Teleが探し求める“箱庭の灯”とは何か 初の日本武道館公演から開幕、全国ツアーで確かめる答え

 「Véranda」を披露する際、Teleは「あんたはあんたの踊りを見せてくれよ、踊れ、武道館!」と高らかに叫んだ。また、「花瓶」のシンガロングパートで観客に歌声を求める時には、「声を止めるな、僕たちが主役だぞ!」「僕たちはあなたの声を聴きにきた!」「全部聴かせてくれよ!」と力強く呼びかけた。“みんな”ではない、“あなたたち”ではない、他でもない“あなた”の声を聴かせてほしい。そうしたメッセージは、これまでのライブでもTeleが何度も発してきたものではあるが、今回のライブでは全体のストーリーとの接続も相まって、いつも以上に深く胸に響いた。

 そして、そうした輝かしいメッセージは、今年に入ってからリリースされた楽曲にも色濃く滲んでいる。例えば、激烈なロックバイブスと共に届けられた「カルト」の〈僕は僕を信じてんだ。〉〈僕が僕を信じちゃったんだ。〉という言葉は、自分だけの人生を歩むための肯定感や万能感を授けてくれるもので、ライブではロックサウンドと歌声の気迫も相まって、その言葉が音源以上に深く鋭く心の奥底へと刺さる感覚を抱いた。また、〈僕らは美しい。〉という祝福のフィーリングを共有し合った「花筏」も素晴らしい名演だった。特に強く心を震わせられたのが、Teleが絶唱にも近い熾烈な歌声で送り届けた〈朝を待つよ。〉という言葉だ。それはまさに、夜の砂漠を歩みながら、自分だけの“箱庭の灯”を懸命に探す観客一人ひとりの旅路に、強く、優しく寄り添ってくれる言葉だった。この日披露された他の楽曲にも通じることではあるのだが、Teleの音楽に込められたメッセージの一貫性と強度に改めて驚かされる。


 この記事ではこれ以上の言及は避けるが、総じて言えるのは、今回の公演は、みんなで一緒に踊り明かし、最後には、一人ひとりをそれぞれの夜明けに向けて優しく導いていくような、本当に感動的なロックアクトだったということだ。ロックには、その音楽を聴く一人ひとりを主役にしてくれる魔法のような力がある。その根源的な力を強く感じることができた。そうした輝かしい実感を一人でも多くの観客と共有していくために、Teleはこれから、全国各地を周る旅を続けていく。“箱庭の灯”とは、いったい何か。その答えは、ぜひ現在開催中のツアーで確かめてみてほしい。

■ツアー情報
『Tele  Live Tour 2024「箱庭の灯」』
6月1日(土)日本武道館 OPEN 17:00 / START 18:00
6月14日(金)新潟LOTS OPEN 18:00 / START 19:00
6月16日(日)仙台GIGS OPEN 17:00 / START 18:00
6月21日(金)広島クラブクアトロ OPEN 18:00 / START 19:00
6月22日(土)高松オリーブホール OPEN 17:00 / START 18:00
6月27日(木)福岡Zepp Fukuoka OPEN 18:00 / START 19:00
6月29日(土)名古屋Zepp Nagoya OPEN 17:00 / START 18:00
7月9日(火)大阪 Zepp Osaka Bayside OPEN 18:00 / START 19:00
7月15日(月祝)札幌 Zepp Sapporo OPEN 17:00 / START 18:00

チケット料金 ¥5,800(税込)

■関連リンク
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