リリース情報

『REACH feat. PES』

『REACH feat. PES』
配信中

配信URL:https://clwprecords.lnk.to/REACHID

カメレオン・ライム・ウーピーパイ オフィシャルサイト:https://clwp.jp/
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