「DAN DAN 心魅かれてく」国内外でリバイバルヒット SARD UNDERGROUND、ZARDを歌い継ぎ次世代に繋げる思い

 3月20日、SARD UNDERGROUNDがデビュー5周年イヤー第1弾作品となるベストアルバム『ZARD tribute Best Selection』をリリースした。本作に収録されている「DAN DAN 心魅かれてく」が今、国内外で話題を集めている。

SARD UNDERGROUND「DAN DAN 心魅かれてく [tribute 2024]」MV

 同曲のオリジナルは、1996年にリリースされたFIELD OF VIEWの4枚目のシングル。坂井泉水が歌詞を手がけ、のちに坂井も同曲をカバーした。『ドラゴンボールGT』のオープニングテーマおよび映画『ドラゴンボール 最強への道』に起用されたことも人気を後押しし、オリコン週間シングルチャート初登場4位を記録するヒット作となった。実際、SARD UNDERGROUNDのボーカル 神野友亜も、幼少期に『ドラゴンボールGT』きっかけで「DAN DAN 心魅かれてく」を好きになり、そこで坂井泉水の存在を知ったとインタビューで語っていた(※1)。

 今回、同曲が再注目されたきっかけは、3月9日に列島を駆け巡った漫画家・鳥山明氏の訃報。鳥山氏が同月1日に旅立ったという、にわかに信じがたい報道がやがて現実なのだとわかると、日本のみならず世界中が驚きと悲しみに包まれた。

 『DRAGON BALL』や『Dr.スランプ』など数々の名作を生み出した天才への追悼と感謝は、今なお“地球のみんな”から寄せられ、多くの著名人もソーシャルメディアで鳥山明氏に思いを寄せた。鳥山作品は多くの人にとって人生の一部であり、ともすればエンターテインメントとの出会いでもあっただろう。改めて、作品や当時の思い出と向き合ったファンも少なくないはずだ。

 その流れを受け、ZARDおよびSARD UNDERGROUNDの「DAN DAN 心魅かれてく」が各サブスクリプションのランキングで急上昇を見せた。SARD UNDERGROUNDについては、3倍の再生数を記録しているという。FIELD OF VIEWが同曲の配信を行っていないことも影響しているだろう。また、『ドラゴンボー ルGT』最終回では歴代アニメを振り返る大団円的なエンディング映像と共に「DAN DAN 心魅かれてく」がオンエアされた。この最終回はファンの間で議論を呼んだが、より一層『ドラゴンボールGT』と「DAN DAN 心魅かれてく」を特別なものにしたと言える。実際、今回の鳥山明氏の訃報と『ドラゴンボールGT』のラストを重ね合わせて、当時の気持ちに思いを馳せるファンも多かった印象だ。

 「DAN DAN 心魅かれてく」といえば、繰り返しアニメを見たことにより、ソラで歌える海外のファンも多いと聞く。日本においても、歌詞を読めない幼少期にこの曲に触れたにもかかわらず、「なぜか歌える」ファンは多いのではないだろうか。これは、〈DAN DAN〉〈ZEN ZEN〉という歌詞のキャッチーさはもちろん、ボーカル・浅岡雄也の明瞭で誠実な歌唱によるもの。譜割りには、坂井らしさを感じる独特の「区切り」があるのだが、浅岡は軽やかにメロディに乗せつつ、しっかりと「言葉」を届けている。

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