ライブ中のスマホ撮影が一般化 ビョーク、ボブ・ディラン……禁止することで差別化図る側面も

 国内アーティストの海外公演の事例もひとつ紹介したい。Adoはこれまでのライブでは一貫してスマホのライブ撮影を禁止にしていたが、今年2月に行われた韓国公演でもそのルールを継続。また、そのルールをより守ってもらいやすくするために、スマホに貼る撮影禁止ステッカーを観客全員に配り、仮に撮影を行った場合は、即時退場させることをアナウンスした上で、ライブを行ったのだった。

 また、UK HOUSEシーンで注目を集めるDJ/プロデューサー・ジェームズ・ハイプと2020年にグラミー賞「Best Dance Recording」にノミネートを果たしたイタリア出身プロデューサー・MEDUZAがタッグを組んだイベント『Our House』では、スマホ使用禁止というルールを設け、本格的な音楽そのものを体験してもらう試みを行った。アーティストのジャンルや世代を問わず、一定数でスマホ撮影の禁止をアナウンスする例が見られる。特に海外において、スマホでの撮影が一般的になりつつある中、このようなルールを設けることで、ステージを集中して楽しむ公演として差別化を図るという面もあるだろう。

 海外アーティスト/海外公演=スマホでの撮影OK、というイメージが強い一方で、今回紹介したように、撮影禁止としているアーティストや公演も一定数ある。「思い出として撮影したい」という観客もいれば、「じっと目に焼きつけておきたい」という観客もいることだろう。賛否を挙げたらキリがないし、スマホが一般的になった今、撮影を一切禁止にするのは難しいかもしれない。しかし、あえて撮影禁止にすることで、そのライブの特別感が高まることは確か。その公演に参加した人だからこそ体感できた思い出は、何物にも代え難いものがある。

※1:https://smash-jpn.com/bjork2023/orchestral/
※2:http://edmmaxx.com/news/29953

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