サザンオールスターズ、MISIA、三浦大知……まもなくパリ五輪開幕 スポーツの祭典に華を添える音楽に迫る
7月27日(日本時間)より、『第33回夏季オリンピック競技大会』(以下、パリオリンピック)がフランス・パリで開幕する。前大会である『東京2020 第32回オリンピック競技大会』は原則無観客で行われたこともあり、今回『夏季オリンピック』としては2大会、8年ぶりの有観客での開催となる。そして、パリでのオリンピック開催はちょうど100年ぶり。歴史あるパリの地で新しいスポーツの歴史がこの夏、生まれようとしている。
そんな中、各テレビ局がオリンピック開幕に合わせて放送するスポーツ中継、そのテーマソングが出揃ってきた。本稿では各局のスポーツ中継テーマソングにフォーカス。各テーマソングがどのようにオリンピックを彩るのかに迫りたい。
TBS系のスポーツ2024テーマ曲はサザンオールスターズの「ジャンヌ・ダルクによろしく」。硬派なロックサウンドに、桑田佳祐の持ち味である日本語と英語の境界が溶け合うボーカルワークが特徴的な1曲だ。
サザンと言えば、過去にも2014年と2018年の2度にわたって『アジア大会&世界バレー』(TBS系)のテーマ曲を担当。テーマ曲となった「東京VICTORY」は、その後の東京オリンピックを見据えた曲として、日本や東京、故郷というテーマ性を強く帯びつつも未来への躍動を予感させる作風であったことに対し、こちらはジャンヌ・ダルクというフランスの歴史的な偉人をテーマに据えることで、よりパリという場所に接近しつつ、スポーツにおける渇望や喜びという根源的な感情に迫る作風となっている。サザンは今年9月開催の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA』への出演を予定している。『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』の雄大なステージに相応しいロックサウンドが掻き鳴らされる、その日が楽しみだ。
日本テレビ系の2024アスリート応援ソングはMISIAの「フルール・ドゥ・ラ・パシオン」。昨年はMISIA & Rockon Social Club名義でNHKラグビーテーマソングを担当したMISIAが、今年は日テレ系のスポーツソングに抜擢。2年連続で異なるテレビ局のスポーツタイアップを担当するMISIAとスポーツ中継の相性の良さを感じさせる。タイトルの「フルール・ドゥ・ラ・パシオン」はフランス語で「情熱の花たち」という意味で、サザン同様、パリという場所ならではの要素も盛り込まれた1曲となっている。ピアノとストリングスの旋律が調和しながらMISIAの芯のある歌声に寄り添うことで生まれる荘厳な空気は、オリンピックという世界的な舞台にこそ相応しい仕上がりとなっている。
スキマスイッチの「逆転トリガー」はテレビ東京系2024アスリート応援ソング。小気味良く跳ねるピアノと流麗なストリングス、キャッチーなメロディはスキマスイッチらしい王道のJ-POPサウンドと言えるだろう。市民感覚的なミクロな筆致で描かれる歌詞はスキマスイッチの代表曲「全力少年」も彷彿とさせるが、オリンピックの出場選手も我々市井の人も同じ社会、同じ世界で生きていて、似たような悩みを抱えていることを思い出させてくれる。“違う世界の人間”なんて誰一人としておらず、だからこそ勇猛果敢に世界の舞台に挑む選手たちの一挙手一投足に我々は心震えて止まないのだ。
パリオリンピックに出場する日本代表選手“TEAM JAPAN”の公式応援ソングは、三浦大知の「心拍音」。三浦らしい躍動感のあるビートに、主旋律とそれを追うコーラスにスポーツの爽やかさと情熱を感じさせる1曲に仕上がっている。歌詞のフレーズは、本楽曲が使用されたTEAM JAPANのコンセプトムービー「一歩、踏み出す勇気を。」篇のテーマともリンクする。それぞれの選手がスポーツを志したはじまりの1歩が、そして悩み苦しむ中でも歩み続けたその1歩が、オリンピックという夢の大舞台に繋がっている。「心拍音」は、選手だけでなく現代を生きるすべての人々にはじまりの1歩を踏み出す勇気を与えてくれる。