『s**t kingz Fes 2024』が示す新たな音楽フェスの形 s**t kingz主催だからこそ斬新な“ショー”に

 また、『D.U.N.K.』は、「ダンス&ボーカルの今までに無い興奮や感動や、それらの掛け合わさった新たな可能性、さらにはそこに携わるプレイヤー達が『今まで何を考え、今は何を考えているのか』まで焦点が当たる。『良質なパフォーマンスが見たい』『今まで聞けなかった様な深い所の話が聞きたい』と言う人間の欲求の根源に直接訴えかけるプロジェクト」(※1)とあるように、アーティストたちの深い部分にまでフォーカスする狙いがある。先日放送されたダンス日本一決定戦『THE DANCE DAY』(日本テレビ系)にしても、参加者たちの葛藤を含めたドキュメントとしての性質が強いだろう。一方『s**t kingz Fes 2024 ももたろう』は、“ショー”であることに全力を注いでいる。

 というのも、『s**t kingz Fes 2024 ももたろう』はフェスそのものにストーリー性があるのだ。キーワードとなるのは、タイトルにもある「ももたろう」。イベントのオフィシャルサイトを見ると、昔話の『桃太郎』をベースにしつつ、「桃を取り出してみるとその中から四人のノリノリな青年?が現れたのです」「四人がいきなり踊った踊りの素晴らしさに村人たちは驚き、思わず失禁してしまいました」(※2)というようなs**t kingzらしさを取り入れたストーリーが書かれている。しかし、書かれているのはストーリーのほんの序盤。フェスではこの続きが明かされる演出がされるのだろうか。実際インタビューでも、「フェスって、アーティストが自分の出番を盛り上げて終わり、というイメージが僕のなかであって、それはちょっともったいないという気がしていて。全員を繋ぐテーマやストーリーがほしいと思ったんです」(※3)と発案者のkazukiが語っていた。さらに、shojiも「転換の時間が見どころだったりすると思うんです」(※3)と語っていることから、ステージの転換時にストーリーを進めていくではないかということが想像できる。

 たしかに、フェスの転換時間というと、お知らせや広告をモニターに流したり、サウンドチェックを待つ時間だったりに留まることがほとんどだ。しかし、そこはこれまで多くの舞台を手掛けてきたs**t kingz。見せ方を工夫するアイデアが仕掛けられているのだろう。まさに新しいダンスのフェスの形ができあがろうとしている。

 彼らのステージは想像の斜め上を行くことも多い。出演アーティストたちとの化学反応も含め、『s**t kingz Fes 2024 ももたろう』の全貌は当日蓋を開けてみてのお楽しみ、と言ったところだろう。どんな手段で観客を楽しませるのか、ワクワクしながら当日を迎えたい。

※1:https://dunk.dance/concept.html
※2:https://shitkingz.jp/mob/pageShw.php?site=STKZ&ima=1402&cd=stkgzfes2024
※3:https://realsound.jp/2024/07/post-1719136.html

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