清 竜人25の再結成は「今年しかないと思った」 夫人たちの決め手から新たなビジョンまでを語る

 35度のうだるような暑さの中、アフロヘアーに戻った清 竜人は取材現場に現れた。2017年に解散した一夫多妻制アイドルグループ・清 竜人25を、2024年に突如再結成。その初のワンマンライブ『KIYOSHI RYUJIN25 〜REUNION PARTY〜』は2024年7月11日に開催されたが、その場で突然、第102夫人・清 嬉唄(島村嬉唄/きゅるりんってしてみて)の脱退、そして清 ゆな(チバゆな/きゅるりんってしてみて)の加入が発表されるという波乱の展開を見せた。ソロ活動も行っている中で、なぜ清 竜人25を再結成したのか。そして今のシーンにどうアプローチしていく気なのか。『青春しちゃっていいじゃん / Will you marry me ?』をリリースし、8月15日にソロライブ『Kiyoshi Ryujin 15th Anniversary Band Tour 2024』の東京追加公演を控える多忙な清 竜人に話を聞いた。(宗像明将)

清 竜人25、再結成を決断するまで

――2017年に清 竜人25(以下、25)が解散してから、ソロとして2019年に『REIWA』、2020年にセルフカバーアルバム『COVER』、2022年に『FEMALE』などの作品をリリースしてきましたよね。そうしたソロ活動の手応えはいかがでしたか?

清 竜人(以下、清):ぶっちゃけると、よかった点もあり、反省点もあるという感じです。25を解散して、次に何をやるかっていう大きな分かれ道があって、結局ソロ活動で『REIWA』をリリースしたんですけど、そこでコラボレーションさせてもらったクリエイターから感化されたし、勉強させてもらうこともすごくあったので、自分のクリエイターとしてのひとつの立ち位置が見えたんです。その反面、ソロアーティストに戻るか、それとも違う道を選ぶかっていうことにすごく悩んだ時期で、ソロを選んでよかったなとは思うんですけど、別の道を選んでいたらどうなってたかなと考えたりもします。

清 竜人

――アイドルへの楽曲提供は多くても、竜人さん自身はアイドルカルチャーからは離れているようにも見えました。

清:アイドルカルチャーから距離を置く道を選んだんですけど、やっぱり25での貯金や経験があって、ねもぺろちゃんへの楽曲提供(ねもぺろ from でんぱ組.inc『ファーストキッスは竜人くん♡ feat. 清 竜人』/2021年)のようなお話は継続していただくし、細々とやっていくかなという気持ちもありました。

――そういう評価を受けて、清 竜人25をもう一度やろうという気持ちになったんでしょうか?

清:それもなくはないですね。今年が僕自身のデビュー15周年と、25のデビュー10周年が奇しくも重なる年だったんで、お祭り男としては、やっぱり胸が騒ぐところがあったのも事実なんです。根強く25再結成を望む声もありました。それをやるタイミングは今年しかないなと思ったんです。5年後の20周年だと時期を逸してるかなという感覚もあって、こういった体制、コンセプトのエンタメグループとして本当にデッドラインの年かなと。

――先ほど、清 竜人25をご自身で「貯金」と言っていたので驚きました。

清 :25の「♡貯金」というか。前の25って、ほぼ全曲のタイトルに♡がついていて、すごい量だったんです。最初につけたのは堀江由衣さんに楽曲提供した時(『CHILDISH♡LOVE♡WORLD』/2012年)ですけど、「♡=清 竜人」というのが僕のソングライターとしてのパブリックイメージになってきていて。意図したものではないし、偶然な部分もあるんですけど、そういうキャラクターが形成されているところは、逆にちょっと意識してもいいのかなと思い始めたところがありました。

ねもぺろ from でんぱ組.inc「ファーストキッスは竜人くん♡ feat. 清 竜人」Music Video

――「ファーストキッスは竜人くん♡」といい、竜人さんは女性アイドルと共演してもファンに嫌がられない不思議な立ち位置ですよね。

清:男性と女性たちがステージ上でパフォーマンスを繰り広げる25のパッケージをあの時期に提示しましたけど、当時も今も多くはないですよね。ステージ上だけ見ると、好き勝手やってるように見えるかもしれないですけど、いろんなバランスは当時も今も気にしてますね。

――そんな清 竜人25を再結成するのは大きな決断だったのではないでしょうか。

清:そうですね。単純にプレイヤーも増えますし、僕がすべてのクリエイションの決定権を持ってるんですけど、関わる人数が多くなると確認事項も増えるし。ソロだと指揮系統がシンプルな分、25はそういった大変さがあります。

――清 竜人25をまたやるにあたって、前の夫人たちに連絡はしたんですか?

清:あはははは、一応しましたよ。

――それは竜人さんご本人からですか、マネージャーさんからですか?

清:どっちからもですね。

――どんな反応でした?

清:僕に対する反応とマネジメントに対する反応はちょっと違うと思いますけど、僕には「おめでとう」みたいな感じでした。

清 竜人25 - Will you marry me ?(KIYOSHI RYUJIN 25 REUNION PARTY at. KT Zepp Yokohama)

全員がアイドル経験者 夫人たちに惹かれた理由

――そして、今回の清 竜人25の夫人たちは全員がアイドル経験者で驚いたんです。オーディションもなかったですし、これは大きな変化ですよね。

清:そうですね。まず25再結成を考えた時、最初の課題はメンバーじゃないですか。今回は長い期間やるつもりではないので、オーディションで人を集めて、短いスパンで終わっちゃうとメンバーやファンに対して申し訳ない。じゃあどうしようかなと考えていたら、スタッフに「現役アイドルや過去にアイドルをやっていた子たちを集めて、『アベンジャーズ』みたいな感じにしたらいいんじゃない?」と言われて、絵が浮かんだんです。

――それぞれの決め手や魅力を、竜人さんから聞きたいです。まず、清 さきな(頓知気さきな/femme fatale)さんから。

清:最初は楽曲提供で関わったことがある子とか、僕自身は知らなくてもスタッフ同士で関係性が近い子とか、そういうストーリーがある子たちに声をかけていって。もう少し候補が欲しいなという時に、いろんな人に相談して情報収集をしてたら、「頓知気さきなちゃん、知ってる? 竜人さんの好みだと思う」って言われて。知らなかったので、その場でパッと調べたら、直感的に何かコラボレーションをするような縁を感じて、やってくれるんじゃないかと思ってオファーしたら快諾いただけた感じでした。すごく責任感がある子で、支えてもらってるなっていう感覚が本当にありますね。優劣があるわけじゃないんですけど、第101夫人だし、最初に自己紹介をするじゃないですか。無意識の責任感は、前の25の第1夫人の咲乃(新希咲乃)に似てる感じもありますね。

清 さきな(頓知気さきな)

――清 凪(根本凪/ex. 虹のコンキスタドール、でんぱ組.inc)さんはいかがでしょう?

清:凪は最初の段階でオファーをして、「ぜひとも」って最初に決まったメンバーです。みんな現役で活動をしていて、すでにファンもいるじゃないですか。このコンセプトのグループに参加するとなると、考えることもそれぞれあると思うけど、凪はすぐ快諾してくれて、その時の熱量のままに、普段の稽古もクリエイションもライブも、すごく献身的にやってくれる子で本当に助けられてますね。「ファーストキッスは竜人くん♡」の後にでんぱ組.incを抜けたので、「あれがよくなかったのかな」と思ってたんですけど(笑)、そんな不安も一掃してくれたし、逆に喜んでやってくれてるところがあって安心しました。凪とステージでパフォーマンスできることも僕的には嬉しいんです。すごく真面目なんだけど、ちょっと抜けてるところもあって、それがすごく可愛いんですよね。一緒にいると、歌って踊ることが本当に好きなんだろうなっていうのがめちゃくちゃ伝わるので、「こっちも頑張らないとな」と思うし、切磋琢磨できて刺激を受けてますね。

清 凪(根本凪)

――清 真尋(林田真尋)さんはいかがでしょう?

清:真尋もいろんな人に意見を聞く中で知って、パッと見た時にタイプだなと思ったんです。前回のオーディションでもそうだったんですよ。ダンスや歌も見ましたけど、基本的にはファーストインプレッションで決めたんです。通じ合うものがあるかどうかって、この仕事でめちゃくちゃ大事だと個人的には思ってて。お会いして話した時の印象もめちゃくちゃよくて、最後に決まったメンバーなんですけど、本当に最後のピースがはまった感じでした。「この子が来てくれてよかった」っていう感じがあって、真尋がいるかいないかで今回の25の空気感や世界観って全く変わるんです。ステージからこぼれる人柄そのままに本当にポジティブだし、現場が明るくなるんですよね。俺はいつもダウナーと言われるんですけど(笑)、真尋が現場にいると明度が上がってすごく嬉しいですね。

清 真尋(林田真尋)

――最後は清 ゆな(チバゆな)さんですね。

清:ゆなちゃんは本当に大変だっただろうなと思うんです。加入してからパフォーマンスまでの時期が短かったし、加入も急遽決まったので。すでに撮影やレコーディングのスケジュールがフィックスしている中で、全部合わせてくれて。めちゃくちゃカロリーが高かったと思うんですけど、全てこなしてくれて、まず感謝しかないんです。僕も本当に日々キャパオーバーしてて、記憶が結構曖昧な部分も多いんですけど、初めて会った時の印象は覚えてて。天然とはちょっと違うんだけど、本当にほわほわしてて、癒し系なんですね。他のメンバーにいなかったキャラクターで、かつ潤滑油になってくれる彼女がいることで、ちょっと重たい雰囲気も柔らかくなることがこれからもあるんだろうなと思います。追加メンバーはものすごく大事で、前の25も優華(みすみゆうか)の人間性に助けられた部分もあったんですけど、今回もまさに一緒ですね。

清 ゆな(チバゆな)

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