ずま(虹色侍)「等身大の自分をもっと見せていきたい」 アーティスト活動本格化に至った背景

 即興ソングの制作やバラエティ豊富な歌唱動画などで人気を集めてきたずま(虹色侍)が、アーティスト活動を本格始動。7月3日にオリジナルソング「末代」を配信リリースした。同曲は、総再生回数1億回超えの音楽プロデューサー・maeshima soshiとタッグを組んだダンスチューン。ずまが恋愛に関する思いを正直に綴った、人間味あふれるラブソングに仕上がっている。オリジナルソングを制作していくにあたり、技術面でのクオリティを重視したボーカリスト/クリエイター的な視点から、より自分自身を楽曲に投影していくシンガーソングライター的な視点が強くなってきたというずま。アーティストとしての新章を迎えた彼に、ここまでの音楽活動の歩みから、今後アーティストとして目指していく姿まで語ってもらった。(編集部)【インタビュー最後に読者プレゼントあり】

音楽に向かう原動力の変化

――まずは、ずまさんの音楽遍歴を教えてください。

ずま:小さいときに親がピアノとバイオリンを習わせてくれたんです。最初に音楽に触れたのはそこだったと思います。どっちも小学校の途中でやめちゃったんですけど、その中で絶対音感が身についた感じでした。高校と大学ではそれぞれバンドをやっていました。

――どんなバンドをやっていたんですか?

ずま:高校のときは学園祭で披露するために、友達3人で組んだんです。生ドラムと電子ドラムとバイオリンの構成で、僕は家にあったエレキバイオリンを弾いて、即興で合わせるみたいなことをやってました。

――いきなりレベルが高い感じですね。

ずま:いえいえ、事前に曲を合わせたりとか、準備をすることが出来なかっただけで、なんとなくハウスっぽい雰囲気で、ビートとメロディがあればそれっぽくなるだろみたいな感じでした。大学に入ってからは軽音部サークルの中でバンドを組んで、キーボードとして入ったバンドと、もうひとつ別のバンドではボーカルをやっていたこともありました。ボーカルで入ったバンドでは、僕が曲を書いたりもしました。

――作曲はそれ以前にも経験があったんですか?

ずま:いえ、そのバンドで初めてやりました。英語と日本語が半々くらいの曲だったんですけど、その曲がけっこうウケが良くてライブをすると盛り上がったんです。そのバンドでは東京のライブハウスに呼ばれたりもして、関西からハイエースを運転して通ったりもしました。今思い返すと楽しかったなー。

――ライブをするとなるとある程度、曲のレパートリーも必要になりますよね。

ずま:そうなんですけど、実は自分でちゃんと作ったのは1曲だけで、あとはざっくりと流れだけを決めて即興で歌う感じでライブしていました。これは申し訳ない気持ちもあって告白するんですが、ちゃんと作った風に歌ってたから、バンドメンバーも即興だとは思ってなかったかもしれないです……。

――その頃から即興で曲を作ることを得意としていたんですね。

ずま:得意とは言えないですけど、当時からなんとなく成り立つレベルのものは作れていました。宇宙語みたいな歌詞でも、それを本気で歌っていたから、みんな「何となくかっこいい曲だな」って思ってくれてるみたいな感じでした。

――そういったバンドの経験を通して、音楽への興味、楽しさはどんどん大きくなっていったんですか?

ずま:はい、少しずつ大きくなっていました。ただ当時のバンド活動で日本一を目指す感じではなかったので、就職してからしばらくしてそのバンドは辞めました。でも、音楽で成功したいという気持ちはずっとあったと思います。そんなに間をあけることなく虹色侍にキーボードとして加入したので、音楽活動は途切れなかったです。

――その後、虹色侍のずまとして知名度や人気はどんどん高まっていきましたね。

ずま:やってよかったなって思います。街中とかで「お、虹色侍じゃん」「ずま君だ」とか言われることも多くて。そうすると自信のある自分になれる気がして。

――10年を超える虹色侍としての活動の中で、音楽的なスキルは意識的に磨いてきましたか?

ずま:どうやろ。思い返すとあんまりやってきてないかもしれないです。もちろん即興で曲を作ることとかは、最初の頃より上手くなってる気はするんですよ。でも、意識的に何かをしてきたというよりは、ピアノやバイオリンをやっていた子供時代の頃に貯めたスキルの貯金を使っている感じのほうが近いかもしれない。

――なるほど。じゃあ音楽を続けてきたモチベーションとしては、やっぱり有名になりたいというような気持ちが大きいんですか?

ずま:そうですね、有名になりたい、ちやほやされたい、みたいな気持ちが原動力になっているのは大きいと思います。今は音楽が得意だと思えるようになったので、得意なことで人に認められたいみたいな感覚でした。ただ、最近はちょっと変化があって自分のオリジナル曲をヒットさせたいという気持ちがあらためて出てきたりもしています。虹色侍で少しは有名になれたけど、もっとたくさんの人に認められるためには自分だけのオリジナルが必要なんじゃないかなと。

――これまでにもいくつかのオリジナルソングを発表されてきましたけど、ここにきていよいよアーティストの自我が強く芽生え始めた感じですか。

ずま:そうかもしれないです。今までの自分はシンガーソングライターのように自分の伝えたいことがまずあって、それを曲にするっていう感じではなかったと思います。とにかく曲を量産することを意識していたというか、オリジナル曲を出すこと自体がゴールになっていたように思います。だから効率の良いスタイルを重視して作詞も共作したりしていました。

――でも今は自分の中から湧き上がるものを曲に落とし込みたい気持ちになってきたわけですね。

ずま:今の新しい音楽制作チームの体制になって、「単に曲を量産することを目的にするのではなく、もっとずま君本来のものを出していったほうがいいよ」みたいなことを言ってくれたんです。それってアーティストとしては当たり前のことだと思うんですけど、自分としては興味があまりないことだったら注目してこなかったんですよね。でも、新しいチームがすごく仲良くなって、僕も悩みを相談したり、いろんな話をたくさんしながら制作しているうちに、「そっか、俺は自分のこういうところがイヤなんだな」とか、今まで気づいていなかった自分のことが見えてくるようになって。そうやって自分自身にしっかり向き合うことで、それが歌詞にも反映できるような気がしているんですよね。そういう意味では、ようやく一般的なシンガーソングライターの感覚になってきたのかもしれないなと思ったりして。今、すごく楽しいんですよね。

――そうやって自分自身と向き合うことで見えてきた、ずまという人間はどんな性格だと思います?

ずま:言い訳ばっかりするタイプだし、自己中だなと思います(苦笑)。あと、他人が介在しないと、自分が今どれくらい幸せなのかが判断できないというか。「今日も天気がよくて幸せ」みたいなことをあまり思えないタイプで、誰かに「すごいね」とか良い評価をされないと何か足りないなと思ってしまうっていう。ただ、自分は自信がなくて、自己肯定感が低い人間だとずっと思ってきたけど、よくよく向き合ってみたら、けっこう他の人より自信も自己肯定感も強く持ってるかもしれないってことに最近は気づいたりもしました。自分で言うのも何なんですが、ビジュアルがすごく良いわけでもないのに今みたいにたくさんの人から認めてもらえるようになったってことは、「俺って案外、できるヤツなんだな」みたいな(笑)。

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