浜田雅功、なぜ音楽分野でも大成功を成し得たのか 小室哲哉、坂本龍一らと名曲が生まれた背景

 ダウンタウンの浜田雅功と小室哲哉によるユニット、H Jungle with tが大阪万博記念公園 もみじ川芝生広場で5月11日、12日に開催される音楽フェス『ごぶごぶフェスティバル』の2日目にライブ出演することが発表された。

 同ユニットのライブ出演は29年ぶり。浜田が出演する1月19日深夜放送のラジオ番組『ごぶごぶラジオ』(MBSラジオ)には、ロックバンドのOKAMOTO’Sのベーシストである息子のハマ・オカモトがゲストで登場し、かつて音楽フェスの存在を軽視した発言をしていた父親を“口撃”。「そんなもん別に、(ステージに)出てきて歌を歌えば」との浜田のコメントに対し、ハマは「歌を歌えば良いだけの話じゃない」「(同フェスのCEOを)やるに当たって気合を入れ直して」と反論。OKAMOTO’Sの出演に関しても「一応空いていますけど、お父さんの頑張り次第」と姿勢を正すことを要求するなどしてトークを盛り上げた。ライブ当日は、H Jungle with t、OKAMOTO’Sの“競演”が実現するかどうかにも期待が集まる。

ジャングルのリズムにそっくりだった、浜田雅功の声質とテンポ感

 そんなH Jungle with tが結成されたのは、1995年。ダウンタウンがMCを担当していた音楽番組『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)のなかで、ゲストで登場した小室に浜田が「小室さんが曲を出したら売れるんやから、僕にも曲を作ってくださいよ」と持ちかけたことがきっかけとなった。小室は、中谷彰宏との共著『プロデューサーは次を作る ビジネス成功22の方程式』(1998年/飛鳥新社)で「話の流れ」で引き受けたとしながら、「これはイケるかもしれない」と直感が働いたとも語っている。

 小室曰く、ダウンタウンがネタをやっているときの浜田の声や喋りのテンポが「当時ロンドンで流行していたジャングルという新しい音楽のリズムにそっくりだったので、ジャングルをベースにすることにしました」と声質を解釈。そして「売れっ子である浜田さんの忙しさと、ボクの忙しさがオーバーラップしたので、日々のあわただしい生活感とそこからの解放をテーマに書きました」と、デビュー曲「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」が誕生した背景を同書に記している。

 同曲の特徴であり、良さとなっているのは、浜田の“無理をしない感”である。自分が出せる範囲以上の声の音域は出さない。見た目もきらびやかな衣装ではなく、誰でも真似ができるラフな格好。歌詞は、当時の会社員の日常に寄り添ったもの(小室も書籍『時代をつかみとる思考』(2016年/セブン&アイ出版)のなかで「サラリーマンの応援ソング」と表現している)。そういった親しみやすさが大ヒットに結びついた。浜田は著書『読め!』(1995年/光文社)で、小室が書いた歌詞について「よう、ボクのことをわかってくれてて、書いてくれてるのかな。一生懸命、何かをやってる人間に対しても当てはまるんやないかな」「だから、素直に自然に歌えたんかもしれへんなぁ」と話している。

 また「愛を歌うみたいな、そういうのはやめてほしい」「何年後かにVTR見られたときに『こんなかっこで歌うか、おい!』みたいな、それだけはやめましょうと」との考えから、私たちが知るH Jungle with tのスタイルにたどり着いたとも明かしている。すべての面で背伸びしたり、飾ったりしない。それが親しみやすさ、歌いやすさにつながった。同著で浜田は「思うに、この歌はやっぱり歌いやすいんやろね。うちの上の子も、歌ってますよ。『ウォ~ウ、ウォウォ~』って、ときどき思い出したように」「嫁はんが幼稚園の送り迎えの車の中で聴いてたんやて。それで覚えたらしいんですよ」と、本が発売された当時4歳だった“郁未(ハマ・オカモトの本名)”について振り返っている。

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