TOSH、コロナ禍の試行錯誤を乗り越え新フェーズへ 新曲「LET IT GO」で描いた執着しない前向きな別れ
物事や人に対して、執着しすぎる必要はない
ーーでは、新曲「LET IT GO」について聞かせてください。プロデューサー・エンジニアとしてSatoshi Ananさんが参加していますが、これはどういう経緯で?
TOSH:今回の制作からは自分だけで完結するのではなくて、エンジニアの方だったり、アドバイスをくれる人と一緒にやるのもいいなと思っていて。スタッフと相談するなかでAnanさんの名前が挙がったんですよ。Ananさんが以前在籍していたバンド(never young beach)も知っていたし、「自分と合いそうだな」という感じがあって。
ーー楽曲の制作はどんなスタイルで行われたんですか?
TOSH:「LET IT GO」に関しては、自分が作ったデモ音源から大きく変わっているわけではなくて。MIDIで打ち込んだシンセを実機のアナログシンセに変えて、打ち込みと生のミックス具合を深めてもらったんですよね。後はボーカル録音のディレクション。サビのハモリなどにもアイデアをもらって、かなり幅が広がりましたね。
ーーサウンドの耳あたりがめちゃくちゃ気持ちいいですよね。
TOSH:そこは意識していた部分でもあって。もともとリバーブ感、ディレイ感のある80's的なサウンドが好きなんですけど、「LET IT GO」でもそこはめっちゃ注文しましたね。
ーー80'sのエレポップもルーツの一つなんですか?
TOSH:はい。Duran Duranもそうですけど、人力と打ち込みが混ざっている感じも好きで。2000年代の中ごろに出てきた、80年代の音楽に影響を受けたアーティストもよく聴いてました。MGMTとか。
ーー歌詞についても聞かせてください。「LET IT GO」、つまり“そのままにしておく”“手放す”というモチーフの由来は?
TOSH:デモを作った時点で乗っていたフレーズなんです。いつもそうなんですけど、メロディに合わせて思い付いた言葉をどんどん入れるんですよ。「LET IT GO」もまさにそうで、その場でパン! と出てきたんですけど、それがすごくフィットしていて。そこから派生させた歌詞ですね。あとは映像的なイメージもありました。映画がすごく好きなんですけど、この曲を作っているときは、ライアン・ゴズリング(主演)の『ドライヴ』の映像が頭のなかにあって。隣に誰かが乗っているのかいないのか、どういう心情でドライブしているのか……みたいなことを想像しながら書いてました。
ーーTOSHさん自身の経験や感情を反映することは?
TOSH:曲によって乗せたり乗せなかったりですね。メロディや聴き心地を優先していて、聴いたときに気持ちよければそれでいいというか。ただ自分の感情が濃く出ていることもあるので、曲によってだいぶ違うんですけど。「LET IT GO」の場合は、物事や人に対して、執着しすぎる必要はないなって思っていたんですよね。ときには“サヨナラ”を言うことが正解だったりするし、そうすることで仲が悪くなったり、距離が出たりすることもあるだろうけど、「それが良い結果につながることもある」という気持ちも表現しているので。
ーーもともとそういう考え方なんですか? 必要ないと思えば、すぐに次に進めるというか。
TOSH:ここ2〜3年くらいですね、そういう切り替えが早くなったのは。以前は執着とか後悔だらけだったので、そういう自分とどう向き合うか? ということも考えていたので。
ーー楽曲の制作においても、完成のラインをどこに置くかは大事ですよね。細部にこだわろうと思えば、いくら時間があっても足りないでしょうし。
TOSH:そうですね(笑)。今は予算をかけて制作して、それを世に出すわけだから、「これをクリアすればOK」というラインを決めることが大事なのかなと。やり方は人それぞれなので、どれが正解か決められないですけど、「追い詰められながらやってもいいものはできない」というタイプなんですよ。それが合ってる人もいると思うけど、僕はそうではないので、なるべく自分を追い込まないようにしています。
ーー「LET IT GO」はすでにライブで披露されているそうですね。
TOSH:完成する前のバージョンで1回やりました。沖縄のライブだったんですけど、反応はかなり良かったですね。リリースされていない曲がたまっているので、けっこうライブでやっちゃってるんですよ。フェスやイベントでも未発表曲をやることが多くて。
ーー「coming back」「Something's Wrong」をやってほしい! というオーディエンスも多そうですけど(笑)。
TOSH:もちろん既存の曲も好きなんですけど、個人的には「LET IT GO」からの流れを大事にしたいんですよね。『Something's Wrong』のリリースから1年半以上経っているし、そこに頼っていてもしょうがないかなと。新しい曲をしっかりモノにしつつ、よきタイミングで以前の曲もブラッシュアップしていきたいと思っています。
ーー新たなフェーズに突入している感覚なんですね。「LET IT GO」のエレポップ路線はしばらく続きそうですか?
TOSH:比重としてはエレクトロの要素が強いかもしれないですね。曲によってはギターもしっかり鳴ってるし、いろんな曲があるんですけどね。「LET IT GO」の反応がどうなるかわからないですけど、さっき言ったようにEPのリリースを目指して制作を進めていきたいです。リリースパーティではバンド形式でライブをやりたいと思っていて。今は基本的に自分のギター・ボーカルとサポートDJという形なんですけど、それはそれでしっかり動かしつつ、ライブのやり方も広げていきたいので。
ーー国内のライブも増えそうですね。
TOSH:そうしたいと思っています。ライブ、けっこう激しめなんですよ。オーディエンスと一緒になって、会場の雰囲気を含めてブチ上げれたらいいなっていう気持ちでステージに上がっているので。
ーーロックがルーツだから?
TOSH:絶対それはありますね。一方でエンタメ色が強いライブにも興味があって。映像を使ったり、いろんなことにトライしていく段階です。
ーー期待しています! ちなみに今、興味を引かれている音楽はどんなものですか?
TOSH:いろいろ聴いてるんですけど、今日、沖縄から東京に来る飛行機で聴いていて「いいな」と思ったのは、サブリナ・カーペンターの「Please Please Please」ですね。70年代のアメリカンポップスを現代のサウンドに昇華する流れが世界的に出てきているし、それはすごく勉強になってます。
■リリース情報
配信シングル「LET IT GO」
2024年7月31日(水)リリース
配信URL:https://big-up.style/n9uNLSBUaE
■関連リンク
https://lit.link/toshtosh