EXILE TAKAHIRO、ソロ10周年から得た学び 初心と責任感を大切に挑んだ武道館を振り返る

 2023年6月にソロデビュー10周年を迎えたEXILE TAKAHIROが、2024年2月14日、映像作品『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 “EXPLORE”』をリリースした。本作品は昨年9月21日に日本武道館で行われたライブの模様を収録したもので、2006年9月22日に日本武道館で行われた『VOCAL BATTLE AUDITION 2006 〜ASIAN DREAM〜』で優勝し、EXILEの仲間入りを果たしたTAKAHIROにとって、メモリアルなライブとなっている。それ以外にも、初の単独ホールツアーや数々のイベント出演、アルバム『EXPLORE』のリリースなど、トピックの多かった2023年。濃い1年を振り返りつつ、武道館公演の裏話や2024年の展望を語ってもらった。(斉藤碧)

EXILE TAKAHIRO / EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023“EXPLORE” Documentary(TEASER)

「楽曲に今でも助けられるというのは感慨深い」

 ――2023年はTAKAHIROさんにとって、ソロアーティストデビュー10周年の節目の年となりましたが、改めて振り返ってみるとどんな1年でしたか?

TAKAHIRO:昨年はいろんなステージに立たせていただきました。例えば、3月には地元・長崎にある稲佐山公園の野外ステージ(『NBC70th anniversary Nagasaki Music Journey 2023 supported by AMU NAGASAKI』)で歌うという夢が叶いましたし、6月には『久原本家 茅乃舎 presents 葉加瀬太郎 音楽祭 2023』に出演させていただいて、今まで深く関わる機会のなかった方々とも一緒に音楽を奏でさせていただきました。11月には昭和女子大学の学園祭に呼んでもらったり、12月には『サントリー1万人の第九』に参加させてもらったり……今となっては「あれも2023年だったの? え、あれも?」と思うくらい、本当にいろんな場所に呼んでいただきました。そういった環境下でじっくり自分の歌と向き合えたので、10周年イヤーという節目でありながらも学ぶことが多かったです。その合間を縫って制作していたアルバム『EXPLORE』(2023年9月6日リリース)では、音作りや作詞といったクリエイティブなところとも向き合うことができて。学びを成長に変えながら活動できた1年だったなと思います。

――2006年の歌手デビュー以来、17年以上歌い続けているTAKAHIROさんでも、初挑戦や新たな出会いってまだあるものなんですね。

TAKAHIRO:そう、意外とたくさんあったんですよ。一つひとつの出来事がすごく新鮮でしたし、毎回緊張していました。でも、いざステージに上がれば、いつも応援してくれているファンのみなさんが目の前にいて。初めてのステージで僕が堂々と歌えるのは、どんな場所にも一緒についてきてくれて、そこをホームにしてくれるみなさんのおかげだなと感じました。

――今まではEXILEの活動が軸にあって、その合間にソロ活動を行っていた印象がありますが、2023年は“思う存分ソロに注力できた年”という感覚なんでしょうか。

TAKAHIRO:そうですね。ただ、僕のソロ活動には、EXILEの楽曲をセルフカバーして届けていく“EXILE RESPECT”シリーズという大きな柱があって。ここ数年はオリジナル曲と共にそちらも常に走らせていたので、自分の音楽と向き合う一方で、EXILEやEXILEを応援してくださっているファンの方ともしっかり向き合うことができた1年だったなと思います。2023年もこれまでと同じように、いろんな局面で、ソロとして自分には何ができるのか、どういうふうにEXILEやEXILEファンのみなさんに恩返しをしていけるのか、といったことを考えていました。

――では、いくつかトピックを挙げながら、思い出を語っていただきましょう。まず、『葉加瀬太郎 音楽祭 2023』に出演した際に印象的だったことを教えてください。

TAKAHIRO:葉加瀬太郎さんや奥田民生さん、藤井フミヤさんといった大先輩方と同じステージに立たせていただいて、とても光栄でした。EXILEのボーカルとしてデビューして17年が経ち、LDHの中では気づけば中堅になってきていますが、自分自身、音楽シーン全体で見たらまだまだ下っ端で未熟者だなと。

――どういう場面で、先輩の凄さを実感しましたか?

TAKAHIRO:ライブ前の過ごし方が、もう全然違うんです。自分は先輩方に囲まれてすごく緊張していましたし、初めてのステージだとなおさら「ちゃんと盛り上がるかな?」と考えてしまって、本番直前まで不安と闘っていたんですけど、奥田民生さんは「ちょっとラーメン食ってきた~」とフラッと現れて、そのまま本番に出られていました(笑)。ステージでも、自分の音楽を楽しんで届けている姿がカッコいいなぁと思いました。

――あははは。

TAKAHIRO:それだけ余裕を持ってライブを楽しめるって、すごいですよね。そんな先輩の姿を目の当たりにしたことで、自分のアーティスト人生もまだ先が長いな、もっと楽しい景色が見られるんだろうなとワクワクしてきました。

――葉加瀬さんが演奏するバイオリンをはじめ、楽器の編成も普段のライブとは違いましたよね。

TAKAHIRO:はい、葉加瀬さんのチームのみなさんと演奏させていただきました。気心の知れたいつものバンドメンバーとライブするのも楽しいですけど、違う座組の方々と一緒に音を奏でて、それを各所から集まってくださったお客さんに届けていくというのも、新たな試みで楽しかったです。あと「Choo Choo TRAIN」の曲力を実感したライブでもありましたね。もちろん、ライブのたびに盛り上がる曲なのですが、初見の方が多いはずの会場でも「Choo Choo TRAIN」が始まった途端に総立ちになったので、本当に国民的な人気ソングなんだなと。HIROさんがZOO時代から大切にパフォーマンスしてきた楽曲を自分が歌い繋いで、そんな楽曲に今でも助けられるというのは感慨深いものがあります。

「バンドとコーラスだけでお届けすることができて世界が広がった」

――昨年12月に行われたEXILE初の海外単独ライブ『EXILE LIVE 2023 in TAIPEI』には、EXILEに会える日を待ち望んでいたファンの方々が来場されたと思います。2020年に台北に初上陸した時も、ものすごい数の方が空港でメンバーを待ち受けていましたが、今回はいかがでしたか?

TAKAHIRO:昨年は7月にも『2023 SUPER SLIPPA 12』で台湾を訪れたのですが、今回も空港に到着した瞬間、ファンの方々が熱狂的に出迎えてくださって、ハリウッドスターにでもなったかのような気分を味わいました(笑)。ライブの盛り上がり方も日本とは違っていて新鮮でした。

――どんな違いがあるんですか?

TAKAHIRO:日本のファンの皆さんはデビュー当時から応援してくださっている方も多いので、落ち着いて見守ってくれている方が多い印象がある。でも、台湾の方はデビューしたてのグループを見た時のように「キャー!」と言ってくださるので、自信を失くした時は台湾に行こうと思いました(笑)。記者会見に集まってくださった記者の方々の表情からも、心から待ち望んでくださっていたのが伝わってきましたし。現地のファンの方からいただいたお手紙にも、長年応援してくれていることや、日本のライブにも来てくださっていたことが日本語で書かれていて。僕らが思っていた以上に、台湾の方々がEXILEを求めてくださっていたことを肌で感じることができました。

――EXILE TRIBEの各グループ・各メンバーが精力的に海外で活動してきたことも、長年、海外でEXILEが愛され続けている理由の一つではないでしょうか。

TAKAHIRO:まさに、その通り。EXILEの歴史だけではなく、三代目 J SOUL BROTHERSや、GENERATIONSなどJr.EXILEのグループも海外でライブやイベントなどを行ってきましたし、EXILE TRIBEみんなのアプローチが今僕らに向けられている熱狂に繋がっています。それこそAKIRAさんなんて、同じメンバーと思えないくらい、台湾の国民的スターになってますからね。

――台湾でAKIRAさんは“国民的お兄さん”と呼ばれているそうですね。

TAKAHIRO:もちろん現地で生まれ育った方だけでなく、移住された日本人の方もたくさんいらっしゃると思うのですが、こんなにも愛されているのは、AKIRAさんが頻繁に台湾で活動して、台湾の方々と丁寧に関係を築いてきた証だと思います。だからこそ、AKIRAさんやEXILE TRIBEのみんなが繋いでくれた縁に感謝して、今後はEXILEとしても精力的に海外に行けたらなと。海外で応援してくださっている方のことも大事に思いながら活動していくことで、LDHが目指すグローバルな世界観に自分も貢献していけたらと思っています。

――そして、怒涛の2023年を締め括ったのが、12月26日に東京国際フォーラム ホールAで開催された『EXILE TAKAHIRO CHRISTMAS LIVE 2023 〜EXPLORE〜 忘年会』。その前に行われた初の単独ホールツアー『EXILE TAKAHIRO LIVE TOUR “TAKAHIRO 道の駅 2023” 〜Road to EXPLORE〜』や『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 “EXPLORE”』とはまた違う雰囲気のライブになったようですが、そこにはどんな想いがあったのでしょうか。

TAKAHIRO:ホールツアーは、ATSUSHIさんと俊(清木場俊介)さんからいただいた新曲「Spotlight 〜光の先へ〜」を携えてツアーを回っているという緊張感がありましたし、ソロ活動10周年イヤーにしてまた新たな自分を発見したいと思いながら、1公演1公演全力を注いでステージに立たせてもらって。その後に控えていた『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 “EXPLORE”』も、特別な1日にしようと意気込んでいました。でもこの『EXILE TAKAHIRO CHRISTMAS LIVE 2023 〜EXPLORE〜 忘年会』は、クリスマスと呼ぶには惜しい12月26日ですし(笑)、年末なのでクリスマスライブ&忘年会として楽しんでもらえたらいいなと思って。とはいえ自分自身は、初挑戦続きの1年だったからこそ、ここでも新たなことに挑戦したくて、バンドのみで、ファンの方から募ったリクエスト曲をメインにライブをしました。

――アンプラグドライブ(電子機器を使わない演奏)だったんですか?

TAKAHIRO:最近はアンプにプラグを繋いでいてもアンプラグドって言いますし、この時も正確にはアンプラグドではなかったんですが、アンプラグドに近い空気感にしたくて。シーケンスなしで、バンドだけで生きた音楽を届けました。なので、バンドメンバーにとっては、あんなに緊張する忘年会はないだろ! というくらい、一分一秒気が抜けないライブになりましたね(笑)。

――EXILEのライブだとダンスもあるから、決められたBPMの中で歌っていると思うんですが、今回のような環境だと自由度が高そうですね。その場のノリで音楽が生まれていくというか。

TAKAHIRO:そうですね。パフォーマーがいるライブではシーケンスがとても大事ですし、LDHは打ち込みを前提とした音作りを基本としているので、この形でライブをやるというのは逆転の発想だった。でも、歌い手としては、バンドとコーラスのグルーヴだけでお届けすることができて一気に世界が広がったなと思いました。そんな中で歌えたというのは、僕にとって大きな挑戦であり、1年頑張った自分へのご褒美でもありました。

関連記事