草彅剛、覚醒の40代を経て50歳へ 『ミッドナイトスワン』『ブギウギ』……新たな傑作への期待

 最近のインタビューを振り返っても、草彅の「腹をくくった」と言えるスタンスを感じることができる。雑誌『JUNON』2024年5月号(主婦と生活社)では「最近は特に、そっちに行ったら成功とか失敗ってないような気がしていて。どっちに行っても必ず、いいことも悪いこともあるから、『どっちも正解だ』って」と話していた。

 また『AERA』2024年5月20日号(朝日新聞出版)でも「できないかもしれない自分を、どこかでちょっと楽しんでいる」と発言。「極端な話、最初からできてしまうもの、想像できるものって、自分が考える面白さの域を超えていかないと思うんですよ。『もしかしたら、できないかもしれない』『このままだと、大変なことになるんじゃないかな』という“恐怖”があるから面白くなり、作品ができ上がっていくのだと思う。そうしたところを含め、楽しんでいるような感覚はあるかもしれない」とも。

 人は年を重ねるほどに多くのものを手に入れたような感覚になる。それゆえに、手にしたものを失いたくないと、失敗やチャレンジを恐れるようにもなる。ところが草彅が年々身軽になっているように思うのは、“できるかどうかわからない”を楽しめるマインドへと切り替えられるようになったからなのだろう。

 過去には、人生100年時代において「50歳はピラミッドの真ん中じゃないですか!」と語ったこともあった。人生の先輩からも、若い世代からも刺激を受けながら、背中を追うことだって、背中を見せることだってできる年齢だ。

 そこには「やってやるぞ」という野心もあれば、「ここまではできるはずだ」という自信と余裕、そしてたとえうまくいかなかったとしてもリカバリーできる技量と次を見据える広い視野もある。そののびのびとした気持ちが、草彅の才能をさらに開花させているのだろう。つくづく、これほど年齢を重ねていくことが楽しみになる人もなかなかいない。50代の草彅剛は、どんな傑作を生み出すのだろうか。

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