和楽器バンド、日本武道館で活動休止を告げる 金爆・樽美酒研二も駆けつけた『大新年会2024』

 アンコールで再び客席からわきおこる「暁ノ糸」の大合唱に応え、ステージに戻ってきた8人。鈴華ゆう子が代表して口火を切る。

「私たち和楽器バンドは、2024年12月31日をもちまして、無期限の活動休止をさせていただきます。それ以降はそれぞれの活動に専念することとなります。和楽器バンドが大切にしてきた大新年会という場が、より多くの皆さんと直接顔を合わせて生の声でお話できる場だと思い、今日を選びました。

 メンバーとは約12年前に出会って、デビューしてからは怒涛の日々が過ぎ去っていきました。大きな大きな夢を持ってスタートした異色のバンドが変わらず夢を持ち続けて歩んでこれたのは、皆様のおかげです。和楽器バンドのメンバーは本当に個性豊かです。だからこそ、出会ったときに面白いなと思ったし、満ち溢れる可能性を日々感じていました。過去の映像をみんなで見ながら、『いいバンドだね』なんて言ったりしていますし、今日ステージにいる仲間たちを見たときも、私は同じことを思いながら歌っていました。このメンバーだからこそ、今があると実感しています。個性豊かだからこそ、いつも答えは一つじゃない。それぞれが考えを持っているので、意見が分かれることもあります。だけど喧嘩は一回もしませんでした。必ず寄り添いながら、チームとして一つの答えを出す。その連続で今日まで歩んできました。その今回のチームとしての一つの答えが、活動休止。これは人生の過程という点において、今の私たちには必要である、ということを……きっと皆さん今とても複雑な気持ちだと思いますが、どうか受け止めていただければと思っています。

 10周年後の私たちは、和楽器バンドという枠にとらわれることなく、自由な発想とそれぞれのペースで、よりパワーアップをするためのスタートラインに立ちます。私、和楽器バンドってアベンジャーズみたいだなって思ってるんです。一人一人がヒーローみたいなんですよね。10年間ずっと猛ダッシュで走ってきたからこそ、パワーアップする時間が必要なんです。

 私は、和楽器バンドが培ってきた音楽の力をとても信じています。同じライブは二度とない。なので、今年10周年に行われる一つ一つのステージを最後まで走り抜きたいと思います。私たちの人生と皆さんの人生が交差して、同じ時代に生まれて生きてきて、そうして出来上がっているこの世界を、とてつもなく愛おしくてかけがえのない宝物だと思っています。こんな世界を築いてくれた皆さんに、本当に生きるということを支えてもらいました。10周年は今日から始まったばかりです。大切に言葉を紡ぎながら、それぞれのメンバーも発信しながら歩んでいくと思いますので、どうか変わらず見守っていただければと思います」

 こうして鈴華ゆう子が思いを伝える間も、「嫌だ!」という叫び声やすすり泣く声があちこちから聞こえ、困惑と動揺を露わにする観客たちだったが、このメッセージの後に8人が深くお辞儀をすると、長い長い拍手が送られた。目元を潤ませた鈴華ゆう子は声を震わせながらも「アンコールは皆さんと歌える曲を用意しました。今日は1年のスタートなんです! 和楽器バンド、10周年行くぞー!」と元気よく煽り、「BRAVE」「千本桜」の2曲を最後に届ける。メンバー、観客、共に涙を堪えながら声を一つにし、精一杯の思いを乗せて歌い上げた。

 多彩な楽曲と極められた表現力や演奏力、見どころ満載のプログラムで、まさに唯一無二のエンターテインメントを届けた和楽器バンド。悲しい発表があったにせよ、10年という年月を感じさせる貫禄のあるステージの素晴らしさはゆるぎないものであった。トップヒーロー8人が手を取り合って駆け抜けるその姿を、最後まで見守りたい。

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