SHE'S、不変と挑戦のセットリストで挑んだ日比谷野音ワンマン “青”へ向かい続ける清々しさ

SHE'S、日比谷野音ワンマンレポ

 長めのMCでは木村が久しぶりに「閃光ライオット」の映像を観たと話し、メジャーデビュー8周年の感謝も述べると、井上はこの先も「なんやかんやダラ〜っとやってるやろな。30周年は59か。加齢臭も出てるぞ? でもそれぐらいがいい。それぐらいまで一緒に歳とっていけたらいいな」と、マイペースが極まった発言も。そんな展望を話しつつ、グッと初期衝動に満ちたポップパンクな新曲「Kick Out」になだれ込んでいくのも、いかにも彼ららしい。井上もギターを弾くし、服部のリフはクランチだし、木村はパワーヒットしているしで、痛快この上ない。音源の何倍もストレートなロックンロールを放ち、また新しいSHE'Sの顔を見た気分だ。

SHE'S(撮影=Shingo Tamai)

 そこから突き抜けていくようなメロディの「Over You」、爆発的なシンガロングが起こった「Dance With Me」を経て、ラストは今春リリースした堂々たるハチロクのナンバー「Memories」で締め括った。この曲が、実はニューアルバムのタイトルチューンであることがアンコールで語られた。井上は前向きな意味で思い出に活かされていると本編の曲振りでも話してくれたのだが、曲という存在もまさにそうじゃないだろうか。不変と挑戦を内包した今回のセットリストを一望する時、このバンドがまず曲ありきで曲とともにオーディエンスと時間を共有していることを大いに実感したライブだったからだ。

 なお、アンコールで9月にニューアルバム『Memories』のリリースと同作を携えた全国13カ所にわたるツアー、そして初の海外公演である台湾でのワンマンライブを発表した。

SHE'S(撮影=Shingo Tamai)

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